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第31話
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この場所は本当に様々な噂が飛び交う場所だ。
「恋愛電話、使ってみた?」
「辿り着けなかったんだけど、場所合ってる?」
「あたしも一緒に探すから、放課後行ってみようよ」
「なあ、放課後こっくりさんやらね?可愛い妖精を呼び出せるらしいって話題なんだよ」
「なんだよそれ…。まあ、ちょっと気になるけど」
主がいる中学棟という場所で流行っているのは、こっくりさんという降霊術で妖精を呼び出せるらしいというものだ。
あれほど素人が手を出して恐ろしい事態を引き起こすものはないというのに、視えない人間というのは危機感がないらしい。
「禁じられた遊び、なんて言われているはずなのに…」
《あれだけ半端なものはない》
「そうなの?」
《半端だからこそ強大なものを引き寄せてしまうこともある》
「放課後、止められるかな…」
別に関わらなくてもいいはずなのに、主は何故か関わりたがる。
面倒事に巻きこまれるのをなんとも思わないのだろうか。
「穂乃ちゃん、監査部になったんでしょ?すごいね」
「私はまだ何もしてないよ。ただ、引き受けたからには頑張りたいんだ」
主はもっと自信を持っていいはずだが、謙虚というか自らを卑下しているというか…物事を一歩引いて見る癖がある。
今も笑ってはいるが、内心自分なんてと考えているだろう。
…少しだが思考が分かることもあるようになった。
「お待たせ。行こう」
《どこへだ》
「こっくりさんをやるつもりなら、先に場所を調べておかないといけないから」
伝えるべきか迷ったが今しかない。
《…もう手遅れかもしれない》
「どういうこと?」
《ここから少し離れた場所に突然何かの気配が出現した》
「大変!確認しなきゃ」
主についていくと、困った様子の男子生徒が4人で紙を囲んでいる。
「こっくりさんこっくりさん、ありがとうございました。おかえりください」
【いいえ】
「駄目だ、かえってくれない」
「どうすりゃいいんだ…」
「もう嫌だ、こんなことになるならやるんじゃなかった!」
「おいおい、落ち着けって。とにかくなんとかかえってもらえるようにお願いしてみよう」
《いいわよ。…私を捕まえられたらね》
女のような姿をしているが、その顔は明らかに人間ではない。
「あ、あの」
「なんだよ、真面目ちゃんが何の用だよ」
「何かお困りなのかなって思って声をかけたんですけど…それって、こっくりさんですか?」
「見りゃ分かるだろ。帰らなくなっちまったんだよ」
主にもよく視えているだろう。人間を恨み続け、己を見失いそうな女の姿が。
「詳しい人に話を聞いてきます。もう少しだけ待っててください」
すれ違いざま、主は小さく呟いた。
「桜良先輩のところへ行ってくるから、もし説得できそうならあの女の人を助けて」
「恋愛電話、使ってみた?」
「辿り着けなかったんだけど、場所合ってる?」
「あたしも一緒に探すから、放課後行ってみようよ」
「なあ、放課後こっくりさんやらね?可愛い妖精を呼び出せるらしいって話題なんだよ」
「なんだよそれ…。まあ、ちょっと気になるけど」
主がいる中学棟という場所で流行っているのは、こっくりさんという降霊術で妖精を呼び出せるらしいというものだ。
あれほど素人が手を出して恐ろしい事態を引き起こすものはないというのに、視えない人間というのは危機感がないらしい。
「禁じられた遊び、なんて言われているはずなのに…」
《あれだけ半端なものはない》
「そうなの?」
《半端だからこそ強大なものを引き寄せてしまうこともある》
「放課後、止められるかな…」
別に関わらなくてもいいはずなのに、主は何故か関わりたがる。
面倒事に巻きこまれるのをなんとも思わないのだろうか。
「穂乃ちゃん、監査部になったんでしょ?すごいね」
「私はまだ何もしてないよ。ただ、引き受けたからには頑張りたいんだ」
主はもっと自信を持っていいはずだが、謙虚というか自らを卑下しているというか…物事を一歩引いて見る癖がある。
今も笑ってはいるが、内心自分なんてと考えているだろう。
…少しだが思考が分かることもあるようになった。
「お待たせ。行こう」
《どこへだ》
「こっくりさんをやるつもりなら、先に場所を調べておかないといけないから」
伝えるべきか迷ったが今しかない。
《…もう手遅れかもしれない》
「どういうこと?」
《ここから少し離れた場所に突然何かの気配が出現した》
「大変!確認しなきゃ」
主についていくと、困った様子の男子生徒が4人で紙を囲んでいる。
「こっくりさんこっくりさん、ありがとうございました。おかえりください」
【いいえ】
「駄目だ、かえってくれない」
「どうすりゃいいんだ…」
「もう嫌だ、こんなことになるならやるんじゃなかった!」
「おいおい、落ち着けって。とにかくなんとかかえってもらえるようにお願いしてみよう」
《いいわよ。…私を捕まえられたらね》
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「あ、あの」
「なんだよ、真面目ちゃんが何の用だよ」
「何かお困りなのかなって思って声をかけたんですけど…それって、こっくりさんですか?」
「見りゃ分かるだろ。帰らなくなっちまったんだよ」
主にもよく視えているだろう。人間を恨み続け、己を見失いそうな女の姿が。
「詳しい人に話を聞いてきます。もう少しだけ待っててください」
すれ違いざま、主は小さく呟いた。
「桜良先輩のところへ行ってくるから、もし説得できそうならあの女の人を助けて」
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