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断暮篇(たちぐらしへん)
懐かしみ
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この感情は、きっと悪いものではない。
「何を思い出していたの?」
「本当に何でもお見通しだね...」
息をひとつ漏らした七海は、手のなかにある大福を見つめる。
何かを憂いているのか、それとも本当に思い出に浸っているだけなのか...見ているだけでは分からない。
「美桜さんとはどんなふうに食べてたの?」
「母ともそうだけど、おやつとしていつも食べていたような気がする。
できたての大福とか金平糖が好きで、いつも一緒に食べてた」
七海は目を細めて、懐かしそうに笑った。
...いつもより寂しそうなそれは、見ているだけで胸がしめつけられる。
「1度だけ大福を作ろうとしたことがあるんだけど、失敗した。
家にあるもので作れるようなものじゃないって、子どもの私は知らなかったから...」
「大切な思い出なんだね」
彼女はただ嬉しそうに微笑む。
その姿から今どんな感情を抱いているのか読み取るのが難しかったが、思い出を大切にしていることだけは理解した。
「金平糖にはどんな思い出があるの?」
「...お神楽や剣舞の練習の後に、美桜さんがいつもくれてた。
作ってくれたときもあったけど、母が福寿草で買ってきてくれたもののときもあったよ」
やはり過去の事を話す彼女はどこか儚げで寂しそうだ。
どう話せばいいのか分からないままになってしまったが、どんな言葉をかけるのが正解なのだろう。
「美味しいって思ってくれているならよかった。...爺くさいって思われちゃうんじゃないかって思ってたから」
「そんなことないよ、私は和菓子も好きだし...。ただ、自分で作れないのが残念だなって思うだけ」
「どうやったらあんなふうに綺麗に作れるんだろうね?」
他愛のない話をしながら、手の中にある大福を見つめ直す。
だんだん思いがこみあげてきて、思い出すように目を閉じる。
いつかの思い出は遠くの方に飛んでいってしまったが、今新しいものができた。
「木葉にはどんな思い出があるの?」
「くだらないかもしれないけど...」
お互いのことを話しているうちにどんどん時間は過ぎていく。
気づいたときには夕陽が沈みはじめていて、急いで夕飯の支度に取りかかる。
ふたりでいると時間が流れるのはあっという間で、それがどんなことよりも尊く感じた。
「何を思い出していたの?」
「本当に何でもお見通しだね...」
息をひとつ漏らした七海は、手のなかにある大福を見つめる。
何かを憂いているのか、それとも本当に思い出に浸っているだけなのか...見ているだけでは分からない。
「美桜さんとはどんなふうに食べてたの?」
「母ともそうだけど、おやつとしていつも食べていたような気がする。
できたての大福とか金平糖が好きで、いつも一緒に食べてた」
七海は目を細めて、懐かしそうに笑った。
...いつもより寂しそうなそれは、見ているだけで胸がしめつけられる。
「1度だけ大福を作ろうとしたことがあるんだけど、失敗した。
家にあるもので作れるようなものじゃないって、子どもの私は知らなかったから...」
「大切な思い出なんだね」
彼女はただ嬉しそうに微笑む。
その姿から今どんな感情を抱いているのか読み取るのが難しかったが、思い出を大切にしていることだけは理解した。
「金平糖にはどんな思い出があるの?」
「...お神楽や剣舞の練習の後に、美桜さんがいつもくれてた。
作ってくれたときもあったけど、母が福寿草で買ってきてくれたもののときもあったよ」
やはり過去の事を話す彼女はどこか儚げで寂しそうだ。
どう話せばいいのか分からないままになってしまったが、どんな言葉をかけるのが正解なのだろう。
「美味しいって思ってくれているならよかった。...爺くさいって思われちゃうんじゃないかって思ってたから」
「そんなことないよ、私は和菓子も好きだし...。ただ、自分で作れないのが残念だなって思うだけ」
「どうやったらあんなふうに綺麗に作れるんだろうね?」
他愛のない話をしながら、手の中にある大福を見つめ直す。
だんだん思いがこみあげてきて、思い出すように目を閉じる。
いつかの思い出は遠くの方に飛んでいってしまったが、今新しいものができた。
「木葉にはどんな思い出があるの?」
「くだらないかもしれないけど...」
お互いのことを話しているうちにどんどん時間は過ぎていく。
気づいたときには夕陽が沈みはじめていて、急いで夕飯の支度に取りかかる。
ふたりでいると時間が流れるのはあっという間で、それがどんなことよりも尊く感じた。
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