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Until the day when Christmas comes.
第14話
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ー**ー
「メルが、誘拐された...?」
あの時俺が、メルに付き添っていたら?
あの時俺が、メルから目を離さなければ?
あの時俺が...
「...場所は」
「おい、今のおまえの状態では」
「場所はどこなの?」
懐に隠してあったナイフを確認する。
(研ぎをしただけある。これだけ刃先が元気なら、料理するのにちょうどいい)
「...廃屋だ。使われていない倉庫街にいる」
「ああ、あそこか。行ってくる」
「あそこには何人もの凶悪犯がいるんだぞ⁉おまえ一人では無理」
エリックの言葉もまともに耳には入らない。
「明日には売り飛ばされてしまう!急いでメルを助けないといけないんだ!あの子は純粋に俺を信じてくれた。俺が行かなきゃ誰が行くんだよ⁉」
この時の俺は、きっとゾッとするような顔をしていたのだろう。
ナタリーが後ろに少し下がるのを感じた。
パシン...。
一瞬何が起こったのか分からなかった。
右頬がヒリヒリしたのでそのときようやく分かった。
...エリックに殴られたのだと。
「このバカ!本当に彼女を救いたいなら落ち着け!おまえ一人で行かせるわけないだろう?全員で作戦を練ればいい。こういう時こそ団結すべきだろう、一人で暴走するんじゃない!」
「エリック...ごめん」
(でもこれから警官を集めていてはメルを助けに行く時間も遅くなり、可能性も低くなる)
「エリック、きみの部下を巻き込んでもいい?」
「いいだろう。貸し一な」
エリックはこう言いながらもいつも協力してくれる。
「ありがとう」
エリックの無線の音がする。
「少し待て。ああ、俺だ。...何⁉ああ、追撃しろ、深追いはするなよ」
エリックは真っ青になっている。
「どうしたの?」
「彼女が連れていかれた。どこに連れていかれるかは不明だが、今部下に追わせている」
(そんな...)
絶望にうちひしがれていると、ベンが口を開いた。
「...おいらに任せるだよ。ごろつきのアジトみたいな所まで運んでやるだよ」
「でもベン、きみは裏から足を洗ったんだろ?...大事な奥さんもいるのにいいの?」
俺はナタリーの方を見ながら問う。
「ナタリー、一日だけ許してほしいだよ」
「メルのためだもんね。...ベン、頼むから怪我しないで帰ってきてね。明日はクリスマスだし、料理を作って待ってるから」
「絶対怪我しねえだよ」
エリックが一呼吸おいてベンの方を向いて依頼する。
「...では頼む、『天性の運び屋』ベン」
「久しぶりにその名前で呼ばれただよ。...任せるだよ」
ベンやナタリーの馬車に乗る。
「メルのこと、ちゃんと助けてくるんだよ」
ナタリーに見送られながら、俺は作戦をたてる。
(メル、きみは俺が助けるから。だからどうか無事でいてくれ!)
ー*ー
「ん...」
(あれ?確か私は、路地裏を歩いていて...)
「ようやくお目覚めか、『マッチ売りの少女』」
聞いたことがない声がする。
動こうとしたものの、椅子に磔られていて動けない。ロープでくくりつけられていて、びくともしない。
「あなたは誰ですか?ここはいったい...」
(頭が痛いです...。何故でしょうか?)
「目を怪我してるのは残念だが、おまえは高く売れそうだね」
売る?売るってなんだろうか。
「状況が分からないようなら教えてあげよう。きみを、他の人のところに売るんだ。...強制的にね」
「知らない人のところ...?」
「そうだ。売られたあとどうなるかは俺たちは知らない。働かされたり、あとは...子どもを産まされたりとまあ色々だ」
子どもを、産まされる?
ただ私には、一つだけ分かったことがあった。
(カムイのところに帰れないのですね...)
「おっと、泣きそうかい?」
「...いえ」
カムイに会うまでは泣かないと、私はこの時点で勝手に決めた。
「可愛らしいからうちの組織で飼ってもいいんだけど...」
「...」
何も答えてはいけないと、そう直感した。
「答える気はない、か。それでもいいがな」
髪を触られる。
「いやっ...」
「もっと触ってやろうか?」
「やめてください!」
カムイのところには帰れない。
もう血の繋がった家族もいない。
何も、ない。
(これは罰でしょうか?)
確かにここ数日、恵まれすぎて幸せだった。
少ししか話せなかったけど、優しそうだったエリックさん。
とってものんびりしている、大きい体のベンさん。
私の洋服を選んでくれた、明るく元気なナタリーさん。
でも一番は...
《『居場所』がないならここを居場所にすればいい》
《よく頑張ったね》
《ご飯はみんなで食べると美味しいんだ》
《ここで待ってるから、安心していっておいで?》
(カムイ...)
いつだって私を支えてくれた、カムイ。
優しくてかっこいい、私の...
(カムイにまだ、ちゃんと気持ちを伝えていません)
「...けて」
「あ?」
「助けて」
「ここで何を叫んだって、」
「助けて、カムイ!助けて...」
「だから無駄だって」
「うん、ちゃんと聞こえたよ」
その声の主は、もう会えないと思っていた愛しい人。
「誰だおまえは⁉」
「メル、怖かったら眼を閉じてて。すぐに終わらせるから」
カムイの方を見ると、いつものように笑っていた。
「メルが、誘拐された...?」
あの時俺が、メルに付き添っていたら?
あの時俺が、メルから目を離さなければ?
あの時俺が...
「...場所は」
「おい、今のおまえの状態では」
「場所はどこなの?」
懐に隠してあったナイフを確認する。
(研ぎをしただけある。これだけ刃先が元気なら、料理するのにちょうどいい)
「...廃屋だ。使われていない倉庫街にいる」
「ああ、あそこか。行ってくる」
「あそこには何人もの凶悪犯がいるんだぞ⁉おまえ一人では無理」
エリックの言葉もまともに耳には入らない。
「明日には売り飛ばされてしまう!急いでメルを助けないといけないんだ!あの子は純粋に俺を信じてくれた。俺が行かなきゃ誰が行くんだよ⁉」
この時の俺は、きっとゾッとするような顔をしていたのだろう。
ナタリーが後ろに少し下がるのを感じた。
パシン...。
一瞬何が起こったのか分からなかった。
右頬がヒリヒリしたのでそのときようやく分かった。
...エリックに殴られたのだと。
「このバカ!本当に彼女を救いたいなら落ち着け!おまえ一人で行かせるわけないだろう?全員で作戦を練ればいい。こういう時こそ団結すべきだろう、一人で暴走するんじゃない!」
「エリック...ごめん」
(でもこれから警官を集めていてはメルを助けに行く時間も遅くなり、可能性も低くなる)
「エリック、きみの部下を巻き込んでもいい?」
「いいだろう。貸し一な」
エリックはこう言いながらもいつも協力してくれる。
「ありがとう」
エリックの無線の音がする。
「少し待て。ああ、俺だ。...何⁉ああ、追撃しろ、深追いはするなよ」
エリックは真っ青になっている。
「どうしたの?」
「彼女が連れていかれた。どこに連れていかれるかは不明だが、今部下に追わせている」
(そんな...)
絶望にうちひしがれていると、ベンが口を開いた。
「...おいらに任せるだよ。ごろつきのアジトみたいな所まで運んでやるだよ」
「でもベン、きみは裏から足を洗ったんだろ?...大事な奥さんもいるのにいいの?」
俺はナタリーの方を見ながら問う。
「ナタリー、一日だけ許してほしいだよ」
「メルのためだもんね。...ベン、頼むから怪我しないで帰ってきてね。明日はクリスマスだし、料理を作って待ってるから」
「絶対怪我しねえだよ」
エリックが一呼吸おいてベンの方を向いて依頼する。
「...では頼む、『天性の運び屋』ベン」
「久しぶりにその名前で呼ばれただよ。...任せるだよ」
ベンやナタリーの馬車に乗る。
「メルのこと、ちゃんと助けてくるんだよ」
ナタリーに見送られながら、俺は作戦をたてる。
(メル、きみは俺が助けるから。だからどうか無事でいてくれ!)
ー*ー
「ん...」
(あれ?確か私は、路地裏を歩いていて...)
「ようやくお目覚めか、『マッチ売りの少女』」
聞いたことがない声がする。
動こうとしたものの、椅子に磔られていて動けない。ロープでくくりつけられていて、びくともしない。
「あなたは誰ですか?ここはいったい...」
(頭が痛いです...。何故でしょうか?)
「目を怪我してるのは残念だが、おまえは高く売れそうだね」
売る?売るってなんだろうか。
「状況が分からないようなら教えてあげよう。きみを、他の人のところに売るんだ。...強制的にね」
「知らない人のところ...?」
「そうだ。売られたあとどうなるかは俺たちは知らない。働かされたり、あとは...子どもを産まされたりとまあ色々だ」
子どもを、産まされる?
ただ私には、一つだけ分かったことがあった。
(カムイのところに帰れないのですね...)
「おっと、泣きそうかい?」
「...いえ」
カムイに会うまでは泣かないと、私はこの時点で勝手に決めた。
「可愛らしいからうちの組織で飼ってもいいんだけど...」
「...」
何も答えてはいけないと、そう直感した。
「答える気はない、か。それでもいいがな」
髪を触られる。
「いやっ...」
「もっと触ってやろうか?」
「やめてください!」
カムイのところには帰れない。
もう血の繋がった家族もいない。
何も、ない。
(これは罰でしょうか?)
確かにここ数日、恵まれすぎて幸せだった。
少ししか話せなかったけど、優しそうだったエリックさん。
とってものんびりしている、大きい体のベンさん。
私の洋服を選んでくれた、明るく元気なナタリーさん。
でも一番は...
《『居場所』がないならここを居場所にすればいい》
《よく頑張ったね》
《ご飯はみんなで食べると美味しいんだ》
《ここで待ってるから、安心していっておいで?》
(カムイ...)
いつだって私を支えてくれた、カムイ。
優しくてかっこいい、私の...
(カムイにまだ、ちゃんと気持ちを伝えていません)
「...けて」
「あ?」
「助けて」
「ここで何を叫んだって、」
「助けて、カムイ!助けて...」
「だから無駄だって」
「うん、ちゃんと聞こえたよ」
その声の主は、もう会えないと思っていた愛しい人。
「誰だおまえは⁉」
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