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追暮篇(おいぐらしへん)
引っ越し準備
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「ラッシュさん、こんにちは」
「おう、来たか。...木葉、眠いなら奥の部屋で寝てろ」
「ごめん、そうさせてもらうね...」
時間はまだ午後2時過ぎ。
まだ頭がまともに働く時間ではないのに、それでも木葉は体を起こして一緒にここまで来てくれた。
「それにしても、まさか神様と知り合いとはな...」
「お手伝いとか、無理なことを言ってしまってごめんなさい」
「いや、別に無理って訳じゃないし...。ただ、材木を揃えるのにちょっと苦戦したってだけだから気にするな」
頭をぽんぽんと撫でられて、少しだけ安心する。
(一応ラッシュさんにもお守りを作ってきたけど、渡してみてもいいのかな...)
「どうした、さっきから熱視線をおくってきて?」
「え、あ、ごめんなさい!一応お守り代わりにと思って作ってみたんですけど...」
ただのミサンガなのだから捨ててくれても構わないのに、ラッシュさんはそうはしなかった。
「...早速色々願掛けさせてもらう。わざわざありがとよ」
「はい。それで、今日はどんなお手伝いをすれば...」
「その神様、どんなものが好きなのかと思ってな。話を聞きたかったんだ。
本当はお嬢さんからじゃなくて直接聞ければいいんだろうが、行くのは厳しそうだしな...」
それによって材木に工夫を施したり、衣服の用意をするとのことだった。
ただ、美桜さんは装束以外の洋服を着られるのだろうか。
(...普通の服は無理でも、ラッシュさんが作ったものなら着られるのかもしれない)
「お嬢さん、神様のサイズが分からないから今は作りようがないが...この中ならどのデザインが好きそうだ?」
もう既にデザイン画まで用意してくれていたラッシュさんの心遣いに、心が温かくなっていく。
「これ、とかだと思います。あと、柱のデザインはこっちの方がいいような気がします」
「成程、こういう木々を象ったものがいいのか...」
勝手に決めてしまっていいのかは分からないけれど、どれがいいのかは見ているとなんとなく分かった。
「よし、大体のものはできたな」
「ありがとうございます。人の気持ちがこめられたものが好きだから、美桜さんもきっと気に入ってくれると思います」
「ミオウさん...?」
「神様の名前です。美しい桜で、美桜さんというんですけど...」
長年生きてきているのだから、知り合いなのかもしれない。
そんなことも考えながらラッシュさんを見つめる。
「...そうか、あいつか」
「ラッシュさん?」
「いや、なんでもない。名前どおりならたしかにこういうものが好きそうだな。
それに...お嬢さんみたいに俺たちみたいな存在を人と呼んでくれるのはいつもありがたいと思ってるよ」
「普通じゃないんですか?」
ラッシュさんは困ったように笑っていたけれど、はっとしたように奥の扉を指さす。
「...あそこからこっちを覗いてる奴も、きっといつもありがたいって思ってると思うぞ」
「え...?」
扉の向こうから少しだけ不機嫌な木葉が出てくる。
「ラッシュさん、七海と距離が近すぎ。...僕の恋人に見惚れないで」
「悪かったからそんなに拗ねるな」
「そういえば、ラッシュさんが待っている人ってどんな人なのかもっと知りたいです」
「かなり昔の話だし、それならお茶でも飲みながら話すか...」
3人で話をするのはとても楽しい。
ここにシェリやケイトさんが加わって、美桜さんも来られれば...そんな幸せな風景を想像しながら、どうしても昨夜のことが頭をちらついてしまう。
「...大丈夫だから」
「ありがとう」
耳許で囁かれた木葉の言葉にそう返しながら、今を楽しむことにする。
──それから数日も経たないうちに、引っ越し準備が完了したと連絡がきた。
「おう、来たか。...木葉、眠いなら奥の部屋で寝てろ」
「ごめん、そうさせてもらうね...」
時間はまだ午後2時過ぎ。
まだ頭がまともに働く時間ではないのに、それでも木葉は体を起こして一緒にここまで来てくれた。
「それにしても、まさか神様と知り合いとはな...」
「お手伝いとか、無理なことを言ってしまってごめんなさい」
「いや、別に無理って訳じゃないし...。ただ、材木を揃えるのにちょっと苦戦したってだけだから気にするな」
頭をぽんぽんと撫でられて、少しだけ安心する。
(一応ラッシュさんにもお守りを作ってきたけど、渡してみてもいいのかな...)
「どうした、さっきから熱視線をおくってきて?」
「え、あ、ごめんなさい!一応お守り代わりにと思って作ってみたんですけど...」
ただのミサンガなのだから捨ててくれても構わないのに、ラッシュさんはそうはしなかった。
「...早速色々願掛けさせてもらう。わざわざありがとよ」
「はい。それで、今日はどんなお手伝いをすれば...」
「その神様、どんなものが好きなのかと思ってな。話を聞きたかったんだ。
本当はお嬢さんからじゃなくて直接聞ければいいんだろうが、行くのは厳しそうだしな...」
それによって材木に工夫を施したり、衣服の用意をするとのことだった。
ただ、美桜さんは装束以外の洋服を着られるのだろうか。
(...普通の服は無理でも、ラッシュさんが作ったものなら着られるのかもしれない)
「お嬢さん、神様のサイズが分からないから今は作りようがないが...この中ならどのデザインが好きそうだ?」
もう既にデザイン画まで用意してくれていたラッシュさんの心遣いに、心が温かくなっていく。
「これ、とかだと思います。あと、柱のデザインはこっちの方がいいような気がします」
「成程、こういう木々を象ったものがいいのか...」
勝手に決めてしまっていいのかは分からないけれど、どれがいいのかは見ているとなんとなく分かった。
「よし、大体のものはできたな」
「ありがとうございます。人の気持ちがこめられたものが好きだから、美桜さんもきっと気に入ってくれると思います」
「ミオウさん...?」
「神様の名前です。美しい桜で、美桜さんというんですけど...」
長年生きてきているのだから、知り合いなのかもしれない。
そんなことも考えながらラッシュさんを見つめる。
「...そうか、あいつか」
「ラッシュさん?」
「いや、なんでもない。名前どおりならたしかにこういうものが好きそうだな。
それに...お嬢さんみたいに俺たちみたいな存在を人と呼んでくれるのはいつもありがたいと思ってるよ」
「普通じゃないんですか?」
ラッシュさんは困ったように笑っていたけれど、はっとしたように奥の扉を指さす。
「...あそこからこっちを覗いてる奴も、きっといつもありがたいって思ってると思うぞ」
「え...?」
扉の向こうから少しだけ不機嫌な木葉が出てくる。
「ラッシュさん、七海と距離が近すぎ。...僕の恋人に見惚れないで」
「悪かったからそんなに拗ねるな」
「そういえば、ラッシュさんが待っている人ってどんな人なのかもっと知りたいです」
「かなり昔の話だし、それならお茶でも飲みながら話すか...」
3人で話をするのはとても楽しい。
ここにシェリやケイトさんが加わって、美桜さんも来られれば...そんな幸せな風景を想像しながら、どうしても昨夜のことが頭をちらついてしまう。
「...大丈夫だから」
「ありがとう」
耳許で囁かれた木葉の言葉にそう返しながら、今を楽しむことにする。
──それから数日も経たないうちに、引っ越し準備が完了したと連絡がきた。
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