路地裏のマッチ売りの少女

黒蝶

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Until the day when I get married.-Light of a new request-

第150話

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「決めつけはよくない」
「こちら側の...」
先程から同じ事ばかりで、正直飽きてきた。
(そろそろ終わりにしよう)
俺はアイリスに目をやる。
申し訳なさそうに俯いている彼女を見て、早く終わりにしなければと思った。
「こちらから報告があります」
「なんですか?」
「真犯人のものと思われる証拠を見つけました」
俺は勝ち誇った顔で堂々と偽証をした。
(本当はまだ確定していないが、あいつに違いないからな)
ー**ー
エリックがついに賭けに出た。
「真犯人だと!」
「この火炎瓶は、金銭を持っていないアイリスでは購入することができません。それに...彼女は文字の読み書きさえできなかったのに、どうやって作るのでしょうか?ああ、今は俺と友人が教えたのでできるようになっていますが...」
相手の逃げ道を徐々に塞いでいくエリックを、俺はただ見守ることしかできなかった。
「それが嘘かもしれないだろ」
「いきなり何を言って...」
「虚偽かもしれないでしょう。知り合いなのだから」
俺は怒りのあまり、つい口に出してしまっていた。
「...どうしたらそんな偏屈になるんだよ」
「そこのフード、なんて言った?」
「...っ」
メルが怖がっている。
早急に済ませたい。
「偏屈にも程があると申しあげただけです」
「貴様、何様のつもりだ!」
俺の方が本当は立場が上だと言えば丸く収まるのかもしれない。
「申し訳ありません」
だが、それだけはできなかった。
名乗ってはいけないという裏の掟を守る為だけではなく、アイリスの為に。
こんな人間と知り合いだとバレてしまえば一生追われることになる。
「...ちっ」
検察は舌打ちして、質問を続けた。
「カムイ...」
「いいんだ、俺が非難されるのは問題ないよ」
「私が嫌なんです」
(メルは本当に優しい子だ)
ー*ー
しばらくしていると、エリックさんへの質問の時間が終わった。
(次は私です)
「メル」
「...っ」
名前を呼ばれたかと思うと、手の甲にキスを落とされた。
急だったせいか、私は頬が熱くなった。
「これはおまじないだから」
フードの下の表情は、いつものような悪戯な笑顔だった。
「ありがとうございます」
(カムイは本当に優しいです)
多分、私が緊張しているのを見抜いての事だったのだろう。
その優しさに、私はいつも救われている。
だから...今度はその優しさを私が誰かにあげる番。
「被告人とは友人ですか?」
「そうです」
「被告人は人を殺しますよね?」
先程から見ていてそれが挑発だと分かっているので、乗らないように気をつけながら答えることにした。
「いいえ」
「被告人の何を知っているんですか?」
「優しい所、一生懸命な所、不器用だけど周りを見ている所...いい所ならいっぱい知ってます」
「被告人が殺人を犯していたら、あなたはどうしますか?」
「そのときは止めます。これから先何十年でそういうことがあったら、私は全力で止めます」
検察の人たちはイライラしているようだ。
私は、何かいけないことをしたのだろうか...。
ー**ー
俺はメルが頑張ってくれている間に、男の方をじっと見ていた。
(まさか法廷で乱痴気騒ぎを起こすほど精神状態が悪いわけじゃないとは思うけど、警戒はしておかないと)
男の表情はだんだん怒りに満ちているのを、俺はこの目で確認した。
「証人、お友だちだからといって、なんでも知っているわけではないでしょう?」
「それなら、あなたたちがアイリスさんの何を知っているのか聞かせてください」
メルの返しはとても上手い。
本人は無自覚だと思うが、相手はかなりイライラしているようだ。
「なんでも知っている気にならないことです」
「なっていません。でも...少なくともあなたたちより、アイリスさんのことは詳しく知っています」
検察はまた舌打ちをした。
その瞬間、メルはびくっと肩を震わせていた。
(これでメルがまた怖い思いをしていたら...そのときはあの検察官をクビまで追いこもう)
実際向いていないのはここまでの発言で明らかだ。
法廷では誰しもが平等なのに、どこか見下しているような態度。
気にくわないとすぐに舌打ち。
暴行しようとする仕草。
...明らかに向いていない。
「小娘ごときが何様だ!」
怒鳴られたメルは、また肩を縮こませていた。
...俺は怒りでどうにかなりそうだ。
ー*ー
この人たちはすごく怖い。
だが、私が何も言わなければ、アイリスさんは無実の罪で刑務所にいれられてしまう。
だから、負けたくない。
「検察、そこまで!」
そのとき、裁判長の声が響いた。
「暴言を言うとは何事ですか!いい加減にしなさい!」
裁判長もすごく怒っているようだ。
「証人、申し訳ありませんでした」
「いえ、裁判長さんのせいではありませんから」
「ありがとうございます。...それでは続けます。証人は席へ戻ってください」
「はい」
私が席に戻ると、カムイが背中をさすってくれた。
「ありがとうございます...」
「メル、偉かったね」
「ごめんなさい、私は...」
「メルはちゃんと言えてたよ。だから大丈夫」
私は胸がいっぱいで、頷くのが精一杯だった。
そんななかでも裁判は続いていく。
「続いて、被告人への質疑応答をはじめます。被告人、前へ」
「...」
アイリスさんは無言で立っていた。



ーーここからが勝負だ。
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