新しい廃墟

ダンデライオンは気丈に咲く

第23話

「『おかえりなさい』」
「彼女はどうした？」
「『帰らないと大変なことになるからと出ていってしまいました』」
「ビンゴだな。俺が行こう」
御坂さんを見送り、助手とふたりで手当たり次第新聞記事を読み漁った。
「この写真、被害者にそっくりだ」
小さな町の英雄として語られており、様々な庭木に関する悩みを解決していく姿が記録されている。
「『花梨ちゃん、大丈夫でしょうか』」
「御坂さんがいるから……あの子、花梨って名前だったのか」
「『そう名乗っていました』」
「そうか」
彼女がひとりで生きていくというのは難しいだろう。
ただ、施設となると猫とも離れなくてはならない可能性が高い。
なんとか力になりたいが……後見人制度を使えるか聞いてみるしかなさそうだ。
「……」
「気になることでも？」
「『ホームレスに温かい食事をって書いてあったので読んでいたんです。この写真、同じ人じゃないかなって思って……』」
「成程、いつも花梨の前に現れていたのはそういうことか」
家族に関する記述がないということは、関係があまり良くなかったかそういう関係の相手がいなかったからだろう。
それでも、彼を慕っていた人はいるはずだ。
やはりこのあたりの人に話を聞いた方が良さそうだ。
「もしまだ時間があるようなら、少しつきあってくれないか？」