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曖昧
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「君は誰の家と間違えているのかな?」
俺でも分かる。彼女は死者だ。
でなければ、あれだけ血だらけのカーディガンを見ても、すれ違った全員が知らないふりをして放っておいたことになる。
『僕は、この近くに住んでいたはずなんです。だけど、帰り道が分からなくなってしまって…」
「どんな家だった?」
『分からないんです。僕、いつの間にかこの近くにいて…。あ、だけどお友だちはちゃんと連れてきました!」
そう話す少女は、抱きかかえているぬいぐるみを俺の前に差し出す。
彼女にとって本当に大切な友人であることは、その子の状態からして明白だ。
「名前は分かる?」
『絆…絆っていうんです。僕はいつもこんな感じで、このあたりで何かをしていたはずなんですけど…」
「…そうか。それじゃあ、君のことを少し調べてみるよ」
とはいったものの、死因不明の相手の記事が都合よく見つかるとは思えない。
熱が上がったのか、だんだん体が重くなっていく。
ここで寝ている場合ではないのに、俺はどうすればいいんだろう。
『もしかして、具合悪いんですか?僕、お料理とか得意じゃないんですけど…お粥ならなんとか作れます」
「ありがとう。だけどさっき、食べ物なら持ってきてくれた人がいるんだ。
それよりも、君が覚えている限りの君の話を聞かせてくれないかな?」
絆と名乗った少女はこくりと頷き、ゆっくり話しはじめた。
『僕はこんな口調で、格好も男の子っぽいから、人間が苦手だったんです。だけど、あの日はよく晴れていて…近所の子が線路で遊んでいたのを見て、走りました。
そっか、だから僕は死んでしまったんですね。あの子が助かればいいなって思って、それで…」
「ありがとう。それだけ分かれば充分だ。調べては見るけど、あまり期待はしないでほしい」
『あの、僕、ここにいてもいいんですか?」
「帰る宛がないなら、取り敢えず今日はこの部屋を使って」
『ありがとうございます!」
律儀だな、なんて考えつつ、事故について記事を集めたスクラップを開く。
だが、そこまででまた体が重くなった。
「…ごめん、少し休むよ」
『ごめんなさい!具合、悪いんですよね…」
「そんなに謝らなくていい。絆は優しい子だね」
絆が何か言おうとしたのは分かったものの、それを聞けるほど体力が残っていない。
本当はもっと早く解決したいのに、どんどん瞼が重くなっていく。
そういえば、今回も瑠璃はただの小鳥のふりをするのだろうか。
一言も発さないということはそういうことになるだろう。
もっと色々考えたいのに、どうしても倦怠感に勝てなかった。
あの人がいたら、もっと早く解決したかもしれない…そんなことを考えてしまう俺は、やっぱりまだまだ弱い。
俺でも分かる。彼女は死者だ。
でなければ、あれだけ血だらけのカーディガンを見ても、すれ違った全員が知らないふりをして放っておいたことになる。
『僕は、この近くに住んでいたはずなんです。だけど、帰り道が分からなくなってしまって…」
「どんな家だった?」
『分からないんです。僕、いつの間にかこの近くにいて…。あ、だけどお友だちはちゃんと連れてきました!」
そう話す少女は、抱きかかえているぬいぐるみを俺の前に差し出す。
彼女にとって本当に大切な友人であることは、その子の状態からして明白だ。
「名前は分かる?」
『絆…絆っていうんです。僕はいつもこんな感じで、このあたりで何かをしていたはずなんですけど…」
「…そうか。それじゃあ、君のことを少し調べてみるよ」
とはいったものの、死因不明の相手の記事が都合よく見つかるとは思えない。
熱が上がったのか、だんだん体が重くなっていく。
ここで寝ている場合ではないのに、俺はどうすればいいんだろう。
『もしかして、具合悪いんですか?僕、お料理とか得意じゃないんですけど…お粥ならなんとか作れます」
「ありがとう。だけどさっき、食べ物なら持ってきてくれた人がいるんだ。
それよりも、君が覚えている限りの君の話を聞かせてくれないかな?」
絆と名乗った少女はこくりと頷き、ゆっくり話しはじめた。
『僕はこんな口調で、格好も男の子っぽいから、人間が苦手だったんです。だけど、あの日はよく晴れていて…近所の子が線路で遊んでいたのを見て、走りました。
そっか、だから僕は死んでしまったんですね。あの子が助かればいいなって思って、それで…」
「ありがとう。それだけ分かれば充分だ。調べては見るけど、あまり期待はしないでほしい」
『あの、僕、ここにいてもいいんですか?」
「帰る宛がないなら、取り敢えず今日はこの部屋を使って」
『ありがとうございます!」
律儀だな、なんて考えつつ、事故について記事を集めたスクラップを開く。
だが、そこまででまた体が重くなった。
「…ごめん、少し休むよ」
『ごめんなさい!具合、悪いんですよね…」
「そんなに謝らなくていい。絆は優しい子だね」
絆が何か言おうとしたのは分かったものの、それを聞けるほど体力が残っていない。
本当はもっと早く解決したいのに、どんどん瞼が重くなっていく。
そういえば、今回も瑠璃はただの小鳥のふりをするのだろうか。
一言も発さないということはそういうことになるだろう。
もっと色々考えたいのに、どうしても倦怠感に勝てなかった。
あの人がいたら、もっと早く解決したかもしれない…そんなことを考えてしまう俺は、やっぱりまだまだ弱い。
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