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第22章『死者の案内人』
第198話
「おまたせ」
「わざわざお越しいただいて申し訳ないです」
少しげっそりしている車掌からは疲弊している様子が見受けられた。
見回りもして、私が知らない業務もこなして…相当疲れているはずだ。
「俺たちは何をすればいい?」
「あの人を止めてほしい。俺だけじゃどうしようもないんだ。…別のお客様のところへ行かないといけないし」
暴走した死霊を止めるというのはとても大変なことだ。
それを車掌ひとりにやらせるような真似はしたくない。
「分かった。今仲間が引きつけてくれているはずだから行ってくるよ」
「ありがとうございます。もし捕らえられたら屋上でお待ちください」
「分かった」
「俺は一旦瞬たちを見てくる」
「お願いするよ」
陽向が殺されてしまう前に相手を引き渡したい。
急いで学園内へ戻り、インカムのスイッチを入れる。
「陽向、聞こえるか?」
『はい。今のところ死霊は現れません。ちょっとやばめな妖とはやりあいましたけど無傷です』
「すぐそっちに向かうから場所を教えてくれ」
『旧校舎の……は?』
陽向の言葉を遮るように、もはや人間とは思えない声が耳をつんざく。
『いやいやいやいや、こんな狭いところで鬼ごっことか無理だって!』
「走れ!」
旧校舎にいることさえ分かれば充分だ。
狭い場所ということは北側の廊下付近…背後から陽向が走ってきた。
「先輩、あれです!」
今回の厄介なところは、相手を絶対に倒してはいけないところだ。
《ウオアア……》
たとえそれが、もう人間としての原型をとどめていなかったとしても。
「……かなり瘴気が濃いな」
「大丈夫ですか?」
「ああ。こういうのは慣れてるから」
近くに仲間がいる分、あの場所で味わってきた地獄の何倍もましだ。
《ベアア!》
いきなり大きな腕を振ったと思うと、勢いよく体が吹き飛ばされた。
「……っ、げほ」
「先輩!」
「大丈夫だ。意外と痛かったけど」
大きな赤子のような相手をするのはかなり大変だが、簡単に諦めたりはしない。
《ウウウウ…》
もしまだ人としての心が残っているなら、相当苦しいはずだ。
早く苦痛から解放したい。
「陽向、その手甲使いこなせそうか?」
「なんとかやってみます」
「…私はかなり美味しいんだ。知ってるか?」
《へ、へへ……》
相手が追いかけてきやすいペースを保ちつつ、校舎の反対側まで走り抜ける。
なんとか邪気の攻撃を避けつつ、壁際まで辿り着いた。
「今だ」
「ちょっと寝ててください、ね!」
勢いよくはいった陽向の拳により、相手は気を失う。
なんとか上手くいったようだ。
札を巨体の周りにはって拘束した。
「屋上まで行こう」
「わざわざお越しいただいて申し訳ないです」
少しげっそりしている車掌からは疲弊している様子が見受けられた。
見回りもして、私が知らない業務もこなして…相当疲れているはずだ。
「俺たちは何をすればいい?」
「あの人を止めてほしい。俺だけじゃどうしようもないんだ。…別のお客様のところへ行かないといけないし」
暴走した死霊を止めるというのはとても大変なことだ。
それを車掌ひとりにやらせるような真似はしたくない。
「分かった。今仲間が引きつけてくれているはずだから行ってくるよ」
「ありがとうございます。もし捕らえられたら屋上でお待ちください」
「分かった」
「俺は一旦瞬たちを見てくる」
「お願いするよ」
陽向が殺されてしまう前に相手を引き渡したい。
急いで学園内へ戻り、インカムのスイッチを入れる。
「陽向、聞こえるか?」
『はい。今のところ死霊は現れません。ちょっとやばめな妖とはやりあいましたけど無傷です』
「すぐそっちに向かうから場所を教えてくれ」
『旧校舎の……は?』
陽向の言葉を遮るように、もはや人間とは思えない声が耳をつんざく。
『いやいやいやいや、こんな狭いところで鬼ごっことか無理だって!』
「走れ!」
旧校舎にいることさえ分かれば充分だ。
狭い場所ということは北側の廊下付近…背後から陽向が走ってきた。
「先輩、あれです!」
今回の厄介なところは、相手を絶対に倒してはいけないところだ。
《ウオアア……》
たとえそれが、もう人間としての原型をとどめていなかったとしても。
「……かなり瘴気が濃いな」
「大丈夫ですか?」
「ああ。こういうのは慣れてるから」
近くに仲間がいる分、あの場所で味わってきた地獄の何倍もましだ。
《ベアア!》
いきなり大きな腕を振ったと思うと、勢いよく体が吹き飛ばされた。
「……っ、げほ」
「先輩!」
「大丈夫だ。意外と痛かったけど」
大きな赤子のような相手をするのはかなり大変だが、簡単に諦めたりはしない。
《ウウウウ…》
もしまだ人としての心が残っているなら、相当苦しいはずだ。
早く苦痛から解放したい。
「陽向、その手甲使いこなせそうか?」
「なんとかやってみます」
「…私はかなり美味しいんだ。知ってるか?」
《へ、へへ……》
相手が追いかけてきやすいペースを保ちつつ、校舎の反対側まで走り抜ける。
なんとか邪気の攻撃を避けつつ、壁際まで辿り着いた。
「今だ」
「ちょっと寝ててください、ね!」
勢いよくはいった陽向の拳により、相手は気を失う。
なんとか上手くいったようだ。
札を巨体の周りにはって拘束した。
「屋上まで行こう」
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