未熟な蕾ですが

黒蝶

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第8話

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「傘に加護?」
「うん。白露に言われたんだ」
「無自覚なのか…」
夜紅は苦笑していたが、あっという間に自体を把握したらしい。
「いいか、穂乃。霊力が強いということは、それだけ無意識に力を放出していることが多いということだ。
たしかに今白露が持っている傘には加護がかかっている。…穂乃の潜在能力には驚かされてばかりだ」
姉である夜紅にも分からないことが多いらしく、主は余計戸惑っているように見える。
《俺が引き出してしまっているのか?》
「そういうわけじゃないよ。今までも何度があったし」
「え、そうなの?」
「私に作ってくれたお守りに加護がかかっていたこともあったし、無意識のうちに人を救っていたこともある」
「全然気づかなかった…」
呆然としている主に夜紅は真剣な表情で告げた。
「穂乃の力はすごいけど、それに溺れたら終わりだ。そのことを忘れないでくれ。
まずないとは思うけど、一応言っておく」
「…分かった。気をつけるね」
あまり食が進まないのか、主は焼きおにぎりを食べる手を止める。
そしてそのまま、ふらりとどこかへ向かいはじめた。
「悪いけどついててやってくれ。今私が追いかけたら寧ろ追いつめることになる」
《…了解した》
そのまま後を追うと、入ったことがなかった場所へ辿り着く。
古い道場のようだが、手入れされた木刀が何本も並べられていた。
「また当たらなかった。…もう1回!」
集中しているような、何かを忘れたくて我武者羅に動いているような動き。
俺にできるのはひとつだけだ。
《めちゃくちゃに撃っても意味がない》
「白露はお姉ちゃんと一緒にいていいんだよ。…私が初心を忘れないように勝手にやってるだけだから」
《気にしているのか?》
主は一旦手を止め、苦笑しながらぽつりぽつりと答える。
「また知らない間にお姉ちゃんに助けられてたんだって思ったら辛くなっちゃって…。どうしたらもっと強くなれるかな」
《…ただの水が入っているのだろう?ならば俺を撃て》
「え、でも、」
《いいからやってみろ》
筋は悪くないが、時折軸がずれていることがある。
狙いを外すことがあるのはおそらくそれが原因だ。
「……!」
決着は一瞬でついた。
加減せず瞬時に間合いをつめ、水鉄砲を下に向けたのだ。
《丁寧に狙いを定めるのも大切だが、今の速度では速さに特化した相手に当てられない》
「も、もう1回お願いします」
次は動きを少し遅めにする代わりに若干力技を使う。
水が外れたところを急接近し、勢いよく腕を押さえこんだ。
《動きとしては悪くないが、今度は狙いを定めなさすぎだ。力に特化した相手に勝てない》
はっとした顔で鉄砲をおろす。
「負けました。…私、相手のことちゃんと見抜けてないんだ」
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