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追暮篇(おいぐらしへん)
お手伝い
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「んん...」
布団をはがれるような感覚があり、重い瞼を持ち上げる。
「木葉、もうお昼過ぎ...っ」
それは無意識の行動だった。
目の前に大切な恋人の唇があったから...ただそんな理由だけで口づける。
「おはよう」
「い、いきなりは禁止...!」
「ごめん。...機嫌なおして?」
クレールで欲求を抑えているせいなのか、別の欲求が湧き出してきて止めることができない。
そのまま狂おしいほどの愛しさで支配してしまいそうになるのを堪え、寝起きで力が入らない腕で抱きしめる。
怒られてしまわないか...そう不安に感じていたが、七海は頬を赤らめただ僕にされるがままになっていた。
「吃驚しただけで怒ってはないから...取り敢えずご飯にしよう」
「ごめん...ありがとう」
ふたり揃って毎日ご飯を食べるのはやはり楽しい。
この時間のおかげで、今日1日重労働になるであろうものを頑張っていけるような気がする。
「体調が悪いなら、」
「ううん。...僕が手伝いたいんだ」
七海の申し出はとてもありがたいものだったが、今日ばかりは寝ていられない。
...それに、ラッシュさん相手にやきもきしてしまうのはもう嫌だ。
「行こう。僕は大丈夫だから」
「...うん」
電車に揺られながら、他愛のない話をして...そうこうしているうちに時間はあっという間に過ぎ去っていた。
「ここで降りないと遠くなるね」
「そうだった...」
心配そうに僕を見つめる七海の頭を撫でながら、そっと手を差し出す。
少しだけ緊張したように握りかえされた手は熱を持ち、なんだか僕まで鼓動が高鳴るような感覚に陥った。
「美桜さんの荷物ってどんなものがあるの?」
「装束とか、舞いに使う道具とか...あ、あと本類が多かったような気がする」
いつかの夜通った山道を抜け、そのままお社に到着する。
「...待ってた」
「こんにちは、美桜さん」
神様ひとりを連れ出せても、流石に近くに民家があるなかで大量のものを運ぶのは難しいだろう...そういう話になり、まず荷物を先に少しずつ配達してもらえるように手筈を整えた。
ただ、美桜さんひとりに荷物を整理させるわけにはいかないからと僕たちは手伝いに行くことにしたのだ。
「そっちのものはもう運べるようにしておいた。お願いしてもいい?」
「勿論。でも、その...」
僕が訊きづらく思っているのを察知したのか、七海が口を開いた。
「美桜さんはここを離れるの、寂しくない?」
「...ここを離れるのは少し寂しいけれど、楽しみでもある」
少し間を開けられた言葉には、未練なんてほとんど残っていないような様子だった。
ふたりが微笑ましくて少し離れた場所で荷物の整理をしていると、美桜さんに声をかけられる。
「ふたりとも、あとは多分大丈夫だから...1回お茶にしよう」
お茶目な神様の発言に少しだけ驚きながら、遠慮なくいただくことにする。
空は少しずつ茜色に染まっていて、そよ風がとても気持ちよかった。
布団をはがれるような感覚があり、重い瞼を持ち上げる。
「木葉、もうお昼過ぎ...っ」
それは無意識の行動だった。
目の前に大切な恋人の唇があったから...ただそんな理由だけで口づける。
「おはよう」
「い、いきなりは禁止...!」
「ごめん。...機嫌なおして?」
クレールで欲求を抑えているせいなのか、別の欲求が湧き出してきて止めることができない。
そのまま狂おしいほどの愛しさで支配してしまいそうになるのを堪え、寝起きで力が入らない腕で抱きしめる。
怒られてしまわないか...そう不安に感じていたが、七海は頬を赤らめただ僕にされるがままになっていた。
「吃驚しただけで怒ってはないから...取り敢えずご飯にしよう」
「ごめん...ありがとう」
ふたり揃って毎日ご飯を食べるのはやはり楽しい。
この時間のおかげで、今日1日重労働になるであろうものを頑張っていけるような気がする。
「体調が悪いなら、」
「ううん。...僕が手伝いたいんだ」
七海の申し出はとてもありがたいものだったが、今日ばかりは寝ていられない。
...それに、ラッシュさん相手にやきもきしてしまうのはもう嫌だ。
「行こう。僕は大丈夫だから」
「...うん」
電車に揺られながら、他愛のない話をして...そうこうしているうちに時間はあっという間に過ぎ去っていた。
「ここで降りないと遠くなるね」
「そうだった...」
心配そうに僕を見つめる七海の頭を撫でながら、そっと手を差し出す。
少しだけ緊張したように握りかえされた手は熱を持ち、なんだか僕まで鼓動が高鳴るような感覚に陥った。
「美桜さんの荷物ってどんなものがあるの?」
「装束とか、舞いに使う道具とか...あ、あと本類が多かったような気がする」
いつかの夜通った山道を抜け、そのままお社に到着する。
「...待ってた」
「こんにちは、美桜さん」
神様ひとりを連れ出せても、流石に近くに民家があるなかで大量のものを運ぶのは難しいだろう...そういう話になり、まず荷物を先に少しずつ配達してもらえるように手筈を整えた。
ただ、美桜さんひとりに荷物を整理させるわけにはいかないからと僕たちは手伝いに行くことにしたのだ。
「そっちのものはもう運べるようにしておいた。お願いしてもいい?」
「勿論。でも、その...」
僕が訊きづらく思っているのを察知したのか、七海が口を開いた。
「美桜さんはここを離れるの、寂しくない?」
「...ここを離れるのは少し寂しいけれど、楽しみでもある」
少し間を開けられた言葉には、未練なんてほとんど残っていないような様子だった。
ふたりが微笑ましくて少し離れた場所で荷物の整理をしていると、美桜さんに声をかけられる。
「ふたりとも、あとは多分大丈夫だから...1回お茶にしよう」
お茶目な神様の発言に少しだけ驚きながら、遠慮なくいただくことにする。
空は少しずつ茜色に染まっていて、そよ風がとても気持ちよかった。
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