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隠暮篇(かくれぐらしへん)
木葉の願い
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「七海、何か他に買いたいものはある?」
「それじゃあ...御守りをもう少し見たいな」
【七海と一緒にいられるように頑張ります。それから、平穏な暮らしを必ず取り戻してみせる】...そう書いた絵馬を誰にも見えないような位置に結ぶ。
それからふたりで巫女さんたちのところに向かい、そのまま少し甘いひとときを楽しんだ。
「これがいいかな?」
「健康の御守り?僕も同じのを買おうかな」
「あ、あとこっちの願いが叶う御守りもいいかもしれない...」
真剣に選ぶ彼女は可愛らしくて、ただ側にいるだけで幸せな気持ちになる。
ずっと側で護っていきたい、離れたくない...やはり僕は、独占欲が強いのかもしれない。
「...木葉、決まった?」
「うん。僕も七海と同じのに...あ、この色違いのにしようかな」
「それじゃあ、」
鞄に手を伸ばそうとする七海の手を然り気無く止め、そのまま自分の財布を取り出した。
「すみません、これください」
「自分の分はちゃんと払うよ」
「僕にはこれくらいしかできないから、できることはやらせてほしいな」
あまり強引すぎればきっと嫌われてしまう...そう思ったのだが、何かしたい気持ちを抑えられなかった。
「それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな。...ありがとう」
そんな僕たちを巫女さんたちは微笑ましそうに見つめていて、なんだか妙に照れくさかった。
「そろそろ家に帰ろうか」
「夕飯の材料を買わないと...」
「大丈夫だよ、ちゃんと揃ってるから」
手を繋ぎ、真っ直ぐ家に向かって走り抜けていく。
材料を用意しているというのは嘘ではないが、少し申し訳なく思っている。
...あれではきっと、軽い炒め物程度しか作れないだろうから。
「ごめん。やっぱりもうちょっと豪華なものが食べたかったよね...」
「そんなことない。私は、木葉が作ってくれたこと自体がすごく嬉しいから。...ありがとう」
独りの頃からよく作っていただけあって、やはり味つけに問題はなさそうだ。
特に食に対して執着がなかった僕は、いつも似たようなメニューばかりを食べていた。
突然治まらなくなる渇きにひたすら耐えていた頃を思い出しながら、ゆっくりと箸を進める。
「...木葉、後で噛んで」
「どうしてそんなことを、」
「具合が悪いのなんて見ていればすぐに分かる。私のせいで我慢させてしまうのは嫌なの。
だから...お願い」
七海はどうしてこんなに優しいのだろう。
いつも僕のことばかり考えてもらっているような気がして、ますます申し訳なくなってくる。
だが、欲求に抗うことは残念ながらできそうにない。
「それはありがたいけど、今夜は別の方法を取ることにするよ。
こんなに頻繁にもらっていたら、きっと七海が体調を崩してしまうから」
多少の渇きを誤魔化す方法ならいくらでもある。
まだ冷蔵庫の中に残っているはずのものを思い浮かべながら、我慢はしないからと彼女に笑いかけた。
「それ、私も見てていい?」
「勿論だよ」
これから先もふたりでいるのなら、いつかは話さなければいけないことがある。
それが今夜になるとは思っていなかった。
──これからいるかどうか分からない無慈悲な神様とやらに、七海に嫌われたくないと追加でお願いしたい。
「それじゃあ...御守りをもう少し見たいな」
【七海と一緒にいられるように頑張ります。それから、平穏な暮らしを必ず取り戻してみせる】...そう書いた絵馬を誰にも見えないような位置に結ぶ。
それからふたりで巫女さんたちのところに向かい、そのまま少し甘いひとときを楽しんだ。
「これがいいかな?」
「健康の御守り?僕も同じのを買おうかな」
「あ、あとこっちの願いが叶う御守りもいいかもしれない...」
真剣に選ぶ彼女は可愛らしくて、ただ側にいるだけで幸せな気持ちになる。
ずっと側で護っていきたい、離れたくない...やはり僕は、独占欲が強いのかもしれない。
「...木葉、決まった?」
「うん。僕も七海と同じのに...あ、この色違いのにしようかな」
「それじゃあ、」
鞄に手を伸ばそうとする七海の手を然り気無く止め、そのまま自分の財布を取り出した。
「すみません、これください」
「自分の分はちゃんと払うよ」
「僕にはこれくらいしかできないから、できることはやらせてほしいな」
あまり強引すぎればきっと嫌われてしまう...そう思ったのだが、何かしたい気持ちを抑えられなかった。
「それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな。...ありがとう」
そんな僕たちを巫女さんたちは微笑ましそうに見つめていて、なんだか妙に照れくさかった。
「そろそろ家に帰ろうか」
「夕飯の材料を買わないと...」
「大丈夫だよ、ちゃんと揃ってるから」
手を繋ぎ、真っ直ぐ家に向かって走り抜けていく。
材料を用意しているというのは嘘ではないが、少し申し訳なく思っている。
...あれではきっと、軽い炒め物程度しか作れないだろうから。
「ごめん。やっぱりもうちょっと豪華なものが食べたかったよね...」
「そんなことない。私は、木葉が作ってくれたこと自体がすごく嬉しいから。...ありがとう」
独りの頃からよく作っていただけあって、やはり味つけに問題はなさそうだ。
特に食に対して執着がなかった僕は、いつも似たようなメニューばかりを食べていた。
突然治まらなくなる渇きにひたすら耐えていた頃を思い出しながら、ゆっくりと箸を進める。
「...木葉、後で噛んで」
「どうしてそんなことを、」
「具合が悪いのなんて見ていればすぐに分かる。私のせいで我慢させてしまうのは嫌なの。
だから...お願い」
七海はどうしてこんなに優しいのだろう。
いつも僕のことばかり考えてもらっているような気がして、ますます申し訳なくなってくる。
だが、欲求に抗うことは残念ながらできそうにない。
「それはありがたいけど、今夜は別の方法を取ることにするよ。
こんなに頻繁にもらっていたら、きっと七海が体調を崩してしまうから」
多少の渇きを誤魔化す方法ならいくらでもある。
まだ冷蔵庫の中に残っているはずのものを思い浮かべながら、我慢はしないからと彼女に笑いかけた。
「それ、私も見てていい?」
「勿論だよ」
これから先もふたりでいるのなら、いつかは話さなければいけないことがある。
それが今夜になるとは思っていなかった。
──これからいるかどうか分からない無慈悲な神様とやらに、七海に嫌われたくないと追加でお願いしたい。
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