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第2幕
憩いの場☆
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「お疲れ」
「う、うん...」
真昼と二人、並んで昼食をとる。
こんなふうに楽しんで食べるのは、久しぶりなような気がする。
(最近は体調を崩して迷惑をかけてばかりだったから...)
俯いていると、真昼が顔をのぞきこんでくる。
「何か気になることでもあったのか?」
「ううん。...ちょっと疲れたけど、先輩方すごいなって」
「ふうん...俺はおまえも充分すごいと思うけどな」
ぼそっと呟かれた言葉に、思わず声をもらしてしまいそうになる。
「真昼だって、沢山頑張ってたよね...?」
「...!俺は別に、あれくらい普通、だし、」
「おやおや?いつからここはイチャイチャカップルの場所になったのかな?」
いつの間に二人の世界に入ってしまっていたのか、先輩たちがきたことに全く気づいていなかった。
「...ひやかしにきたんですか」
「あんなに冷静沈着な御舟君がデレデレしてるとは思ってなかったからさ!」
「先輩方、後で店長に報告しときますね」
「あれ、私も巻きこまれてる...?」
先輩たちがくるとあっという間に賑やかになって、二人きりのときとはまた違った楽しい時間を過ごすことができた。
(やっぱりここ、楽しいな...)
飴を食べ、欲求を誤魔化す。
「そろそろ行くか」
「...うん」
真昼と一緒に店先に立つと、杖をついたおばあさんと小さな女の子が一緒にやってきた。
「...いらっしゃいませ」
「席はどこでも大丈夫ですか?」
「はい。空いてる席なら、どこでも。...ご案内します」
その後から入ってきたのは、口が悪い若いカップルだった。
「おいおい、遅すぎるだろ」
「早く座りたいんだけど?」
おばあさんの杖にわざと足を引っ掛けようとするのが目にはいる。
「...お客様、申し訳ありませんがもう少しお待ちください」
「はあ?こっちは食べにきてやってるんですけど?」
なんとか静止したものの、この人たちは自分の意見が正しいと思いこんでいる。
...私はそういう人をよく知っている。
「おばあちゃん、大丈夫?」
「ごめんね。最近また足が弱ったのかねえ...」
女の子が泣きそうな表情をしているのを見て、私はもう迷わなかった。
「おばあちゃんは私が手をひっぱっていくから、お姫様は先に一番入り口に近い席で待っててくれるかな?」
「うん...!」
「すみません、ありがとうございます」
女の子は笑顔で椅子にこしかけ、おばあさんも優しく微笑んでくれた。
(『みんなが笑顔で過ごせるように』...ちゃんとできてるのかな)
いつの間にかカップルを案内してくれていた真昼と目が合う。
そっと私に、優しく微笑みかけてくれたような気がした。
「う、うん...」
真昼と二人、並んで昼食をとる。
こんなふうに楽しんで食べるのは、久しぶりなような気がする。
(最近は体調を崩して迷惑をかけてばかりだったから...)
俯いていると、真昼が顔をのぞきこんでくる。
「何か気になることでもあったのか?」
「ううん。...ちょっと疲れたけど、先輩方すごいなって」
「ふうん...俺はおまえも充分すごいと思うけどな」
ぼそっと呟かれた言葉に、思わず声をもらしてしまいそうになる。
「真昼だって、沢山頑張ってたよね...?」
「...!俺は別に、あれくらい普通、だし、」
「おやおや?いつからここはイチャイチャカップルの場所になったのかな?」
いつの間に二人の世界に入ってしまっていたのか、先輩たちがきたことに全く気づいていなかった。
「...ひやかしにきたんですか」
「あんなに冷静沈着な御舟君がデレデレしてるとは思ってなかったからさ!」
「先輩方、後で店長に報告しときますね」
「あれ、私も巻きこまれてる...?」
先輩たちがくるとあっという間に賑やかになって、二人きりのときとはまた違った楽しい時間を過ごすことができた。
(やっぱりここ、楽しいな...)
飴を食べ、欲求を誤魔化す。
「そろそろ行くか」
「...うん」
真昼と一緒に店先に立つと、杖をついたおばあさんと小さな女の子が一緒にやってきた。
「...いらっしゃいませ」
「席はどこでも大丈夫ですか?」
「はい。空いてる席なら、どこでも。...ご案内します」
その後から入ってきたのは、口が悪い若いカップルだった。
「おいおい、遅すぎるだろ」
「早く座りたいんだけど?」
おばあさんの杖にわざと足を引っ掛けようとするのが目にはいる。
「...お客様、申し訳ありませんがもう少しお待ちください」
「はあ?こっちは食べにきてやってるんですけど?」
なんとか静止したものの、この人たちは自分の意見が正しいと思いこんでいる。
...私はそういう人をよく知っている。
「おばあちゃん、大丈夫?」
「ごめんね。最近また足が弱ったのかねえ...」
女の子が泣きそうな表情をしているのを見て、私はもう迷わなかった。
「おばあちゃんは私が手をひっぱっていくから、お姫様は先に一番入り口に近い席で待っててくれるかな?」
「うん...!」
「すみません、ありがとうございます」
女の子は笑顔で椅子にこしかけ、おばあさんも優しく微笑んでくれた。
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いつの間にかカップルを案内してくれていた真昼と目が合う。
そっと私に、優しく微笑みかけてくれたような気がした。
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