11 / 33
10枚目
しおりを挟む
人生はプラスマイナスゼロになるようできているらしい。
それなら教えてくれ。僕の人生の針はいつプラスに触れるのか。
そんな日なんてこない。だからこうするしかないんだ。
……そう思っていたのに。
「なんで……」
「え?」
「なんで泣いてくれるんですか?」
僕のために泣いてくれる人なんていないと思っていた。
誰もが見て見ぬふりをする。
だが、それは仕方のないこと。
誰だってあんな思いはしたくない。
誰もが僕を害する。
だが、それは仕方のないこと。
誰もが他者の心を汲み取れるわけではない。
そうして諦められれば簡単だった。
「家に帰りたくないなら帰らなくていい。私の家においで」
「ですが、」
「異性なら問題あるのかもしれないけど、同性なら大丈夫でしょ」
「気づいていたんですか」
「なんとなくだけどね」
この人は本当にすごい人だと思う。
カメラに視線をやると、彼女は涙を拭った。
「人は自分が持った手札で戦うんだって。だけど、今聞いた話だと君の手札はあんまり良くない。
ハリボテ家族に嫌な学校、消えない痣……嫌にもなるよね。それだけで乗り越えるなんて無茶だよ」
中島さんは震える声で僕を呼ぶ。
「蓮、気が向いたときだけでいいから私のところに来て。
少しでもいい手札が増えるように、なんでもする」
なんでこんなに優しいんだ。
「なら、時間があるときに行ってもいいですか?誰も帰ってこない日とか」
「勿論。鍵、渡しておくね」
毎日入り浸っては迷惑になる。
「ありがとうございます」
「それじゃあ、また明日」
「はい。また明日」
不思議だ。今すぐ終わりにしてやるって思っていたのに、明日が楽しみになっている自分がいる。
彼女と一緒にいれば、自分だけの武器も見つけられるかもしれない。
それなら教えてくれ。僕の人生の針はいつプラスに触れるのか。
そんな日なんてこない。だからこうするしかないんだ。
……そう思っていたのに。
「なんで……」
「え?」
「なんで泣いてくれるんですか?」
僕のために泣いてくれる人なんていないと思っていた。
誰もが見て見ぬふりをする。
だが、それは仕方のないこと。
誰だってあんな思いはしたくない。
誰もが僕を害する。
だが、それは仕方のないこと。
誰もが他者の心を汲み取れるわけではない。
そうして諦められれば簡単だった。
「家に帰りたくないなら帰らなくていい。私の家においで」
「ですが、」
「異性なら問題あるのかもしれないけど、同性なら大丈夫でしょ」
「気づいていたんですか」
「なんとなくだけどね」
この人は本当にすごい人だと思う。
カメラに視線をやると、彼女は涙を拭った。
「人は自分が持った手札で戦うんだって。だけど、今聞いた話だと君の手札はあんまり良くない。
ハリボテ家族に嫌な学校、消えない痣……嫌にもなるよね。それだけで乗り越えるなんて無茶だよ」
中島さんは震える声で僕を呼ぶ。
「蓮、気が向いたときだけでいいから私のところに来て。
少しでもいい手札が増えるように、なんでもする」
なんでこんなに優しいんだ。
「なら、時間があるときに行ってもいいですか?誰も帰ってこない日とか」
「勿論。鍵、渡しておくね」
毎日入り浸っては迷惑になる。
「ありがとうございます」
「それじゃあ、また明日」
「はい。また明日」
不思議だ。今すぐ終わりにしてやるって思っていたのに、明日が楽しみになっている自分がいる。
彼女と一緒にいれば、自分だけの武器も見つけられるかもしれない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる