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15枚目
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残念ながら、パンケーキは食べそこねてしまった。
とてもじゃないけどそんな気分じゃなくなってしまったのだ。
翌朝、重い体を引きずりながら出社する。
開口一番訊かれたのは、1枚の記事についてだ。
「この写真について説明してくれるか?」
細田さんと話しているところを誰かに撮られてしまったらしい。
「これは、仕事へ向かう途中にお礼をと、」
「そんなことはどうでもいい」
熱愛などという冗談みたいな見出しがなければ、もっと話を聞いてもらえただろうか。
「しばらく来なくていいから。それと、あの写真は差し替える」
「そんな……」
「今日はもう帰りなさい」
やっとその人の個性を撮影できたと思ったのに、こうして取り上げられてしまうのか。
だけど、会社に火の粉が降りかかるのを避けるにはこうするしかないというのもなんとなく分かる。
ビルから出たところでいきなり腕を掴まれた。
「いた!このクズ女!」
「隆道君に色目使いやがって!」
いきなり水をかけられて思考が停止する。
……いや、停止させないと立っていられない。
「消えろ、この悪魔」
カメラだけはなんとか守り抜いて、そのまま徒歩で駅まで向かう。
今の私には、唇を噛みしめることしかできない。
今日も蓮が来てくれるかもしれないのに、これからどうしよう。
あの子が巻きこまれたら耐えられない。
【今日は来ちゃだめ】
とてもじゃないけどそんな気分じゃなくなってしまったのだ。
翌朝、重い体を引きずりながら出社する。
開口一番訊かれたのは、1枚の記事についてだ。
「この写真について説明してくれるか?」
細田さんと話しているところを誰かに撮られてしまったらしい。
「これは、仕事へ向かう途中にお礼をと、」
「そんなことはどうでもいい」
熱愛などという冗談みたいな見出しがなければ、もっと話を聞いてもらえただろうか。
「しばらく来なくていいから。それと、あの写真は差し替える」
「そんな……」
「今日はもう帰りなさい」
やっとその人の個性を撮影できたと思ったのに、こうして取り上げられてしまうのか。
だけど、会社に火の粉が降りかかるのを避けるにはこうするしかないというのもなんとなく分かる。
ビルから出たところでいきなり腕を掴まれた。
「いた!このクズ女!」
「隆道君に色目使いやがって!」
いきなり水をかけられて思考が停止する。
……いや、停止させないと立っていられない。
「消えろ、この悪魔」
カメラだけはなんとか守り抜いて、そのまま徒歩で駅まで向かう。
今の私には、唇を噛みしめることしかできない。
今日も蓮が来てくれるかもしれないのに、これからどうしよう。
あの子が巻きこまれたら耐えられない。
【今日は来ちゃだめ】
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