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終幕
眠り姫★
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その姿は美しく、何よりも清らかなもの...。
そんな表現が似合うほど、今隣で眠っている恋人は綺麗だった。
(取り敢えず、掃除からか)
らしくないことを考えたと内心苦笑しながら、洗面所へと向かう。
...そこには、とても千夜には見せられない光景が広がっていた。
紅、紅、紅...あたり一面、紅一色だった。
恐らく切ったときに飛び散ったものなのだろうが、こんな状態だったのだと知れば、きっと千夜は取り乱してしまう。
それだけはどうしても避けたくて、洗面所の方を振り返らないように仕向けるのに少し苦労した。
普段の千夜だったらどうしてと言うところなのだろうが、今日はその元気もないらしい。
「...次は包丁か」
ただ、目の前にあるそれを無我夢中で研ぐ。
そうしていると、いつの間にか陽が落ちきっていた。
(また起こすのは申し訳ないような気もするが...)
結局、俺は起こすのをやめた。
ただ側にいたくて、他の用事をいつもの倍以上の速さで終わらせた。
「...千夜」
相変わらずすやすやと眠り続ける千夜を見ていると、なんだか心が落ち着いてくる。
...こういうのを、癒されると表現するのだろうか。
(可愛いやつ)
眠り姫のような恋人に、そっと口づける。
風邪がうつるかもしれないだとか、血がついているかもしれないだとか...そんなこと、全く考えていなかった。
「...真昼?」
コホコホと咳をしながら、潤んだ瞳で俺の顔をのぞきこんでくる。
「今、キ、」
「してない、何もしてない、キスなんかしてない」
「...やっぱり」
優しい笑顔は朝よりもずっと元気そうで、なんだかほっとすると同時にキスをしたことがバレて居たたまれない気持ちになる。
「その、なんだ、早く治るようにっていうおまじないだ」
「...そう、なんだ」
きゅっと手を握られて、身動きが取れなくなる。
「あのね、治ったよ」
「...まだ安静にしてろよ」
「真昼のおかげ。...ありがとう」
ふにゃふにゃの笑顔でこんなことを言われて、何も思わない奴がいるだろうか。
(...体調がよかったらもっとキスしてたかも)
「...真昼」
「どうした?」
「もうちょっとだけ、寝てもいい?」
「ん、分かった」
「...手、繋いでてくれる?」
不安そうに聞いてくる千夜に、ただ頷くことしかできない。
「ありがとう...」
夕飯が、とか。そういうことはもうどうでもよくて...俺はただ、千夜の寝顔を見つめていた。
早く元気になってくれればそれでいい。
そんなことを考えながら、いつの間にか俺まで眠ってしまっていた。
そんな表現が似合うほど、今隣で眠っている恋人は綺麗だった。
(取り敢えず、掃除からか)
らしくないことを考えたと内心苦笑しながら、洗面所へと向かう。
...そこには、とても千夜には見せられない光景が広がっていた。
紅、紅、紅...あたり一面、紅一色だった。
恐らく切ったときに飛び散ったものなのだろうが、こんな状態だったのだと知れば、きっと千夜は取り乱してしまう。
それだけはどうしても避けたくて、洗面所の方を振り返らないように仕向けるのに少し苦労した。
普段の千夜だったらどうしてと言うところなのだろうが、今日はその元気もないらしい。
「...次は包丁か」
ただ、目の前にあるそれを無我夢中で研ぐ。
そうしていると、いつの間にか陽が落ちきっていた。
(また起こすのは申し訳ないような気もするが...)
結局、俺は起こすのをやめた。
ただ側にいたくて、他の用事をいつもの倍以上の速さで終わらせた。
「...千夜」
相変わらずすやすやと眠り続ける千夜を見ていると、なんだか心が落ち着いてくる。
...こういうのを、癒されると表現するのだろうか。
(可愛いやつ)
眠り姫のような恋人に、そっと口づける。
風邪がうつるかもしれないだとか、血がついているかもしれないだとか...そんなこと、全く考えていなかった。
「...真昼?」
コホコホと咳をしながら、潤んだ瞳で俺の顔をのぞきこんでくる。
「今、キ、」
「してない、何もしてない、キスなんかしてない」
「...やっぱり」
優しい笑顔は朝よりもずっと元気そうで、なんだかほっとすると同時にキスをしたことがバレて居たたまれない気持ちになる。
「その、なんだ、早く治るようにっていうおまじないだ」
「...そう、なんだ」
きゅっと手を握られて、身動きが取れなくなる。
「あのね、治ったよ」
「...まだ安静にしてろよ」
「真昼のおかげ。...ありがとう」
ふにゃふにゃの笑顔でこんなことを言われて、何も思わない奴がいるだろうか。
(...体調がよかったらもっとキスしてたかも)
「...真昼」
「どうした?」
「もうちょっとだけ、寝てもいい?」
「ん、分かった」
「...手、繋いでてくれる?」
不安そうに聞いてくる千夜に、ただ頷くことしかできない。
「ありがとう...」
夕飯が、とか。そういうことはもうどうでもよくて...俺はただ、千夜の寝顔を見つめていた。
早く元気になってくれればそれでいい。
そんなことを考えながら、いつの間にか俺まで眠ってしまっていた。
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