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隠暮篇(かくれぐらしへん)
絶不調
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日常とは、ある日突然崩れ去るものだ。
そんなことはもうとっくに知っていた。
過去にもそんなことがあったから、きちんと分かっていたつもりだったのに。
...どうしてこうなってしまったのだろう。
「お疲れ様。すごい、もうすぐ完成?」
「あと3時間で締め切りなんだけど、なかなか最後の台詞がしっくりこなくてやり直してる」
接客を終えた数日後、私は絶望的に進まなかった原稿を慌てて仕上げている。
こんなに焦ったのは久しぶりだ。
木葉といられるのが嬉しくて、その想いも詰めこみながら綴っていくのがとにかく楽しい。
(できた...)
「読んでもいい?」
「...いつもより面白くないかもしれないよ?」
「七海がどんな世界を書いたのか知りたいんだ」
なんとか完成したそれは、個人的にはあまりいい出来とは言えない状態だった。
それでも木葉は楽しそうに目を通してくれる。
「僕はすごく好きだな...」
「ありがとう」
誰かにそう言ってもらえるのはとても安心する。
自分だけでは面白いかどうか判断できないけれど、周りの人たちが楽しそうに読んでくれるだけでまた頑張ろうと思えるのだ。
「七海、少し休んだ方がいいんじゃない?」
「そうしたいけど、あと原稿を送るだけだからもう少しだけ...」
「分かった。じゃあ、無理しないように僕はここで見てる」
それを微笑ましく思いながら仕事を続けていると、少しだけ目眩がした。
(...最近あんまり寝てなかったからかな)
ここ数日、悪夢を見ては起きるのを繰り返しているせいかほとんど眠れていなかった。
そこに締め切り間近というのが重なって、実はコンディションがそれほどよくない。
(このクリックで、終わり...)
「...っ」
「七海!」
後ろから木葉に支えられたのは覚えているけれど、それからどうなったのか記憶にない。
次に目が覚めたとき、私はベッドに横たわっていた。
体を起こそうとすると、木葉が突っ伏して寝ていることに気づく。
「七海...」
「ごめん、起こしちゃった?」
寝言だったのか、すやすやと寝息が聞こえる。
ぬるくなったタオルに、桶いっぱいに入った水...。
視界に入るものだけで、何が起こったのかをすぐに理解した。
(メールは送れているみたいだし、もうひと眠りしよう)
倒れるほど動いたとは思っていなかったけれど、疲労が限界に達したのを木葉がずっと看てくれたことだけは分かる。
申し訳ない気持ちになりながら、突っ伏したまま動かない木葉の頭をそっと撫でた。
「...ごめん。迷惑をかけないように気をつけるから」
ただでさえずっと部屋を貸してもらって迷惑をかけているのに、これ以上心配させるわけにはいかない。
まだふらふらする頭を抱えながら、何かお礼ができないか考える。
もうすぐぴったりな行事があるなと思いついたとき、そのまま意識がとんでいった。
そんなことはもうとっくに知っていた。
過去にもそんなことがあったから、きちんと分かっていたつもりだったのに。
...どうしてこうなってしまったのだろう。
「お疲れ様。すごい、もうすぐ完成?」
「あと3時間で締め切りなんだけど、なかなか最後の台詞がしっくりこなくてやり直してる」
接客を終えた数日後、私は絶望的に進まなかった原稿を慌てて仕上げている。
こんなに焦ったのは久しぶりだ。
木葉といられるのが嬉しくて、その想いも詰めこみながら綴っていくのがとにかく楽しい。
(できた...)
「読んでもいい?」
「...いつもより面白くないかもしれないよ?」
「七海がどんな世界を書いたのか知りたいんだ」
なんとか完成したそれは、個人的にはあまりいい出来とは言えない状態だった。
それでも木葉は楽しそうに目を通してくれる。
「僕はすごく好きだな...」
「ありがとう」
誰かにそう言ってもらえるのはとても安心する。
自分だけでは面白いかどうか判断できないけれど、周りの人たちが楽しそうに読んでくれるだけでまた頑張ろうと思えるのだ。
「七海、少し休んだ方がいいんじゃない?」
「そうしたいけど、あと原稿を送るだけだからもう少しだけ...」
「分かった。じゃあ、無理しないように僕はここで見てる」
それを微笑ましく思いながら仕事を続けていると、少しだけ目眩がした。
(...最近あんまり寝てなかったからかな)
ここ数日、悪夢を見ては起きるのを繰り返しているせいかほとんど眠れていなかった。
そこに締め切り間近というのが重なって、実はコンディションがそれほどよくない。
(このクリックで、終わり...)
「...っ」
「七海!」
後ろから木葉に支えられたのは覚えているけれど、それからどうなったのか記憶にない。
次に目が覚めたとき、私はベッドに横たわっていた。
体を起こそうとすると、木葉が突っ伏して寝ていることに気づく。
「七海...」
「ごめん、起こしちゃった?」
寝言だったのか、すやすやと寝息が聞こえる。
ぬるくなったタオルに、桶いっぱいに入った水...。
視界に入るものだけで、何が起こったのかをすぐに理解した。
(メールは送れているみたいだし、もうひと眠りしよう)
倒れるほど動いたとは思っていなかったけれど、疲労が限界に達したのを木葉がずっと看てくれたことだけは分かる。
申し訳ない気持ちになりながら、突っ伏したまま動かない木葉の頭をそっと撫でた。
「...ごめん。迷惑をかけないように気をつけるから」
ただでさえずっと部屋を貸してもらって迷惑をかけているのに、これ以上心配させるわけにはいかない。
まだふらふらする頭を抱えながら、何かお礼ができないか考える。
もうすぐぴったりな行事があるなと思いついたとき、そのまま意識がとんでいった。
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