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断暮篇(たちぐらしへん)
かくれんぼ
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「ごめん。僕の考えが足りてなかった」
「綺麗な紫陽花が見られて嬉しかったよ。ありがとう」
七海に怖い思いをさせたくないのに、結局逃げ隠れしなければならない事態に陥ってしまった。
...いつもの道で襲われなかったことが不幸中の幸いだ。
「あっち方面に家があるって思ってくれた、よね」
「多分そうだと思う」
どうやら七海も気づいたらしい。
たまたま通った道でも、1度通ればその近くに家があるからだと思わせることができる。
...問題は、どうやって家まで見つからずに帰るかだ。
ここで失敗すれば、先程見つかったことが無駄になってしまう。
「スーパーはいつものところを使おうか。...あそこにもストーカーはいるかもしれないけど、人の目がある分大胆なことはできないだろうから」
繋いだ手は震えていて、どれほどの不安を抱えているのかを知る。
僕には、そんな彼女の手を握り返すことしかできない。
...もっと強ければ、この結果を変えられただろうか。
「私は、こうやってふたりで手を繋げただけで充分だよ。ありがとう」
「七海...いつも本当に優しいね」
夕飯の買い出しをしている最中、左前から気配を感じる。
「...分かる?」
「うん。ちらちら見てる人がいるね。あの人も私を捕まえたいのかな」
「こういうときは別口を使うのが1番だね」
実はこのスーパーには、全部で4つの出入り口がある。
レジや帰るときの近道があるのでいつもは目を向けないが、今回はそれしかない。
「一緒に会計をすませたら、ちょっとだけひとりで待っててくれる?」
七海の頷きに安堵しつつ、どうやってひとりでまくかを思案する。
彼女がひとりでいることを悟られないようにする必要もあるうえ、同じ場所に戻ってこなければならない。
「七海、この子に力を貸してもらおう」
「これって...!」
それから僕は、いつもとは違う道にひとりでカートをはしらせる。
やはり一緒にいると思ってくれているのか、上手く先導することができた。
「僕に何か用ですか?」
「...いや、なんでもない」
後ろを向いた隙をついて、念のため手刀をいれておく。
気絶した男を通路の端に寄せ、そのまま元の場所へ向かった。
「お待たせ。従業員さんの出入口を通らせてもらおう」
「さっきの人は?」
「監視カメラがない場所に気絶させてきた。...この子のおかげで上手くいったよ」
僕たちが買ったのは、大きなぬいぐるみ。
これさえあれば彼女のことを上手く隠せるので、いるかどうか分からずに追ってくるのではないかと予想したのだ。
...多少賭けではあったが、なんとか成功した。
「それじゃあ行こうか」
「うん。夕飯を作らないと...」
「僕がやるよ」
そんな他愛のない会話をしながら急ぎ足でその場を後にした。
「綺麗な紫陽花が見られて嬉しかったよ。ありがとう」
七海に怖い思いをさせたくないのに、結局逃げ隠れしなければならない事態に陥ってしまった。
...いつもの道で襲われなかったことが不幸中の幸いだ。
「あっち方面に家があるって思ってくれた、よね」
「多分そうだと思う」
どうやら七海も気づいたらしい。
たまたま通った道でも、1度通ればその近くに家があるからだと思わせることができる。
...問題は、どうやって家まで見つからずに帰るかだ。
ここで失敗すれば、先程見つかったことが無駄になってしまう。
「スーパーはいつものところを使おうか。...あそこにもストーカーはいるかもしれないけど、人の目がある分大胆なことはできないだろうから」
繋いだ手は震えていて、どれほどの不安を抱えているのかを知る。
僕には、そんな彼女の手を握り返すことしかできない。
...もっと強ければ、この結果を変えられただろうか。
「私は、こうやってふたりで手を繋げただけで充分だよ。ありがとう」
「七海...いつも本当に優しいね」
夕飯の買い出しをしている最中、左前から気配を感じる。
「...分かる?」
「うん。ちらちら見てる人がいるね。あの人も私を捕まえたいのかな」
「こういうときは別口を使うのが1番だね」
実はこのスーパーには、全部で4つの出入り口がある。
レジや帰るときの近道があるのでいつもは目を向けないが、今回はそれしかない。
「一緒に会計をすませたら、ちょっとだけひとりで待っててくれる?」
七海の頷きに安堵しつつ、どうやってひとりでまくかを思案する。
彼女がひとりでいることを悟られないようにする必要もあるうえ、同じ場所に戻ってこなければならない。
「七海、この子に力を貸してもらおう」
「これって...!」
それから僕は、いつもとは違う道にひとりでカートをはしらせる。
やはり一緒にいると思ってくれているのか、上手く先導することができた。
「僕に何か用ですか?」
「...いや、なんでもない」
後ろを向いた隙をついて、念のため手刀をいれておく。
気絶した男を通路の端に寄せ、そのまま元の場所へ向かった。
「お待たせ。従業員さんの出入口を通らせてもらおう」
「さっきの人は?」
「監視カメラがない場所に気絶させてきた。...この子のおかげで上手くいったよ」
僕たちが買ったのは、大きなぬいぐるみ。
これさえあれば彼女のことを上手く隠せるので、いるかどうか分からずに追ってくるのではないかと予想したのだ。
...多少賭けではあったが、なんとか成功した。
「それじゃあ行こうか」
「うん。夕飯を作らないと...」
「僕がやるよ」
そんな他愛のない会話をしながら急ぎ足でその場を後にした。
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