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Until the day when I get engaged.-The light which comes over darkness-
第19話
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ー*ー
それから数日後。
(どうすればいいのでしょうか?)
目の前で沈黙している、一人の警官。
これは、数十分ほど前から続いている状況である...。
ーーーーーーーーーー【回想】ーーーーーーーーーー
私はいつものようにカムイと紅茶を飲みながら話をしていた。
すると、ドアがノックされる。
二回...四回...二回。
(この回数に意味があるのでしょうか?)
「メル、覚えておいて。このノックの間隔と回数は...」
ガチャ、とドアが開かれる。
「エリックがきたときだから」
「いるなら早く開けろよ、この服だと寒いんだよ」
「ごめんね、暖炉まだあっためてなかった」
(本当に仲がいいんですね、このおふたりは...)
「私はお部屋にいた方がいいですか?」
「いや、どちらでもかまわない。今日は仕事できたのではなく、単に休憩時間になったので遊びにきただけだからな」
「分かりました」
エリックさんは私のことを名前では呼んでくれない。
どうしてなのか少し気になるが、聞いてもいいのか分からない。
「先生!」
「ごめん、すぐに戻るから!」
外から患者さんであろう声が聞こえ、カムイは医務室へ行ってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そしてそのまま、お互い何も喋らずに長い時間がたってしまった。
(そういえば、ナタリーさんがエリックさんは女性が苦手だと仰っていました)
「あの、エリックさん」
「なんだ?」
「ナタリーさんとはお友だちなんですか?」
「ぶっ!」
エリックさんは紅茶を飲んでいる途中だったため、目の前にいる私におもいきりふきだしてしまった。
「ゲホゲホっ!」
「ごめんなさい、エリックさん!えっと、取り敢えずこのタオルでふいてください」
「す、すまない」
「いえ...」
背後からタオルを掛けられる。
「メル、そのままじゃ風邪引いちゃうよ?」
ー**ー
思いのほか重症だった患者の手当てを無事に済ませ、家に帰ってみると...
(倒れたカップ、むせているエリック、びしょ濡れのメル...)
俺はある推測をたてた。
「人の彼女に向かって紅茶をふくなんて...何してるのかな、エリック?」
「すまない。少し動揺して...」
濡れてしまっているメルをふいていると、メルが口を開いた。
「エリックさんは悪くないんです!その、私が...」
メルはエリックがナタリーと友人関係なのかを聞きたかったらしい。
「なるほど...その瞬間にエリックの口内の紅茶が噴射された、と」
「俺とナタリーが仲がいい様に見えるのか?」
「?はい、名前で呼ばれていたのでもしかしてと思ったのですが...」
俺は笑いをこらえながら言った。
「メル、エリックはね...はじめてナタリーと会ったとき、ナタリーのことを男だと思ってたんだ」
ー*ー
「ええ⁉」
ナタリーさんを、男の人と...?
「あんな馬鹿力を発揮されたら男にしか見えないだろ!」
「あんなに髪のお手入れをしてたのに?しかもあの学園の制服って、女子はスカートでしょ?」
「あいつはスカートを破いてたらしく、あの日は被服室の男子制服を借りてたんだよ!」
「...エリック、それ絶対にベンに言うなよ?確実に殺られる」
私は二人の会話を聞いて、思わず笑ってしまった。
「メル、あんまり笑わないで」
「ごめんなさい、つい...」
「エリック、メルは気にしてるんだよ」
「何をだ?」
「本当にこういう時は鈍感だよな、エリックは。ナタリーのことは呼び捨てなのに、未だに彼女のことは『きみ』だろ?だからメルはきっと、名前で呼んでほしかったんだよ」
私の気持ちをくみとってくれたようで、カムイがエリックさんに話してくれる。
(カムイにはなんでもお見通しみたいです)
「すまない...め、メル」
「...!はい、エリックさん!」
「言っておくけど、メルは俺の彼女だからね?」
「おまえの相手をとったりなどしない」
カムイのおかげで、エリックさんとの距離が縮まった気がする。
(カムイにお礼を言わなくては)
ー**ー
「気をつけて」
「ああ」
エリックは仕事に戻った。
「メル、お風呂に入った方がいいよ。沸かしておくから座って待ってて」
「あの、カムイ」
そう言ってメルは俺の服の裾を引っ張る。
「どうしたの?」
「さっきはありがとうございました!エリックさんともお友だちになれたみたいでよかったです」
「メル、やっぱり気にしてた?」
メルはしまったと言うような顔をしている。
困らせるつもりはなかったのだが、申し訳なく思う。
「あいつには色々事情があって、女性に対して極度の緊張感をもってしまうんだ。許してやってほしい」
「人それぞれだと思いますから」
メルはにこにこしている。
メルの頬に手を添え、俺は今更ながら夕飯の買い出しに行っていないことを思い出した。
「メル、メルがお風呂から出たら、夕飯の買い出しに行こうか」
「はい!楽しみです」
俺はメルのわくわくした顔を見て、買い出しが楽しみになった。
それから数日後。
(どうすればいいのでしょうか?)
目の前で沈黙している、一人の警官。
これは、数十分ほど前から続いている状況である...。
ーーーーーーーーーー【回想】ーーーーーーーーーー
私はいつものようにカムイと紅茶を飲みながら話をしていた。
すると、ドアがノックされる。
二回...四回...二回。
(この回数に意味があるのでしょうか?)
「メル、覚えておいて。このノックの間隔と回数は...」
ガチャ、とドアが開かれる。
「エリックがきたときだから」
「いるなら早く開けろよ、この服だと寒いんだよ」
「ごめんね、暖炉まだあっためてなかった」
(本当に仲がいいんですね、このおふたりは...)
「私はお部屋にいた方がいいですか?」
「いや、どちらでもかまわない。今日は仕事できたのではなく、単に休憩時間になったので遊びにきただけだからな」
「分かりました」
エリックさんは私のことを名前では呼んでくれない。
どうしてなのか少し気になるが、聞いてもいいのか分からない。
「先生!」
「ごめん、すぐに戻るから!」
外から患者さんであろう声が聞こえ、カムイは医務室へ行ってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そしてそのまま、お互い何も喋らずに長い時間がたってしまった。
(そういえば、ナタリーさんがエリックさんは女性が苦手だと仰っていました)
「あの、エリックさん」
「なんだ?」
「ナタリーさんとはお友だちなんですか?」
「ぶっ!」
エリックさんは紅茶を飲んでいる途中だったため、目の前にいる私におもいきりふきだしてしまった。
「ゲホゲホっ!」
「ごめんなさい、エリックさん!えっと、取り敢えずこのタオルでふいてください」
「す、すまない」
「いえ...」
背後からタオルを掛けられる。
「メル、そのままじゃ風邪引いちゃうよ?」
ー**ー
思いのほか重症だった患者の手当てを無事に済ませ、家に帰ってみると...
(倒れたカップ、むせているエリック、びしょ濡れのメル...)
俺はある推測をたてた。
「人の彼女に向かって紅茶をふくなんて...何してるのかな、エリック?」
「すまない。少し動揺して...」
濡れてしまっているメルをふいていると、メルが口を開いた。
「エリックさんは悪くないんです!その、私が...」
メルはエリックがナタリーと友人関係なのかを聞きたかったらしい。
「なるほど...その瞬間にエリックの口内の紅茶が噴射された、と」
「俺とナタリーが仲がいい様に見えるのか?」
「?はい、名前で呼ばれていたのでもしかしてと思ったのですが...」
俺は笑いをこらえながら言った。
「メル、エリックはね...はじめてナタリーと会ったとき、ナタリーのことを男だと思ってたんだ」
ー*ー
「ええ⁉」
ナタリーさんを、男の人と...?
「あんな馬鹿力を発揮されたら男にしか見えないだろ!」
「あんなに髪のお手入れをしてたのに?しかもあの学園の制服って、女子はスカートでしょ?」
「あいつはスカートを破いてたらしく、あの日は被服室の男子制服を借りてたんだよ!」
「...エリック、それ絶対にベンに言うなよ?確実に殺られる」
私は二人の会話を聞いて、思わず笑ってしまった。
「メル、あんまり笑わないで」
「ごめんなさい、つい...」
「エリック、メルは気にしてるんだよ」
「何をだ?」
「本当にこういう時は鈍感だよな、エリックは。ナタリーのことは呼び捨てなのに、未だに彼女のことは『きみ』だろ?だからメルはきっと、名前で呼んでほしかったんだよ」
私の気持ちをくみとってくれたようで、カムイがエリックさんに話してくれる。
(カムイにはなんでもお見通しみたいです)
「すまない...め、メル」
「...!はい、エリックさん!」
「言っておくけど、メルは俺の彼女だからね?」
「おまえの相手をとったりなどしない」
カムイのおかげで、エリックさんとの距離が縮まった気がする。
(カムイにお礼を言わなくては)
ー**ー
「気をつけて」
「ああ」
エリックは仕事に戻った。
「メル、お風呂に入った方がいいよ。沸かしておくから座って待ってて」
「あの、カムイ」
そう言ってメルは俺の服の裾を引っ張る。
「どうしたの?」
「さっきはありがとうございました!エリックさんともお友だちになれたみたいでよかったです」
「メル、やっぱり気にしてた?」
メルはしまったと言うような顔をしている。
困らせるつもりはなかったのだが、申し訳なく思う。
「あいつには色々事情があって、女性に対して極度の緊張感をもってしまうんだ。許してやってほしい」
「人それぞれだと思いますから」
メルはにこにこしている。
メルの頬に手を添え、俺は今更ながら夕飯の買い出しに行っていないことを思い出した。
「メル、メルがお風呂から出たら、夕飯の買い出しに行こうか」
「はい!楽しみです」
俺はメルのわくわくした顔を見て、買い出しが楽しみになった。
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