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隠暮篇(かくれぐらしへん)
傷の理由
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もうここまで話したのだから、理由も正直に話してしまおう。
「ラッシュさんから貰っている分で計算しながら飲まなくちゃいけないからっていうのと...本当なら、人間にばれたらいけないから」
「ごめんなさい、私...」
「大丈夫だよ。これから先も七海と一緒にいたいから、話さないといけないなって思っていたんだ。
それから...あの抑え方は母親に教えてもらったんだよ」
ラッシュさんも母も、人間の相手がいた人たちだ。
それならばとまずはラッシュさんに訊いてみたが『いい方法が分からない、俺とおまえではタイプが違うしな』という言葉を受けた。
そして結局、魔界付近に住んでいる母の元を訪ねることにしたのだ。
『相手の方と一生一緒にいる覚悟はあるの?』
その問いに僕は即答した。
軽い気持ちしか持っていなかったなら、きっと話してはもらえなかっただろう。
「ケイトさんもそうやって抑えて会いに行ってたってこと?」
「そうだよ。...僕の父親にね」
父親なんて呼んでみても、やはり分からないことだらけだ。
どうしても顔が出てこないせいなのか、それとも欠けている幼い頃の記憶に関係しているのか...今となってはもう分からない。
「木葉、大丈夫?」
「ごめん、なんでもないんだ。それから、クレールを使えなかったのにはまだ理由があって...」
「聞かせて」
「最近、原料の花の数が少なくなってきてるらしいんだ。それに、限界寸前の喉の渇きは抑えられない。
クレールはあくまで一時しのぎ、そのあとくる渇きは何倍も増幅して自分にかえってくる。そうなったらもう...」
血液をもらうしかない、そう伝えようとすると七海に抱きつかれた。
腕を回していいか迷っていると、更に強く抱きしめられる。
「そんなに申し訳なさそうな顔をしないで。...デート中、何回も我慢させちゃってごめんなさい。
それから、私のお願いを沢山叶えてくれてありがとう。これからも大好きだよ」
どこかに行ってしまうのではないか、なんて不安はその言葉で吹き飛んでしまった。
ただ、然り気無く服の袖を捲られてしまったのは失態だ。
「...こんなに自分を傷つけてまで一緒にいたいって思ってくれたんだって、そう信じてもいい?」
「僕は七海と一緒に生きたい。...他の人となんて考えられないんだ」
「それならせめて、傷の手当てをさせてくれる?」
「僕にも頬の傷の手当てをさせて」
ふたりで笑いあって、分からないことは補って。
ずっとこんなふうに側にいたい。
「痛っ...」
「ごめん、もうちょっとだけ我慢してね。...いっ!?」
「木葉ももう少しだけ動かないで」
お互いを支えて、お互いに寄り添って...これが僕たちの理想の形だ。
包帯だらけになった後、ふたりで笑いあう。
こんな僕のことを受け入れてくれる七海を幸せにしたい。
たとえ蕀の道が待っていたとしても、乗り越えていこう...空に瞬く星々にそう誓った。
「ラッシュさんから貰っている分で計算しながら飲まなくちゃいけないからっていうのと...本当なら、人間にばれたらいけないから」
「ごめんなさい、私...」
「大丈夫だよ。これから先も七海と一緒にいたいから、話さないといけないなって思っていたんだ。
それから...あの抑え方は母親に教えてもらったんだよ」
ラッシュさんも母も、人間の相手がいた人たちだ。
それならばとまずはラッシュさんに訊いてみたが『いい方法が分からない、俺とおまえではタイプが違うしな』という言葉を受けた。
そして結局、魔界付近に住んでいる母の元を訪ねることにしたのだ。
『相手の方と一生一緒にいる覚悟はあるの?』
その問いに僕は即答した。
軽い気持ちしか持っていなかったなら、きっと話してはもらえなかっただろう。
「ケイトさんもそうやって抑えて会いに行ってたってこと?」
「そうだよ。...僕の父親にね」
父親なんて呼んでみても、やはり分からないことだらけだ。
どうしても顔が出てこないせいなのか、それとも欠けている幼い頃の記憶に関係しているのか...今となってはもう分からない。
「木葉、大丈夫?」
「ごめん、なんでもないんだ。それから、クレールを使えなかったのにはまだ理由があって...」
「聞かせて」
「最近、原料の花の数が少なくなってきてるらしいんだ。それに、限界寸前の喉の渇きは抑えられない。
クレールはあくまで一時しのぎ、そのあとくる渇きは何倍も増幅して自分にかえってくる。そうなったらもう...」
血液をもらうしかない、そう伝えようとすると七海に抱きつかれた。
腕を回していいか迷っていると、更に強く抱きしめられる。
「そんなに申し訳なさそうな顔をしないで。...デート中、何回も我慢させちゃってごめんなさい。
それから、私のお願いを沢山叶えてくれてありがとう。これからも大好きだよ」
どこかに行ってしまうのではないか、なんて不安はその言葉で吹き飛んでしまった。
ただ、然り気無く服の袖を捲られてしまったのは失態だ。
「...こんなに自分を傷つけてまで一緒にいたいって思ってくれたんだって、そう信じてもいい?」
「僕は七海と一緒に生きたい。...他の人となんて考えられないんだ」
「それならせめて、傷の手当てをさせてくれる?」
「僕にも頬の傷の手当てをさせて」
ふたりで笑いあって、分からないことは補って。
ずっとこんなふうに側にいたい。
「痛っ...」
「ごめん、もうちょっとだけ我慢してね。...いっ!?」
「木葉ももう少しだけ動かないで」
お互いを支えて、お互いに寄り添って...これが僕たちの理想の形だ。
包帯だらけになった後、ふたりで笑いあう。
こんな僕のことを受け入れてくれる七海を幸せにしたい。
たとえ蕀の道が待っていたとしても、乗り越えていこう...空に瞬く星々にそう誓った。
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