ハーフ&ハーフ

黒蝶

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追暮篇(おいぐらしへん)

どきどきのデート

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「この格好なら変じゃないかな...」
思いがけないサプライズから2日ほど経ち、今日はデートの約束の日。
どんな服を着ていけばいいのかなんて、久しぶりにそんなことを考えている。
(...もう少し寝かせておいてあげよう)
朝食は軽めに食べて、いつもどおりふたり分の昼食の準備に取り掛かる。
どんなものにしようかと迷っていると、独りでいた頃より作るのが楽しくなってきた。
そうして料理ができあがってから声をかけでみる。
「...木葉、起きられる?」
「んん...」
まだ寝ていたい、そんな姿が微笑ましくてつい頭を撫でてしまう。
寝癖をなおすという意味でも、ただ好きだからという意味でも。
(なかなか起きてくれそうにないな...)
「木葉、起きて...」
「...七海」
いきなりぱしっと手を掴まれたかと思うと、そのままベッドに引きずりこまれそうになる。
「わっ...!?」
まだ寝ぼけているのか、木葉はぼんやりしているようだった。
「ん...おはよう...」
「おはよう、ございます...」
朝からこんな調子では心臓が持たない。
しばらくされるがままになっていると、頭を撫でていた手がぴたりと止まった。
「...え、嘘、ごめん!」
「寝惚けてた?」
「本当にごめん...」
途端にしゅんと肩を落とした木葉に微笑みかけながら話をする。
「気にしないで。どきどきしたけど、嫌だった訳じゃないから」
「それならよかった...」
ぱっと明るくなった声を聞いて、少しだけほっとする。
木葉は時々、ものすごく気にしてしまうことがあるのだ。
(今回はそこまで引きずってないみたい)
その事実に安堵していると、ご飯が冷めてしまいそうになっていることに気づく。
「先に食べよう。このままだと冷えちゃうから...」
「ありがとう。いただきます」
ふたりで食べた後、そのまま急いでバスに乗る。
「今日は屋外に行くけど、天気は大丈夫かな?」
「調べてみたけど大丈夫そうだよ」
ほとんど人が乗っていないバスの座席に腰掛けて、そのまま早咲きの桜が見られる場所に向かう。
「...迷子にならないように、手を繋ごうか」
「う、うん...」
指と指が絡まりあったとき、鼓動が高鳴るのを感じる。
木葉に分かってしまったのか、にこにこ笑いながら強く手をひかれた。
そして、耳許でそっと囁かれる。
「照れ屋さんだね。...顔、真っ赤だよ」
「...っ」
どうしても恥ずかしくて俯いてしまう。
そんな私を見て、木葉はさらに笑みを深くした。
「き、今日はお弁当を作ってきたんだ。食べられる場所があればいいんだけど...」
「きっとあるよ」
話を逸らしたことに気づいているのかいないのか、木葉は優しく答えてくれた。
そのまま先に進んでいくと、目の前が薄桃色に染まるのを感じる。
「やっぱり綺麗...」
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