ノーヴォイス・ライフ

黒蝶

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逆境を壊す

第47話

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「お疲れ様でした」
あれから数日、桜雪とは連絡をほとんど取っていない。
お互いの予定がなかなか合わず、デートプランを立てられずにいるのだ。
正直、まだ彼女について知らないことの方が多いので余計に迷っている。
「みい」
「え、りっ君?どうしたの、風邪引くよ?」
「おまえより頑丈だから心配するな」
りっ君はふっと笑って頭をわしわし撫でてくる。
わざわざ待っていてくれたのには理由があるのだろう。
「近くの神社で年末年始5日間かけて様々な催し物があるらしい」
「そうなんだ」
「…一緒に行かないのか?」
「行きたいけど、俺も彼女も人混み苦手だよ?」
「あの神社には滅多に人が来ない。昼すぎは多いが、夕方から夜にかけて格段に過ごしやすくなる。防寒具さえ用意しておけばな」
たったそれだけのことを伝えるために、ずっと待っていてくれたのだろうか。
他にも理由がある気がしたけど、訊いていいのか分からなくてただチラシを受け取る。
「ありがとう。予定を聞いてみるね」
「あとこれ。参考になりそうなら使ってくれ」
真新しい手話の本を渡され、その優しさに心が温まる。
「ありがとう。頑張って練習するね」
「くれぐれも無理はするなよ」
「りっ君もね」
「ああ」
りっ君が帰っていくところを見てからすぐ部屋に入る。
【桜雪、こんばんは。
都合のいいときでいいから返信をもらえると嬉しいな。
実は年末年始に近くの神社でちょっとした屋台が出るんだ。あんまり人がいない時間に行くのはどうかな?】
返信を待ちながら課題をこなす。
こうしている間はあまり嫌なことを考えずにすむから、正直すごく助かっている。
それから少しして返信がきた。
【迷惑にならなければ、一緒に行きたいです】
周りがあまり明るくないということは、紙に書いて話す筆談は難しいということになる。
りっ君からもらった手話の本をちょこちょこ読みながらお湯を沸かす。
【桜雪の空いてる日を教えてほしいな。今日は遅いから、続きは明日以降でも大丈夫】
送り終わると同時にポットに呼ばれる。
夜食にカップラーメンを食べるのが密かなマイブームになっていて、時々食べると最高に美味しい。
返信が止まったということは、桜雪はもう寝てしまったのだろう。
できるだけ人と接触しない時間帯を選びながら、予定が合う日があることを祈った。
…課題もほどほどにカップ麺を食べてすぐ休んだ翌日、桜雪から予定が届く。
【おはよう。これといった予定もありませんので、穂さんの都合を教えてほしいです】
彼女らしい丁寧な返信に予定を打ちこんで返す。
どんな反応が返ってくるのか楽しみだ。
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