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追暮篇(おいぐらしへん)
対処法
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手が止まった七海の表情を確認して、そっと寄り添うように隣に座る。
「...七海」
「ごめんなさい、私...」
「嫌なことを思い出した?」
小さく頷く彼女の隣にいることしかできないのがもどかしい。
過去についてはお互いあまり踏みこんだ話をしてこなかった。
僕にも彼女にもどうしても踏みこまれたくないことがあるはずだと何も訊かずにいたが、それは間違いだったのかもしれない。
「...そういうときは、楽しいことの欠片を思い浮かべるんだ」
「楽しいことの、欠片...」
「そう。...僕はそうすることにしてる」
ヴァンパイアの血が混ざっているとばれた瞬間、掌をかえすような態度をとられた。
僕にとってはただの友人で、七海と出会うまでは人間から吸血したこともなかったのに...そんな日がいきなりやってきてしまったのだ。
半暴走状態になった、とてつもなく嫌な思い出...今でも思い出さないわけではない。
だが、どうすればそこに囚われずにすむのかを周りが教えてくれた。
母にラッシュさん、シェリたち遣い魔...みんな色んなものを抱えている。
「七海にとって楽しいことは何?」
「...木葉といられること」
「それは嬉しいな。それじゃあその楽しい時間を思い出してみて」
灰暗かった心に、一筋の光がさす。
そうしてまた心が彩づいていくのを感じながら、少しずつ落ち着いていくのだ。
...個人差はあるのだろうけど、僕にはそれが1番効果的だった。
「木葉に褒めてもらえるのが1番嬉しい」
「それじゃあこうしてようか」
僕と一緒にいられるのが楽しいなんて言ってもらえるとは思っていなかった僕は、ただ彼女を抱きしめた。
柔らかくて僕より小さくて、脆く儚い体が壊れてしまわないように加減しながら腕に力をいれる。
七海はすがりつくように抱きしめかえしてくれた。
心の雨を止めたくて、ただ必死に腕に力をいれる。
これからだって側にいる、ずっと一緒だと伝えたい。
馬鹿馬鹿しいと思われてしまうかもしれないが、僕にとってはとても大切なことだ。
「...なんだか心が満たされたような気がする」
「それならよかった」
『おまえみたいな奴、永遠に独りなんだよ!』
...とてつもなく苦い記憶が甦り、抱きしめたまま目を閉じる。
僕が思い浮かべる時間も、いつだって七海との時間だ。
「もう少し、このままでいてくれる?」
「勿論だよ。...僕もこうしていたい」
ふたりでただ抱きあって、時折そっと口づける。
これだけ甘い時間を、他に知らない。
片づけ中であることも他に人がいることも忘れ、そのまま唇を重ねあわせた。
...どのくらい時間が経っただろうか。
「ありがとう。なんだか元気になれたよ」
「それならよかった。...ただ、もう少しペースをあげないとね」
まだ未開封のままの段ボールのミニタワーを遠い目で見つめ、ほっと息をつく。
それらが終わる頃には、あたりがすっかり暗くなってしまっていた。
「...七海」
「ごめんなさい、私...」
「嫌なことを思い出した?」
小さく頷く彼女の隣にいることしかできないのがもどかしい。
過去についてはお互いあまり踏みこんだ話をしてこなかった。
僕にも彼女にもどうしても踏みこまれたくないことがあるはずだと何も訊かずにいたが、それは間違いだったのかもしれない。
「...そういうときは、楽しいことの欠片を思い浮かべるんだ」
「楽しいことの、欠片...」
「そう。...僕はそうすることにしてる」
ヴァンパイアの血が混ざっているとばれた瞬間、掌をかえすような態度をとられた。
僕にとってはただの友人で、七海と出会うまでは人間から吸血したこともなかったのに...そんな日がいきなりやってきてしまったのだ。
半暴走状態になった、とてつもなく嫌な思い出...今でも思い出さないわけではない。
だが、どうすればそこに囚われずにすむのかを周りが教えてくれた。
母にラッシュさん、シェリたち遣い魔...みんな色んなものを抱えている。
「七海にとって楽しいことは何?」
「...木葉といられること」
「それは嬉しいな。それじゃあその楽しい時間を思い出してみて」
灰暗かった心に、一筋の光がさす。
そうしてまた心が彩づいていくのを感じながら、少しずつ落ち着いていくのだ。
...個人差はあるのだろうけど、僕にはそれが1番効果的だった。
「木葉に褒めてもらえるのが1番嬉しい」
「それじゃあこうしてようか」
僕と一緒にいられるのが楽しいなんて言ってもらえるとは思っていなかった僕は、ただ彼女を抱きしめた。
柔らかくて僕より小さくて、脆く儚い体が壊れてしまわないように加減しながら腕に力をいれる。
七海はすがりつくように抱きしめかえしてくれた。
心の雨を止めたくて、ただ必死に腕に力をいれる。
これからだって側にいる、ずっと一緒だと伝えたい。
馬鹿馬鹿しいと思われてしまうかもしれないが、僕にとってはとても大切なことだ。
「...なんだか心が満たされたような気がする」
「それならよかった」
『おまえみたいな奴、永遠に独りなんだよ!』
...とてつもなく苦い記憶が甦り、抱きしめたまま目を閉じる。
僕が思い浮かべる時間も、いつだって七海との時間だ。
「もう少し、このままでいてくれる?」
「勿論だよ。...僕もこうしていたい」
ふたりでただ抱きあって、時折そっと口づける。
これだけ甘い時間を、他に知らない。
片づけ中であることも他に人がいることも忘れ、そのまま唇を重ねあわせた。
...どのくらい時間が経っただろうか。
「ありがとう。なんだか元気になれたよ」
「それならよかった。...ただ、もう少しペースをあげないとね」
まだ未開封のままの段ボールのミニタワーを遠い目で見つめ、ほっと息をつく。
それらが終わる頃には、あたりがすっかり暗くなってしまっていた。
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