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追暮篇(おいぐらしへん)
荷ほどき
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「ふたりとも、食事は終わった?」
「うん。寝る場所を貸してくれてありがとう、美桜さん」
木葉の言葉に美桜さんはただ微笑んでいる。
あのあと結局彼の言葉に翻弄されながらなんとか食事を終えた。
今もまだ心臓が爆音をたてているけれど、なんとか悟られないようにしている。
(人の、それも神様の家であんなことをするなんて...やっぱり恥ずかしいな)
「それじゃあ、そのお弁当箱を仕舞ったら荷物を出すのを手伝ってくれる?」
「勿論。さっきまで寝ちゃってたとはいえ、今日はその為に。ここにいるんだしね」
木葉と私が任されたのは、まあまあ重い段ボールだった。
きっとふたりで一緒に作業ができるようにと気を遣ってくれたのだろう。
そう思うと感謝の言葉しか出てこない。
「美桜さん、ありがとう」
「...私の方こそありがとう」
美桜さんはそれだけ言うと、ラッシュさんのところに行ってしまった。
それからはふたりで食器類や本類の整理に追われることになった。
「七海、そっちのはしっこに置いてある本を取ってもらってもいいかな?」
「こっち?」
流石は本屋さんでお仕事しているだけあって、木葉の片づけ作業はすごく速い。
すいすいと本棚に吸いこまれていくのを、ただ呆然と見ていることしかできなかった。
(あ、この食器は昔お気に入りだって大切にしていたものだ...)
懐かしいものとの再会を楽しみながら、少しずつ段ボールの中身が減っていく。
「あ...」
「どうしたの?」
「これ、小さい七海じゃない?」
木葉が見せてくれたのは、少し傷ついたアルバムだった。
ただ、肝心の写真は全部綺麗に保護されていて無傷だ。
(きっと美桜さんがやったんだろうな...)
笑っている母と、何かを手に持っている私...そして、少し離れた場所に立っている美桜さん。
「...こんなこともあったんだった」
「七海?」
「楽しいときほど早く過ぎ去ってしまうっていうけど、本当なんだね...」
思わずそんなことを呟いてしまった。
勿論今は楽しいし、これからもそうだと信じている。
けれど、どうしても嫌なことが頭から消えてくれないのだ。
『いいのいいの、あの子はどっかにまわすから』
そうやって私をすぐ余所の親戚にやった人もいた。
『ごめんね、ご飯忘れてた。今日は要らないよね?』
忘れたふりをして自分たちだけ外食を楽しむ人もいた。
『何だか気味が悪いのよね、やっぱりあの女の娘なだけはある』
...意味もなく疎む人もいた。
そうしてたらい回しになったとき、初めて応募した小説で大賞を受賞してお金が手に入ったのだ。
だからこそ、こうして自由になれたというのもある。
(それから、遺族年金や遺産の受取人だったことも...)
色々なものがこみあげてきて、どうしても手が止まってしまう。
「七海...?」
「うん。寝る場所を貸してくれてありがとう、美桜さん」
木葉の言葉に美桜さんはただ微笑んでいる。
あのあと結局彼の言葉に翻弄されながらなんとか食事を終えた。
今もまだ心臓が爆音をたてているけれど、なんとか悟られないようにしている。
(人の、それも神様の家であんなことをするなんて...やっぱり恥ずかしいな)
「それじゃあ、そのお弁当箱を仕舞ったら荷物を出すのを手伝ってくれる?」
「勿論。さっきまで寝ちゃってたとはいえ、今日はその為に。ここにいるんだしね」
木葉と私が任されたのは、まあまあ重い段ボールだった。
きっとふたりで一緒に作業ができるようにと気を遣ってくれたのだろう。
そう思うと感謝の言葉しか出てこない。
「美桜さん、ありがとう」
「...私の方こそありがとう」
美桜さんはそれだけ言うと、ラッシュさんのところに行ってしまった。
それからはふたりで食器類や本類の整理に追われることになった。
「七海、そっちのはしっこに置いてある本を取ってもらってもいいかな?」
「こっち?」
流石は本屋さんでお仕事しているだけあって、木葉の片づけ作業はすごく速い。
すいすいと本棚に吸いこまれていくのを、ただ呆然と見ていることしかできなかった。
(あ、この食器は昔お気に入りだって大切にしていたものだ...)
懐かしいものとの再会を楽しみながら、少しずつ段ボールの中身が減っていく。
「あ...」
「どうしたの?」
「これ、小さい七海じゃない?」
木葉が見せてくれたのは、少し傷ついたアルバムだった。
ただ、肝心の写真は全部綺麗に保護されていて無傷だ。
(きっと美桜さんがやったんだろうな...)
笑っている母と、何かを手に持っている私...そして、少し離れた場所に立っている美桜さん。
「...こんなこともあったんだった」
「七海?」
「楽しいときほど早く過ぎ去ってしまうっていうけど、本当なんだね...」
思わずそんなことを呟いてしまった。
勿論今は楽しいし、これからもそうだと信じている。
けれど、どうしても嫌なことが頭から消えてくれないのだ。
『いいのいいの、あの子はどっかにまわすから』
そうやって私をすぐ余所の親戚にやった人もいた。
『ごめんね、ご飯忘れてた。今日は要らないよね?』
忘れたふりをして自分たちだけ外食を楽しむ人もいた。
『何だか気味が悪いのよね、やっぱりあの女の娘なだけはある』
...意味もなく疎む人もいた。
そうしてたらい回しになったとき、初めて応募した小説で大賞を受賞してお金が手に入ったのだ。
だからこそ、こうして自由になれたというのもある。
(それから、遺族年金や遺産の受取人だったことも...)
色々なものがこみあげてきて、どうしても手が止まってしまう。
「七海...?」
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