ハーフ&ハーフ

黒蝶

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追暮篇(おいぐらしへん)

七海の心配

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「そんな近くにいた人が、いきなり犯罪者候補としてあげられたってこと...?」
七海を動揺させてしまったらしく、視線が落ち着きなく揺れている。
そんな彼女の頬にそっと手を添え、目を合わせるように見つめた。
「仲がよかった訳じゃなかったから、最初は気づかなかったんだ。
でも、見ているうちにだんだんそうなんだろうなって思いはじめて...今は調査中」
「どこにいるか分かったってこと?」
「大体の場所はね。でも、本当にそこにいるかまでは分かっていないんだ」
今すぐにでも確めて七海の不安を拭いたいところだが、仲間がいるかもしれないとなるとそうはいかない。
下手に刺激して狙われてしまうのは厄介だ。
...その為に、片づけるなら一気にやるしかない。
「黙っててごめん。余計な心配をかけたくなかったんだ」
「全然余計なんかじゃないよ」
七海は周りの空気を凍らせるほどの声で淡々と話す。
「私にはできることが少ない。普通の人より体は弱いし、すぐに体調を崩したり...違う部分も多いから。
だからこそ、せめて心配くらいはさせてほしいしどんなことがあったのかくらいはちゃんと知りたい」
「...ごめん」
「木葉がひとりで無理をして頑張っても、私は全然嬉しくないよ」
涙を堪えながらそう言われてしまっては、僕に反論することなんかできなかった。
もし逆の立場なら、僕だって何故話してくれなかったのかと怒っていただろう。
「七海の気持ちを考えたつもりで、ちゃんと考えてなかった。...本当にごめんね」
できるだけ優しく抱きしめると、堰を切ったように溢れる涙で服が濡れていくのを感じる。
こんなに辛い思いをさせるつもりではなかったのに、結局悲しませてしまった。
「...犯人、捕まえるの?」
「勿論だよ。ただ、相手は人間だからどうしようか迷ってる」
「どうしようかって...?」
「七海に手を出した奴なんて目の前にしたら、力が入りすぎて殺してしまいそうだから」
「...そうなったときは私が止める」
落ち着いてきた七海ははっきりとそう告げた。
僕が思っているよりもずっと彼女は強い。
だが、やはり護りたいと思うのも事実で...様々な思いがせめぎあい、複雑に絡みあっている状態だった。
「だから、ひとりで戦ったりしないでね。私のことをちゃんと頼ってほしい」
「ありがとう。...それじゃあ、万が一街で出くわしたときの作戦でもたてようか」
「そうだね」
居場所がはっきり確定しない以上、下手に動かない方がいい。
だから今の最善策は、できるだけいると思われる場所に近づかないことだ。
ふたりで見つめあった瞬間、1羽の烏が飛来した。
「ノワール...?」
「疲れているのにごめんね」
ノワールの足にくくりつけられていた手紙に目を通し、七海を真っ直ぐ見た。
「ラッシュさんが、美桜さんのお社の引っ越しを手伝ってくれるって。
この近くの裏山に作ろうって返事がきたよ」
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