ハーフ&ハーフ

黒蝶

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追暮篇(おいぐらしへん)

祈りの舞

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「...ここか」
思わずそんな言葉を呟いてしまう。
ようやく確証が持てるほどの証拠が揃って、そのままその場所に入ってみる。
見た目は広いけれど、それほど人間の気配は感じられない。
「こんにちは...」
一応そんな声をかけてはみたものの、やはり誰からの返事もかえってこなかった。
場所が間違っているはずはないのだから、どこかに隠れている可能性もある。
「...誰だ?」
「あ、こんばんは。道に迷ってしまって...ちょっとそちらに行っても大丈夫でしょうか?」
「それならこっち来いよ」
「では遠慮なく」
...間違いない、集めた情報資料の中にいた見張りの男だ。
助走をつけて手刀を落とし、そのまま気絶させる。
「おい、何の音だ!」
「こんばんは。あなたたちのこと、これからじっくり倒させてもらうね」
相手はせいぜい10人から15人、油断しなければなんとかなる人数だ。
何人かが束になってやってくるのを、地面を蹴りあげた勢いで吹き飛ばす。
「...駄目だよ、こんなところで賭博なんかしたら」
「おまえサツか?」
「恋人と友人を傷つけられた被害者だよ」
嘘は言っていない。
だからといって解決法がこれでいいとも思ってはいないが、警察ではきっとこんなに早く動けないだろう。
人間の気配が少しずつ増えていくことに焦りを覚えていると、目の前から鉄骨が飛んできた。
「...僕のことを鉄骨で潰そうとしたのも、やっぱりあなたたちなんだね」
あの日落下してきたものと同じ結び目に少しだけ視線をやる。
それから容赦なくパンチとキックを撃ちこみながら、なんとか残り3人まで減らす。
「これなら無理だろう!」
その男の手には銃が握られていて、ああしまったと思った。
僕はすぐに避けられるような体勢になく、どうすればいいのかとひとり焦燥する。
もう間に合わない...1発当たるのを覚悟で攻撃していると、近くでしゃらしゃらと鈴の音が聞こえた。
「これは...」
確かに弾はこちらに向かってきていたはずなのに、それが空中で停止している。
手首には、新しく作ってもらったミサンガが光っていた。
「...ありがとう」
そんなありふれた言葉を呟きながら、相手に向かって突進した。
近くから七海の気配がして、気絶した連中を集めてそのまま小走りでその方向へ向かう。
そこには、扇と鈴のようなものを持って舞っている七海の姿があった。
「木葉...!」
「七海、どうして...」
「ただ護られていられるほど、私はいい子なんかじゃないから」
擦り傷だらけの手足に、激しい息切れ...。
どれだけ心配をかけてしまったのだろう。
「ごめん。護りたかったとはいえ勝手だった」
「本当だよ。もしものことがあったら、私は...」
泣きそうになっている七海に向かって手を伸ばす。
そうしていると、何故か思いきり体を回転させられた。
「...っ」
小さく呻く七海の腕からは、どくどくと赤いものが流れている。
「七海...?」
なんで。どうしてこんなことに。
体勢を変えると、そこには硝煙のあがる銃を片手にほくそ笑む男が立っていた。
「おまえ...!」
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