カルム

黒蝶

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七分咲き

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「もう少しで集まりそうだな」
『ありがとうございます』
あれから数日、俺たちは公園に通い続けてようやくあと少しのところまできた。
「桜花」
『風花、今日もいらしたんですね』
そのなかで知ったのが、桜花の名前を呼んでいた男性の名前が風花であることだ。
それ以上詳しいことを知っているわけではないが、彼がきたときは桜花を見ないようにしている。
『八尋、見つけましたよ』
「ありがとう。ひとりだったらこんなに早く集められなかったよ」
何度目かになる感謝の言葉を伝えて、欠片探しを再開する。
できるだけ早く完成させたいと思うものの、そう簡単に揃ってくれない。
「瑠璃、そっちはどうだ?」
『なんとかなりそうです』
「そうか…」
あと少しになってくると、欠片を見つけること自体難しい。
ふと顔をあげると、鞄の中から声がした。
『あった』
「何があったんだ?」
『見つけた』
小鞠がめいっぱい背伸びして、手に握っていたものを見せてくれる。
それは間違いなく欠片だった。
「ありがとう、小鞠。これで完成に一歩近づいたよ」
小鞠は楽しそうに笑いながら、また鞄の中で大人しくしている。
そこから集まった欠片を持って桜花のところに行くと、風花と呼ばれている男性が立っていた。
「明日もまた会えるかな?」
『はい。きっとまた会えますよ』
「分かった。ちゃんとくるから待ってて」
その言葉に何故か悲しそうな表情をする桜花は、今どんなことを考えているんだろう。
『…成程。待てなくなるのは彼女の方になる可能性があるわけですか』
「それってどういうことだ?」
『考えてみてください。彼女は桜から名前をとっています。そして、桜の木々がある場所にしか現れられない…。
この公園の桜は随分散りました。完全に青葉が生い茂る状態になるまでそんなに時間はかからないはずです』
「…桜花が花の妖なら消えてしまうってことか?」
『消えはしませんよ。ただ、来年咲くまで地上には出てこられません』
「そんな…」
仲がいい相手とも1年に数日しか会えない…それってどんな気持ちになるんだろう。
『欠片は見つかりましたか?』
「多分これで全部だと思う」
『本当にありがとうございます』
「余計なお世話だと思うけど、さっきの人は桜花が人間じゃないことに気づいているのか?」
桜花は少し間を置き、大きく息を吸って話しはじめた。
『私は時々、死期が近い人間に視えることがあります。風花はもう長くありません。
初めて会ったのは病院でした。彼はずっとひとりで寂しそうな目をしていて…放っておけなかったんです』
「それで、鏡を使おうと思った?」
桜花は黙ったまま微笑む。
ただ、俺は気づいたらいけない部分に気づいてしまった。
「…もし風花さんが死霊になってるって言ったら、信じてくれるか?」
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