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日常篇
閑話『私の世界』(中篇)
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「...ここ」
何をどう伝えればいいのだろうか。
部屋を突き止めるのに時間はかからなかったけれど、それから先どうすればいいのか分からない。
「...」
迷った末、取り敢えず扉を2回鳴らしてみる。
けれど近づいてくる足音はふたつで、そのうちひとつは感じたことがある気配だった。
偉い人でケイト様に近い...木葉様だ。
『役立たず!』『本当に使えない...』
そう言われるのが怖くて、私は結局逃げ出してしまった。
ちゃんとお礼を伝えたかったのにそれさえできず、きっと怒られてしまうのだろう。
けれど、あの人に傘がちゃん届いたならそれでいい...そう思っていた。
「シェリ」
向こうのことが分かるということは、相手にも伝わっているかもしれないということ。
そんな単純なことが、すっかり頭から抜け落ちていた。
「明日の午後3時、ここの場所にいて」
木葉様は怒らなかった。
1枚の地図を私に渡して、有無を言わさない笑みを浮かべている。
ケイト様からも許可はいただいたし、それは別に構わない。
けれど一体、何をするのだろうか。
考えても仕方ないので、解散になった後すぐに布団に入る。
一抹の不安を抱えながら無理矢理目を閉じた。
早朝、ケイト様に呼び出される。
「シェリ。あなたに渡したいものがあるの」
「私に、ですか...?」
「ええ。ちょうどあなたに贈り物をしたいと思っていたから...気に入ってもらえると嬉しいんだけど」
それは、見たこともないような輝きを放つワンピース。
ケイト様はいつもこうして何人かいる使用人たちに、交代でプレゼントをくださっている。
この前もらった女の子はネックレス、その前の私より年下の子はぬいぐるみ...。
そうして気配りができる方だからこそ、屋敷にいる全員から慕われているのだ。
「着替え、ました。すごく好き、です」
「それならよかったわ。うんうん、とっても可愛いわ。少し心配になるくらい」
「ケイト様...」
周りには、先輩使用人たちがわらわらと集まってくる。
「今日は仕事のことなんて考えなくていいから、ゆっくり楽しんできなさい」
「ありがとう、ございます...。嬉しい、です」
先輩使用人たちもみんな笑顔で見送ってくれる。
「気をつけてね」「どんなことをしたかあとで聞かせてね!」「お仕事は私たちに任せて、ゆっくりしてきてね」
大半が似たような環境にいた元・人間で、何人かは魔族。
けれど、そんなことは私たちには関係ない。
それが1番嬉しいことで、それが私にとって1番この場所にいたい理由だ。
「ありがとう、ございます。...いってきます」
沢山のいってらっしゃいを聞きながら、お屋敷の門を開ける。
みんなに何かお土産を買って帰ろう、そんなことを考えながら目的地を目指す。
──向日葵色のワンピースが風に揺れていた。
何をどう伝えればいいのだろうか。
部屋を突き止めるのに時間はかからなかったけれど、それから先どうすればいいのか分からない。
「...」
迷った末、取り敢えず扉を2回鳴らしてみる。
けれど近づいてくる足音はふたつで、そのうちひとつは感じたことがある気配だった。
偉い人でケイト様に近い...木葉様だ。
『役立たず!』『本当に使えない...』
そう言われるのが怖くて、私は結局逃げ出してしまった。
ちゃんとお礼を伝えたかったのにそれさえできず、きっと怒られてしまうのだろう。
けれど、あの人に傘がちゃん届いたならそれでいい...そう思っていた。
「シェリ」
向こうのことが分かるということは、相手にも伝わっているかもしれないということ。
そんな単純なことが、すっかり頭から抜け落ちていた。
「明日の午後3時、ここの場所にいて」
木葉様は怒らなかった。
1枚の地図を私に渡して、有無を言わさない笑みを浮かべている。
ケイト様からも許可はいただいたし、それは別に構わない。
けれど一体、何をするのだろうか。
考えても仕方ないので、解散になった後すぐに布団に入る。
一抹の不安を抱えながら無理矢理目を閉じた。
早朝、ケイト様に呼び出される。
「シェリ。あなたに渡したいものがあるの」
「私に、ですか...?」
「ええ。ちょうどあなたに贈り物をしたいと思っていたから...気に入ってもらえると嬉しいんだけど」
それは、見たこともないような輝きを放つワンピース。
ケイト様はいつもこうして何人かいる使用人たちに、交代でプレゼントをくださっている。
この前もらった女の子はネックレス、その前の私より年下の子はぬいぐるみ...。
そうして気配りができる方だからこそ、屋敷にいる全員から慕われているのだ。
「着替え、ました。すごく好き、です」
「それならよかったわ。うんうん、とっても可愛いわ。少し心配になるくらい」
「ケイト様...」
周りには、先輩使用人たちがわらわらと集まってくる。
「今日は仕事のことなんて考えなくていいから、ゆっくり楽しんできなさい」
「ありがとう、ございます...。嬉しい、です」
先輩使用人たちもみんな笑顔で見送ってくれる。
「気をつけてね」「どんなことをしたかあとで聞かせてね!」「お仕事は私たちに任せて、ゆっくりしてきてね」
大半が似たような環境にいた元・人間で、何人かは魔族。
けれど、そんなことは私たちには関係ない。
それが1番嬉しいことで、それが私にとって1番この場所にいたい理由だ。
「ありがとう、ございます。...いってきます」
沢山のいってらっしゃいを聞きながら、お屋敷の門を開ける。
みんなに何かお土産を買って帰ろう、そんなことを考えながら目的地を目指す。
──向日葵色のワンピースが風に揺れていた。
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