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第2幕
休日の過ごし方☆
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「大丈夫なのか?」
「...うん」
私は真昼にお願いして、料理を教えてもらっている。
病み上がりなのにと心配されたけれど、それをなんとか押しきった。
(もっとお手伝いできることが増えたら嬉しいし、それに...)
真昼にばかり作ってもらうのは悪いから。
独りの頃はご飯なんかどうでもよかった。
どうせ『食事』を摂らないと意味なんてないのだからと、三日に一度食べればそれでいいと思っていた。
「真昼」
「どうした?」
刃物を持つ手を止めて、真昼が私をじっと見つめる。
「あ...」
「...?」
「ありがとう」
緊張したせいか、変な間ができてしまった。
何か言うべきかと内心動揺していると、真昼が爽やかな笑顔で脇腹を然り気無くつついてきた。
「ひゃっ...」
「お礼を言われるようなことは何もしてないよ。それより...焦げそうだぞ」
「...!」
時々意地悪なことを言いながらも、その言葉には優しさがこめられていることをよく知っている。
(よかった、ちょっと嬉しそう...)
ワッフルを焼くのは初めてだったけれど、なんとか無事完成させることができた。
「...で、このカットフルーツと皿に盛りつける」
真昼は器用にやってのけて、ただ見ていることしかできなかった。
「...私にもできるかな?」
「できる。...多分」
「やってみる。けど、笑わないでね」
「...ああ」
私はそっとフルーツを並べていくのだけれど、なかなか思った位置にのせられない。
「なんかの顔?」
「...頑張ればできると思ったけど、お店のみたいにはできなかった」
「初めてじゃ難しいだろ。それならここをこうして...」
後ろから手を添えられ、言葉どおり手取り足取り教えてくれた。
(どうしよう、どきどきして頭に入ってこない...)
「ん?どうした?」
意地悪な笑みを浮かべながら聞いてくる真昼に、私は淡々と答えた。
「...なんでもない」
「ごめんって、拗ねさせるつもりじゃなかったんだ」
「別に拗ねてない」
「ごめんって。...ほら」
ナイフで一口サイズに切られたワッフルをさしたフォークが迫ってくる。
「...!すごい、こんなの食べたことない...」
「それならよかった」
味は分からなくても、サクサクとした食感が堪らない。
(今日は少ししか呑んでないのに調子がいい...真昼がいるから?)
私の少し失敗したものをあげる訳にはいかないけれど、他に渡せるものがない。
「私の、味見してくれる...?」
「当たり前だろ」
ふっと笑いながら、真昼は食べてくれた。
「美味かった。やっぱり才能あるな」
頭を撫でられて、そのままキスされる。
なんだかいつもより甘いような気がした。
「...うん」
私は真昼にお願いして、料理を教えてもらっている。
病み上がりなのにと心配されたけれど、それをなんとか押しきった。
(もっとお手伝いできることが増えたら嬉しいし、それに...)
真昼にばかり作ってもらうのは悪いから。
独りの頃はご飯なんかどうでもよかった。
どうせ『食事』を摂らないと意味なんてないのだからと、三日に一度食べればそれでいいと思っていた。
「真昼」
「どうした?」
刃物を持つ手を止めて、真昼が私をじっと見つめる。
「あ...」
「...?」
「ありがとう」
緊張したせいか、変な間ができてしまった。
何か言うべきかと内心動揺していると、真昼が爽やかな笑顔で脇腹を然り気無くつついてきた。
「ひゃっ...」
「お礼を言われるようなことは何もしてないよ。それより...焦げそうだぞ」
「...!」
時々意地悪なことを言いながらも、その言葉には優しさがこめられていることをよく知っている。
(よかった、ちょっと嬉しそう...)
ワッフルを焼くのは初めてだったけれど、なんとか無事完成させることができた。
「...で、このカットフルーツと皿に盛りつける」
真昼は器用にやってのけて、ただ見ていることしかできなかった。
「...私にもできるかな?」
「できる。...多分」
「やってみる。けど、笑わないでね」
「...ああ」
私はそっとフルーツを並べていくのだけれど、なかなか思った位置にのせられない。
「なんかの顔?」
「...頑張ればできると思ったけど、お店のみたいにはできなかった」
「初めてじゃ難しいだろ。それならここをこうして...」
後ろから手を添えられ、言葉どおり手取り足取り教えてくれた。
(どうしよう、どきどきして頭に入ってこない...)
「ん?どうした?」
意地悪な笑みを浮かべながら聞いてくる真昼に、私は淡々と答えた。
「...なんでもない」
「ごめんって、拗ねさせるつもりじゃなかったんだ」
「別に拗ねてない」
「ごめんって。...ほら」
ナイフで一口サイズに切られたワッフルをさしたフォークが迫ってくる。
「...!すごい、こんなの食べたことない...」
「それならよかった」
味は分からなくても、サクサクとした食感が堪らない。
(今日は少ししか呑んでないのに調子がいい...真昼がいるから?)
私の少し失敗したものをあげる訳にはいかないけれど、他に渡せるものがない。
「私の、味見してくれる...?」
「当たり前だろ」
ふっと笑いながら、真昼は食べてくれた。
「美味かった。やっぱり才能あるな」
頭を撫でられて、そのままキスされる。
なんだかいつもより甘いような気がした。
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