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追暮篇(おいぐらしへん)
静かな怒り
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「な、んで...」
木葉は肩を震わせながら、小さくそれだけ発した。
(よかった、木葉に怪我はなさそう...)
本当はもっと話をするつもりだったのに、体がどんどん重くなっていく。
鉛玉になんて初めて当たった。
自分の体からどんどん赤が滴り落ちていくのを感じながら、唐牛で意識を保っている。
「...おまえ、なんで撃った?」
今まで聞いたことがないような低い声で、木葉は目の前の男に問い掛ける。
私を銃弾で貫いたらしい男からは、得たいの知れない悪意しか感じとることができない。
「その子を撃てば大金になる。...ただそれだけだよ」
「...僕に銃口を向けてたヘタレのくせに」
「なんだと?」
撃鉄をおこす音がして、私はあることに気づく。
あの音を、私はずっと怖い何かがきた音だと思っていた。
けれどもし、あのときと同じものなら...。
「木葉、1発目ははったり...その次の弾には、」
「大丈夫だよ、全部壊すから」
そのあとの速さは異常とも呼べるものだった。
目では追えない、銃口は抑えられている、地面で這いつくばっている男の怯えた表情...何がおこったのか分かるまで、しばらく時間がかかってしまう。
「相手が人間離れしているなんて...」
「言ったでしょ、全部壊すって」
瞬間、地響きのようなものがうっすらと耳に届く。
本気だ。木葉は本気で目の前の男を殺そうとしている。
「だ、駄目...」
正直、もう体じゅうの感覚がない。
それでも、大切な人が何かを殺す瞬間なんてものをただ見ているわけにはいかないのだ。
「もういいの。...やめて、木葉」
しっかり声をなっていたか心配だったけれど、なんとか足を押さえることができた。
そんな私を見つめる瞳は氷のように冷たかったけれど、それは一瞬で...血にまみれた体を抱きしめられる。
「七、海...」
「ありがとう、ちゃんと...止まってくれて」
もう音は止んでいて、暗闇には静寂が広がっている。
(木葉の力、これで抑えられたのかな...)
ケイトさんの切実な言葉を思い出しながら、その場で力なく微笑む。
ただ、足音が近づいてくるのが気になって仕方がない。
シェリにしては音が小さすぎるけれど、ラッシュさんにしては歩幅が大きいような気がする。
木葉はその方をじっと見て目を見開いた。
「...お母さん」
「ふたりとも、よく頑張りました。あとは私に任せて、早くあの場所に行きなさい」
どこのことを話しているのか、回らなくなった頭では答えを導き出せない。
遠退く意識の中、今まで聞いたなかで1番恐ろしい声が響いた。
「おまえはあのときの子孫か。まさかあのおぞましい血がここまで続くとは...」
──あなたたちが蓬を殺した忌まわしい過去を、清算してあげましょう。
木葉は肩を震わせながら、小さくそれだけ発した。
(よかった、木葉に怪我はなさそう...)
本当はもっと話をするつもりだったのに、体がどんどん重くなっていく。
鉛玉になんて初めて当たった。
自分の体からどんどん赤が滴り落ちていくのを感じながら、唐牛で意識を保っている。
「...おまえ、なんで撃った?」
今まで聞いたことがないような低い声で、木葉は目の前の男に問い掛ける。
私を銃弾で貫いたらしい男からは、得たいの知れない悪意しか感じとることができない。
「その子を撃てば大金になる。...ただそれだけだよ」
「...僕に銃口を向けてたヘタレのくせに」
「なんだと?」
撃鉄をおこす音がして、私はあることに気づく。
あの音を、私はずっと怖い何かがきた音だと思っていた。
けれどもし、あのときと同じものなら...。
「木葉、1発目ははったり...その次の弾には、」
「大丈夫だよ、全部壊すから」
そのあとの速さは異常とも呼べるものだった。
目では追えない、銃口は抑えられている、地面で這いつくばっている男の怯えた表情...何がおこったのか分かるまで、しばらく時間がかかってしまう。
「相手が人間離れしているなんて...」
「言ったでしょ、全部壊すって」
瞬間、地響きのようなものがうっすらと耳に届く。
本気だ。木葉は本気で目の前の男を殺そうとしている。
「だ、駄目...」
正直、もう体じゅうの感覚がない。
それでも、大切な人が何かを殺す瞬間なんてものをただ見ているわけにはいかないのだ。
「もういいの。...やめて、木葉」
しっかり声をなっていたか心配だったけれど、なんとか足を押さえることができた。
そんな私を見つめる瞳は氷のように冷たかったけれど、それは一瞬で...血にまみれた体を抱きしめられる。
「七、海...」
「ありがとう、ちゃんと...止まってくれて」
もう音は止んでいて、暗闇には静寂が広がっている。
(木葉の力、これで抑えられたのかな...)
ケイトさんの切実な言葉を思い出しながら、その場で力なく微笑む。
ただ、足音が近づいてくるのが気になって仕方がない。
シェリにしては音が小さすぎるけれど、ラッシュさんにしては歩幅が大きいような気がする。
木葉はその方をじっと見て目を見開いた。
「...お母さん」
「ふたりとも、よく頑張りました。あとは私に任せて、早くあの場所に行きなさい」
どこのことを話しているのか、回らなくなった頭では答えを導き出せない。
遠退く意識の中、今まで聞いたなかで1番恐ろしい声が響いた。
「おまえはあのときの子孫か。まさかあのおぞましい血がここまで続くとは...」
──あなたたちが蓬を殺した忌まわしい過去を、清算してあげましょう。
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