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遡暮篇(のぼりぐらしへん)
話し合い
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「お、おはよう...」
「おはよう」
あれから数日、できるだけケイトさんの話をしないように気をつけていた。
けれど、そろそろ話をしてみた方がいいのかもしれない。
「難しいとは思うけど、そろそろ1度ちゃんと話をした方がいいと思う。...ちゃんと会わないときっと後悔する」
私は母についての記憶がほとんどない。
相手がいないのだから、どんなふうに思ってくれていたのかさえ訊くことが叶わないのだ。
(いつ話せなくなるか分からないんだから、ちゃんと一緒に歩んでいける道を選んでほしいな...)
「分かった。...頑張ってみる」
木葉に付き添う形で歩きながら空を見上げる。
どこまでも澄みわたっていて、いい日になるような気がした。
そうして辿り着いたのは、小さなカフェだ。
「...久しぶり」
「そうね」
それからふたりの会話が止まってしまった。
...木葉からは不安、ケイトさんからは自信のなさを感じる。
不安というものは、簡単には消えてくれない。
「...ケイトさんが話さなかったのは、木葉に対する愛情からなんですよね?」
「どうしてそれを、」
「すみません。元気がない木葉を問い詰めて教えてもらったんです。
...私がケイトさんの立場なら、きっと同じことをしたと思います。それで相手の心が守れると信じているから、それなら自分が黙っていればいいんじゃないかって思うんです。でも、もうひとりで全部背負いこまずに、木葉にだけはちゃんと話してほしいんです...」
上手く説明できたかなんて分からない。
ただ、このままふたりが何も話さずに終わってしまうのは嫌だ。
沈黙を破ったのは、頭を下げたケイトさんだった。
「...ありがとう。それから、ごめんなさい木葉。あなたを傷つけたくなかったのに、結果的にあなたを傷つけてしまった。...これでは意味がない」
「違うんだ。僕はただ、僕がもっと強かったら話してもらえたのかなって考えてただけで...。
でも、どんな顔をして話せばいいのか分からなかった。本当にごめん」
「木葉...」
ふたりの時間は、こうしてようやく動き出す。
手を握りあっているふたりを微笑ましく思うと同時に羨ましく思う。
そんな気持ちは胸の奥に仕舞って、ふたりと一緒に笑いあった。
「おはよう」
あれから数日、できるだけケイトさんの話をしないように気をつけていた。
けれど、そろそろ話をしてみた方がいいのかもしれない。
「難しいとは思うけど、そろそろ1度ちゃんと話をした方がいいと思う。...ちゃんと会わないときっと後悔する」
私は母についての記憶がほとんどない。
相手がいないのだから、どんなふうに思ってくれていたのかさえ訊くことが叶わないのだ。
(いつ話せなくなるか分からないんだから、ちゃんと一緒に歩んでいける道を選んでほしいな...)
「分かった。...頑張ってみる」
木葉に付き添う形で歩きながら空を見上げる。
どこまでも澄みわたっていて、いい日になるような気がした。
そうして辿り着いたのは、小さなカフェだ。
「...久しぶり」
「そうね」
それからふたりの会話が止まってしまった。
...木葉からは不安、ケイトさんからは自信のなさを感じる。
不安というものは、簡単には消えてくれない。
「...ケイトさんが話さなかったのは、木葉に対する愛情からなんですよね?」
「どうしてそれを、」
「すみません。元気がない木葉を問い詰めて教えてもらったんです。
...私がケイトさんの立場なら、きっと同じことをしたと思います。それで相手の心が守れると信じているから、それなら自分が黙っていればいいんじゃないかって思うんです。でも、もうひとりで全部背負いこまずに、木葉にだけはちゃんと話してほしいんです...」
上手く説明できたかなんて分からない。
ただ、このままふたりが何も話さずに終わってしまうのは嫌だ。
沈黙を破ったのは、頭を下げたケイトさんだった。
「...ありがとう。それから、ごめんなさい木葉。あなたを傷つけたくなかったのに、結果的にあなたを傷つけてしまった。...これでは意味がない」
「違うんだ。僕はただ、僕がもっと強かったら話してもらえたのかなって考えてただけで...。
でも、どんな顔をして話せばいいのか分からなかった。本当にごめん」
「木葉...」
ふたりの時間は、こうしてようやく動き出す。
手を握りあっているふたりを微笑ましく思うと同時に羨ましく思う。
そんな気持ちは胸の奥に仕舞って、ふたりと一緒に笑いあった。
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