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第3幕
贈り物選び★
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「...はあ」
次の日、俺は女性ものの商品が並ぶ雑貨屋で一人苦戦していた。
「御舟?」
「染谷、なんでここに、」
「もしかして御舟、佐藤ちゃんにプレゼント?」
「...悪いかよ」
染谷はにやにやしながらこちらを振り向いた。
「悩んでるなら一緒に選んでやろうか?」
「...頼む。あいつがどういうのが好きなのか、よく分からなくてな」
少し驚いた顔をした後、染谷は真剣に話を聞いてくれた。
「成程、ご褒美みたいな感じで渡すなら...これかな。あとはこれとか、然り気無いし普段使いできるから喜んでもらえるんじゃないか?」
入浴剤や髪飾り、手帳...どれも女性らしいデザインのものばかりだ。
「おまえ、詳しいんだな」
「これでも、俺だってこんな感じの小物はちゃんと乙女なんだぞ?...それに、昔はちゃんと女の子の友人だっていたからな」
染谷は少し寂しげに呟いて、目の前の可愛らしいテディベアを手にとる。
「今日は限定品のこれを買いにきたんだし」
「そうか。いいんじゃないか?...あと、助かった。ありがとう」
「なんならこれから佐藤ちゃんも呼んで、三人で回る?」
「...いや、やめとく」
「聞いてみるだけ聞いてみれば?」
「あいつ、昨日疲れてたんだ。多分寝てるだろうから起こしたくない」
それじゃあ、と染谷は休憩スペースを指さす。
「飲み物でも頼んで、レポートなり提出課題を仕上げよう。...今も持ってるんだろ?それに、終わらせておけば佐藤ちゃんと一緒にいられる時間も増やせるだろうし」
俺も染谷も物事は期日より早めに終わらせておくタイプで、今日も買い物を終わらせたらここで何とかやれるだけやって帰ろうと思っていたところだ。
「...そうだな。飲み物くらいは奢らせてくれ。つきあってもらった礼に」
「いいのか?それじゃあ、遠慮なく」
二人でフルーツジュースを並べて、それを飲みながら書きあげていく。
「...なあ、これって問題間違ってない?」
「どれだ?...ああ、それは多分おまえの英訳が間違ってる」
「え、どこが?」
「いいか、ここの文章は...」
説明していると、結構な時間が経過していることに気づく。
「そろそろ佐藤ちゃんのところ行くのか?」
「ああ。あと分からないところがあったら連絡しろ」
「おう。ありがとな」
染谷に背を向け、千夜の元へ急ぐ。
もしかすると、疲れの影響でいつも以上に渇きが酷いのではないか...そんな不安をかかえながらも、一歩一歩前に進む。
いつもなら起きていたら既読をつけているのに、今日はついていない。
(...まずいな、早く行かないと)
次の日、俺は女性ものの商品が並ぶ雑貨屋で一人苦戦していた。
「御舟?」
「染谷、なんでここに、」
「もしかして御舟、佐藤ちゃんにプレゼント?」
「...悪いかよ」
染谷はにやにやしながらこちらを振り向いた。
「悩んでるなら一緒に選んでやろうか?」
「...頼む。あいつがどういうのが好きなのか、よく分からなくてな」
少し驚いた顔をした後、染谷は真剣に話を聞いてくれた。
「成程、ご褒美みたいな感じで渡すなら...これかな。あとはこれとか、然り気無いし普段使いできるから喜んでもらえるんじゃないか?」
入浴剤や髪飾り、手帳...どれも女性らしいデザインのものばかりだ。
「おまえ、詳しいんだな」
「これでも、俺だってこんな感じの小物はちゃんと乙女なんだぞ?...それに、昔はちゃんと女の子の友人だっていたからな」
染谷は少し寂しげに呟いて、目の前の可愛らしいテディベアを手にとる。
「今日は限定品のこれを買いにきたんだし」
「そうか。いいんじゃないか?...あと、助かった。ありがとう」
「なんならこれから佐藤ちゃんも呼んで、三人で回る?」
「...いや、やめとく」
「聞いてみるだけ聞いてみれば?」
「あいつ、昨日疲れてたんだ。多分寝てるだろうから起こしたくない」
それじゃあ、と染谷は休憩スペースを指さす。
「飲み物でも頼んで、レポートなり提出課題を仕上げよう。...今も持ってるんだろ?それに、終わらせておけば佐藤ちゃんと一緒にいられる時間も増やせるだろうし」
俺も染谷も物事は期日より早めに終わらせておくタイプで、今日も買い物を終わらせたらここで何とかやれるだけやって帰ろうと思っていたところだ。
「...そうだな。飲み物くらいは奢らせてくれ。つきあってもらった礼に」
「いいのか?それじゃあ、遠慮なく」
二人でフルーツジュースを並べて、それを飲みながら書きあげていく。
「...なあ、これって問題間違ってない?」
「どれだ?...ああ、それは多分おまえの英訳が間違ってる」
「え、どこが?」
「いいか、ここの文章は...」
説明していると、結構な時間が経過していることに気づく。
「そろそろ佐藤ちゃんのところ行くのか?」
「ああ。あと分からないところがあったら連絡しろ」
「おう。ありがとな」
染谷に背を向け、千夜の元へ急ぐ。
もしかすると、疲れの影響でいつも以上に渇きが酷いのではないか...そんな不安をかかえながらも、一歩一歩前に進む。
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