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断暮篇(たちぐらしへん)
番外篇『依頼者Kの覚悟』
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「お願い、ラッシュさん...」
どこか見覚えのある、真剣味を帯びた瞳。
それを前に、俺はどうしても断ることができなかった。
「それで、お嬢さんの追っ手についてだが...」
それから数日以内で調べあがり、木葉には書店での仕事帰りに立ち寄ってもらっている。
なんだか今にも消えてしまいそうで、思わず肩を掴む。
「何かあったのか?」
「あ、えっと...家に七海ひとりだから、心配だなって。ごめん」
「...それだけじゃないだろ」
史上最悪とも言われている、深刻なクレール不足。
俺はある程度血液を呑まない生活に慣れているが、ある日突然吸血が必要になった木葉は少しタイプが違うのだろう。
そのうえ人間とのハーフで、純血種とは他にも違いが出てくるはずだ。
「一旦これ呑んで休息をとるように」
「でも、クレールはすごく貴重なのに、」
「目の前に倒れかけてる奴がいて、救える術だってあるのにそれをしないのは俺のポリシーに反する」
こう言っておかないと、こいつはきっと呑んだりしないだろう。
特殊調合が施されたものだから、酔ってしまうということはないはずだ。
「いいから呑め。...できるだけお嬢さんのことを咬みたくないんだろう?」
「ごめん。いただきます」
愛する相手を傷つけたくない...その気持ちは理解できる。
俺だって、できるだけアイリーンに傷をつけたくなかった。
どうしても抑えられなくなったときには、謝りながら少しずつ吸血したのをよく覚えている。
「それで、こいつらの根城らしき場所だが...」
手に入れた情報の仔細を話していくと、木葉の瞳は一気に不安の色に染まった。
...無理もない。まさかこんな近くにいると誰が予測できただろうか。
「こっちのビジネスホテルからあたっているが、あんまりヒットしない。
もし普段使っている道がここなら、しばらくは避けた方がいいかもな」
「そっちは使ってないよ。でも、意外と数が多そうで吃驚してる。...暴走したりしないかな」
その言葉の意味は何がと訊かずとも理解できた。
木葉はハーフとはいえヴァンパイアだ。
...それも、恐らく純血種よりも強大な力を秘めている可能性がある。
「どうしようもなく不安に思ったら、おまえにとって1番大切なものを思い浮かべろ。
...それがコントロールできる可能性がある方法だ」
「1番、大切なもの...」
「そろそろ時間だ、これを持っていけ」
ひとまとめにした情報を手渡すと、木葉はふたたび真剣な表情になる。
「ありがとう。...絶対に終わらせてみせるから」
その決意が揺らぐことはないだろう。
だが、もう少し周りを頼ってもいいんだ。
「...じゃないと、心配になるだろ」
時計の音だけが虚しく鳴り響く。
いつもは羽織らないマントを身につけ、そのまま1歩踏み出した。
どこか見覚えのある、真剣味を帯びた瞳。
それを前に、俺はどうしても断ることができなかった。
「それで、お嬢さんの追っ手についてだが...」
それから数日以内で調べあがり、木葉には書店での仕事帰りに立ち寄ってもらっている。
なんだか今にも消えてしまいそうで、思わず肩を掴む。
「何かあったのか?」
「あ、えっと...家に七海ひとりだから、心配だなって。ごめん」
「...それだけじゃないだろ」
史上最悪とも言われている、深刻なクレール不足。
俺はある程度血液を呑まない生活に慣れているが、ある日突然吸血が必要になった木葉は少しタイプが違うのだろう。
そのうえ人間とのハーフで、純血種とは他にも違いが出てくるはずだ。
「一旦これ呑んで休息をとるように」
「でも、クレールはすごく貴重なのに、」
「目の前に倒れかけてる奴がいて、救える術だってあるのにそれをしないのは俺のポリシーに反する」
こう言っておかないと、こいつはきっと呑んだりしないだろう。
特殊調合が施されたものだから、酔ってしまうということはないはずだ。
「いいから呑め。...できるだけお嬢さんのことを咬みたくないんだろう?」
「ごめん。いただきます」
愛する相手を傷つけたくない...その気持ちは理解できる。
俺だって、できるだけアイリーンに傷をつけたくなかった。
どうしても抑えられなくなったときには、謝りながら少しずつ吸血したのをよく覚えている。
「それで、こいつらの根城らしき場所だが...」
手に入れた情報の仔細を話していくと、木葉の瞳は一気に不安の色に染まった。
...無理もない。まさかこんな近くにいると誰が予測できただろうか。
「こっちのビジネスホテルからあたっているが、あんまりヒットしない。
もし普段使っている道がここなら、しばらくは避けた方がいいかもな」
「そっちは使ってないよ。でも、意外と数が多そうで吃驚してる。...暴走したりしないかな」
その言葉の意味は何がと訊かずとも理解できた。
木葉はハーフとはいえヴァンパイアだ。
...それも、恐らく純血種よりも強大な力を秘めている可能性がある。
「どうしようもなく不安に思ったら、おまえにとって1番大切なものを思い浮かべろ。
...それがコントロールできる可能性がある方法だ」
「1番、大切なもの...」
「そろそろ時間だ、これを持っていけ」
ひとまとめにした情報を手渡すと、木葉はふたたび真剣な表情になる。
「ありがとう。...絶対に終わらせてみせるから」
その決意が揺らぐことはないだろう。
だが、もう少し周りを頼ってもいいんだ。
「...じゃないと、心配になるだろ」
時計の音だけが虚しく鳴り響く。
いつもは羽織らないマントを身につけ、そのまま1歩踏み出した。
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