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約束のスピカ
問3
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次の日、おかげさんは本当にやってきた。
《おはよう》
「お、おはよう…」
《あれ、もしかして寝不足?》
「部屋を見てたら時間が経ってた」
星だらけの部屋にひとり、読みかけだった本や小さい頃から持っていた花札…それに、先生が直してくれた図鑑。
おかげさんはまたくくっと笑って僕の肩を掴んだ。
《君、ちょっと面白いね》
「そんなこと、初めて言われた」
毎日貧乏のくせにって罵られて、家では空気みたいな存在だったから自分の分だけご飯が用意されてなくて…いつからか夕飯なんて食べてなかった。
…先生のお弁当、美味しかったな。
「質問してもいい?」
《どうぞ》
「どうして僕の思い入れがあるものがここにあるの?」
《それは、君が死んだときに持っていたのか、棺に入れた人がいたからだよ》
図鑑は持っていたし、望遠鏡も側にあった。
それじゃあ、本と花札は誰が入れてくれたんだろう?
あの家の人たちじゃないだろうし、他に知っているとすれば……
「…先生」
《心当たりはあるみたいだね》
「だけど、どうしてなのか分からない」
先生とは何回も勝負をしたことがあるし、隠れて読書をしていたら面白いのかって声をかけられたこともあった。
あんなに酷いことを言ったのに、どうしてそんなによくしてくれるんだろう。
《その人の優しさだったのかもしれないね。君がここにいることを知らないだろうから。
一般的な死霊だと成仏するんだけど、君は生きていた頃から他の人間より視えるものが多かった。それもあってここにいるのかもしれない》
自分で命を絶った罰だと思っていたのに、そういうわけではないらしい。
それなら、未練があるから?それとも、この場所でしか本当の僕でいられなかったから?
…僕がここで死んだから?
色々考えている僕の隣で、おかげさんは肩をすくめて言葉を続けた。
《生きている時の状況、かなり酷かったもんね》
「…おかげさんはどうなの?フードを被ったままなのも理由があるんでしょ?」
《俺の話はまた今度。…それより、今日はこれを見せたかったんだ》
おかげさんが持っていたコピー用紙には、『いじめの調査報告書』と書かれていた。
「ここに書いてあるの、僕のことなの?」
《そうだよ。資料をまとめた人の名前がここに書いてある》
室星という文字が無機質に並んでいて、思わず俯く。
「こんなことをしたら先生が先生を辞めないといけなくなるかもしれないのに…」
《大丈夫。加害者たちには相応の罰が下るから。…生ぬるい気もするけどね》
おかげさんの声が暗くなって吃驚したけど、次話すときにはけろっとしていた。
《俺たちは基本的に満月の夜力が強くなり、新月の夜力が弱くなる。
まあ、どのみち夜は危険だからあまり外に出ないようにね》
「…星、見に行っちゃ駄目?」
《うーん……できるだけ控えてほしいけど、ここに閉じこもるのもあんまりよくないよね。
できるだけ短い時間にすること。じゃないと、頭から食べちゃうような怖いものもいるから》
「え?」
詳しく聞こうとしたら、おかげさんは用事があるからって帰ってしまった。
まだ分からないことが多いけど、たしかに学校には怖いものが棲んでいる。
あれに襲われたいなんて考えたこともあった。
おかげさんに言われたことをメモしてから、鞄の中と制服のポケットを探る。
「…これもあるんだね」
そこには薬の粉とロープ、刃に血がついた包丁が入っていた。
《おはよう》
「お、おはよう…」
《あれ、もしかして寝不足?》
「部屋を見てたら時間が経ってた」
星だらけの部屋にひとり、読みかけだった本や小さい頃から持っていた花札…それに、先生が直してくれた図鑑。
おかげさんはまたくくっと笑って僕の肩を掴んだ。
《君、ちょっと面白いね》
「そんなこと、初めて言われた」
毎日貧乏のくせにって罵られて、家では空気みたいな存在だったから自分の分だけご飯が用意されてなくて…いつからか夕飯なんて食べてなかった。
…先生のお弁当、美味しかったな。
「質問してもいい?」
《どうぞ》
「どうして僕の思い入れがあるものがここにあるの?」
《それは、君が死んだときに持っていたのか、棺に入れた人がいたからだよ》
図鑑は持っていたし、望遠鏡も側にあった。
それじゃあ、本と花札は誰が入れてくれたんだろう?
あの家の人たちじゃないだろうし、他に知っているとすれば……
「…先生」
《心当たりはあるみたいだね》
「だけど、どうしてなのか分からない」
先生とは何回も勝負をしたことがあるし、隠れて読書をしていたら面白いのかって声をかけられたこともあった。
あんなに酷いことを言ったのに、どうしてそんなによくしてくれるんだろう。
《その人の優しさだったのかもしれないね。君がここにいることを知らないだろうから。
一般的な死霊だと成仏するんだけど、君は生きていた頃から他の人間より視えるものが多かった。それもあってここにいるのかもしれない》
自分で命を絶った罰だと思っていたのに、そういうわけではないらしい。
それなら、未練があるから?それとも、この場所でしか本当の僕でいられなかったから?
…僕がここで死んだから?
色々考えている僕の隣で、おかげさんは肩をすくめて言葉を続けた。
《生きている時の状況、かなり酷かったもんね》
「…おかげさんはどうなの?フードを被ったままなのも理由があるんでしょ?」
《俺の話はまた今度。…それより、今日はこれを見せたかったんだ》
おかげさんが持っていたコピー用紙には、『いじめの調査報告書』と書かれていた。
「ここに書いてあるの、僕のことなの?」
《そうだよ。資料をまとめた人の名前がここに書いてある》
室星という文字が無機質に並んでいて、思わず俯く。
「こんなことをしたら先生が先生を辞めないといけなくなるかもしれないのに…」
《大丈夫。加害者たちには相応の罰が下るから。…生ぬるい気もするけどね》
おかげさんの声が暗くなって吃驚したけど、次話すときにはけろっとしていた。
《俺たちは基本的に満月の夜力が強くなり、新月の夜力が弱くなる。
まあ、どのみち夜は危険だからあまり外に出ないようにね》
「…星、見に行っちゃ駄目?」
《うーん……できるだけ控えてほしいけど、ここに閉じこもるのもあんまりよくないよね。
できるだけ短い時間にすること。じゃないと、頭から食べちゃうような怖いものもいるから》
「え?」
詳しく聞こうとしたら、おかげさんは用事があるからって帰ってしまった。
まだ分からないことが多いけど、たしかに学校には怖いものが棲んでいる。
あれに襲われたいなんて考えたこともあった。
おかげさんに言われたことをメモしてから、鞄の中と制服のポケットを探る。
「…これもあるんだね」
そこには薬の粉とロープ、刃に血がついた包丁が入っていた。
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