約束のスピカ

黒蝶

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追憶のシグナル

7件目

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次なんてそうそうこないと思っていた。
だが、学校という場所は狭いんだと思い知らされることになる。
「……というわけで、高等部は来年度から折原に部長をやってもらおうと思っている」
「よろしくお願いします」
昨日の夜弓を持っていた人が、目の前で一礼している。
ということは、この人が噂の憲兵姫か…なんて呑気に考えていられなかった。
むやみやたらと話す人ではないだろうけど、俺が怪我ひとつしていないのはおかしいと思われてしまう。
「岡副、中等部の部長はもう少し続けるんだったよな?」
「はい」
先生にそう尋ねられた瞬間、嫌な予感がした。
「それなら、折原と一緒に仕事してみてほしい」
「分かりました」
ここでは普通に答えたものの、内心焦りまくっている。
このままだと俺の体が普通じゃないとばれてしまう。
「よろしく」
「こちらこそよろしくお願いします」
いい人なんだろうけど、やっぱり不安が消えない。
ひとまず折原先輩とふたりで残って、中高の資料を読み比べてみることになった。
「…ごめん、この略語は少し分かりづらい。高入だから知らないことも多くて…」
「あ、それは資料番号です。例えばその書き方だと、ここに同じ記号がついてる資料が全部関連しているってことになります」
「そうか。ありがとう」
「いえ」
それから特に会話もなく資料整理を終え、そのまま解散しようという話になる。
誤魔化しきれたと思ったのに、折原先輩は直球でぶつけてきた。
「昨日の夜の怪我は平気なのか?」
「え、あ、はい、まあ…。見た目ほど大した怪我じゃなかったので」
「ならよかった。それにしても、この学園に視える人がいるなんてな」
「…先輩にも視えているんですか?」
「ああ。幼少期からずっとな」
折原先輩は苦笑しながら話してくれた。
学園内を見回っていることや、噂を聞きつけたときは入念に調べていること、校内へは隠し通路から入っていること…やっぱりいい人だ。
「今夜も見回り、するんですか?」
「そのつもりだ。そっちはどうなんだ?」
「一応まわる予定ではあります」
「そっちがよければだけど、一緒に調べてみないか?ひとりだと限界があるんだ。
迷惑なら断ってくれて構わない。…どうだろう?」
正直、俺も桜良を危険に巻きこまずに解決できる方法を探していた。
だったら、折原先輩についていってみよう。
「夜9時、旧校舎前にいます」
「分かった。かならず行くよ」
誰かと一緒に探索できるのはありがたい。
ただ、折原先輩の前で死なないように気をつけないと大変なことになる。
時間までに桜良には事情を話しておこうと思う。
…不安がらせてしまわないか少し心配ではあるけど。
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