11 / 78
第10話
しおりを挟む
「…あれ、白露?」
目を覚ました主は、驚いた様子でこちらを見つめる。
「おはよう。あの…何してるの?」
《塩むすびを作った》
「それはそうなんだけど…お姉ちゃんに教えてもらったの?」
《いや。これだけは見様見真似でできる》
今までは自分が食事を摂るなどということは考えたことがなかったが、具なしなら握ることができる。
「食べてもいい?」
《ああ。…夜紅ならもう出かけたぞ》
「そっか。お姉ちゃん、最近ちょっと忙しそうだし…。ふたりで食べちゃおうか」
両手を合わせ、主の表情を確認しながら用意されていたものを食す。
…このかりかりしたものは本当に美味い。
「白露はベーコンがお気に入りなんだね。…あ、このおにぎり、すごく美味しい!」
《そうか》
このよく分からないふわふわした感情の名前は何だろう。
主の様子を観察しつつ、すぐに完食した。
「折原さん、ちょっといい?」
「は、はい」
大人に声をかけられた主は緊張している様子だったが、その表情はとても険しいものに変わっていく。
「他に保護者の方は…」
「いません。私の家族は姉だけです。…たしかに普通ではないけど幸せです。
だから、もし誰か大人の人が私に関わってこようとしても絶対教えないでください」
「分かりました。教えてくれてありがとう」
大人が去っていったのを確認し、主に声をかける。
《何かあったのか?》
「ちょっとね。…私もお姉ちゃんも、怖い大人の人たちに追いかけられていたことがあったんだ」
《そのことと関係があるのか?》
「うん。お姉ちゃんにも連絡しておかないと」
その評定には恐怖や不安が入り混じっている気がして、なんとなく放っておけなかった。
《…その怖い人たちとやらが来たら追い払ってやる》
「え?」
《俺は式だからな》
「…うん。ありがとう」
主は余程怖い思いをしたのだろう。
若干ひきつる笑顔を前にどうすればいいか分からなくなる。
「…穂乃さん」
「あ、おはようございます。桜良先輩も放送室ですか?」
「ええ。一緒に行きましょう」
「はい!」
何かを察知したのか、放送女はすまほというものでどこかに連絡をとっているようだ。
そうこうしているうちに朝の放送を終え、真っ直ぐな瞳で尋ねた。
「あなたは、皆勤賞を狙っている?」
「…?いいえ、特には」
「そう…。それなら、少し私につきあってもらえない?」
「え、でも今から授業…」
「私は行かないつもりなの。あなたの好きにしていい。詩乃先輩から許可は出ているから」
主は迷っているようだったが、少しして答えを出した。
「…私、ちょっとだけ悪い子になります」
目を覚ました主は、驚いた様子でこちらを見つめる。
「おはよう。あの…何してるの?」
《塩むすびを作った》
「それはそうなんだけど…お姉ちゃんに教えてもらったの?」
《いや。これだけは見様見真似でできる》
今までは自分が食事を摂るなどということは考えたことがなかったが、具なしなら握ることができる。
「食べてもいい?」
《ああ。…夜紅ならもう出かけたぞ》
「そっか。お姉ちゃん、最近ちょっと忙しそうだし…。ふたりで食べちゃおうか」
両手を合わせ、主の表情を確認しながら用意されていたものを食す。
…このかりかりしたものは本当に美味い。
「白露はベーコンがお気に入りなんだね。…あ、このおにぎり、すごく美味しい!」
《そうか》
このよく分からないふわふわした感情の名前は何だろう。
主の様子を観察しつつ、すぐに完食した。
「折原さん、ちょっといい?」
「は、はい」
大人に声をかけられた主は緊張している様子だったが、その表情はとても険しいものに変わっていく。
「他に保護者の方は…」
「いません。私の家族は姉だけです。…たしかに普通ではないけど幸せです。
だから、もし誰か大人の人が私に関わってこようとしても絶対教えないでください」
「分かりました。教えてくれてありがとう」
大人が去っていったのを確認し、主に声をかける。
《何かあったのか?》
「ちょっとね。…私もお姉ちゃんも、怖い大人の人たちに追いかけられていたことがあったんだ」
《そのことと関係があるのか?》
「うん。お姉ちゃんにも連絡しておかないと」
その評定には恐怖や不安が入り混じっている気がして、なんとなく放っておけなかった。
《…その怖い人たちとやらが来たら追い払ってやる》
「え?」
《俺は式だからな》
「…うん。ありがとう」
主は余程怖い思いをしたのだろう。
若干ひきつる笑顔を前にどうすればいいか分からなくなる。
「…穂乃さん」
「あ、おはようございます。桜良先輩も放送室ですか?」
「ええ。一緒に行きましょう」
「はい!」
何かを察知したのか、放送女はすまほというものでどこかに連絡をとっているようだ。
そうこうしているうちに朝の放送を終え、真っ直ぐな瞳で尋ねた。
「あなたは、皆勤賞を狙っている?」
「…?いいえ、特には」
「そう…。それなら、少し私につきあってもらえない?」
「え、でも今から授業…」
「私は行かないつもりなの。あなたの好きにしていい。詩乃先輩から許可は出ているから」
主は迷っているようだったが、少しして答えを出した。
「…私、ちょっとだけ悪い子になります」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は賑やかになった。
還暦女性と青年の恋愛
MisakiNonagase
恋愛
ますみは61歳。子育てもとうに終わり、孫もいて、ここ数年ロックバンドの推し活に生きがい感じている。ますみは推し活のオフ会やライブ会場で知り合った世代を超えた「推し活仲間」も多く、その中で二十歳の大学生の悠人とは特に気が合い、二人でライブに行くことが増えていった。
ますみと悠人に対して立場も年齢も大きく違うのだから、男女としての意識など微塵もなかったが、彼のほうは違った。
そんな世代を超えた2人の恋愛模様を書いたストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる