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追憶のシグナル
8件目
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「監査部の先輩?」
「うん。昨日の夜も会ったけど、結構強い人だと思う」
反対されると思ってたのに、予想とは大きく異る反応がかえってくる。
「…そう。それなら今日は死なないでくれそうね」
「やきもち妬いたりしない?」
「……別に」
顔を真っ赤にして俯いた桜良の頭を撫でる。
俺の恋人のこういうところが可愛くて仕方ないのだ。
「桜良はここで隠れてて。心配しなくても、今夜こそ死なずに帰ってきてみせるから」
にっこり笑ってすぐにその場を立ち去る。
ずっとこのまま一緒にいたくなってしまうからだ。
「お待たせしました、折原先輩」
「折原先輩なんて堅苦しくなくていい。せめて下の名前で呼んでもらえると助かる」
「じゃあ、えっと…詩乃先輩?」
「やっぱりそっちの方がしっくりくる」
この人がどんな人なのかなんてまだ全然知らないけど、悪い人じゃないことだけは分かる。
「中等部ではどんな噂が広がってるんだ?」
「それが、今日聞いた感じだとかなり凶暴になっていて…。高等部も人間を食べ散らかしそうな話になってましたか?」
「なってた。成り代わるだけじゃなく、その人間の骨が出てくるらしいとか」
「中等部では成り代わるまででした…。あと、被害者というか、今回の噂と結びついたっぽい人の記事を見つけたんです。
まだ確証はありませんが、一緒に見てもらってもいいですか?」
「勿論。私ひとりじゃ限界があったから助かるよ」
記事を読み終えた先輩の表情は険しかった。
この人もきっと悲惨な末路を辿った少年のことを考えているのだろう。
しばらく沈黙が流れて、先輩が口を開く。
「岡副は、」
「俺のことも陽向でいいです。岡副なんて呼ぶの、先生たちくらいなので」
「分かった。…陽向は接近戦が得意なのか?」
「はい。けど、この前みたいにちっこいのがいっぱい出てくると厳しいです」
「なら、こういうのはどうだろう?」
詩乃先輩が練ってくれた作戦は、単純だけどこなすのが難しそうな内容だった。
「一先ず本物まで辿り着けないと大変なことになる。だから、陽向には本物と話をしてみてほしい」
「なんとかやってみます。押さえられる自信、全然ないですけど…」
「なんとなくだけど、上手くいく気がするんだ。けど、見の危険を感じたらすぐ逃げろ。…人って案外あっさり死ぬから」
そう話す先輩の表情は悲しげで、ただ頷くことしかできない。
死なない体だとばれないようにするためには、普通の人間がしそうな反応をしておくしかないだろう。
「それじゃあ早速、行ってみるとしよう」
「はい!」
目撃情報が増えてきた昇降口付近に向かうと、早速小さいのが現れる。
どうするのか先輩を見ていると、ふっと笑って札を投げつけた。
そしてそのまま淡々と告げる。
「──燃えろ」
「うん。昨日の夜も会ったけど、結構強い人だと思う」
反対されると思ってたのに、予想とは大きく異る反応がかえってくる。
「…そう。それなら今日は死なないでくれそうね」
「やきもち妬いたりしない?」
「……別に」
顔を真っ赤にして俯いた桜良の頭を撫でる。
俺の恋人のこういうところが可愛くて仕方ないのだ。
「桜良はここで隠れてて。心配しなくても、今夜こそ死なずに帰ってきてみせるから」
にっこり笑ってすぐにその場を立ち去る。
ずっとこのまま一緒にいたくなってしまうからだ。
「お待たせしました、折原先輩」
「折原先輩なんて堅苦しくなくていい。せめて下の名前で呼んでもらえると助かる」
「じゃあ、えっと…詩乃先輩?」
「やっぱりそっちの方がしっくりくる」
この人がどんな人なのかなんてまだ全然知らないけど、悪い人じゃないことだけは分かる。
「中等部ではどんな噂が広がってるんだ?」
「それが、今日聞いた感じだとかなり凶暴になっていて…。高等部も人間を食べ散らかしそうな話になってましたか?」
「なってた。成り代わるだけじゃなく、その人間の骨が出てくるらしいとか」
「中等部では成り代わるまででした…。あと、被害者というか、今回の噂と結びついたっぽい人の記事を見つけたんです。
まだ確証はありませんが、一緒に見てもらってもいいですか?」
「勿論。私ひとりじゃ限界があったから助かるよ」
記事を読み終えた先輩の表情は険しかった。
この人もきっと悲惨な末路を辿った少年のことを考えているのだろう。
しばらく沈黙が流れて、先輩が口を開く。
「岡副は、」
「俺のことも陽向でいいです。岡副なんて呼ぶの、先生たちくらいなので」
「分かった。…陽向は接近戦が得意なのか?」
「はい。けど、この前みたいにちっこいのがいっぱい出てくると厳しいです」
「なら、こういうのはどうだろう?」
詩乃先輩が練ってくれた作戦は、単純だけどこなすのが難しそうな内容だった。
「一先ず本物まで辿り着けないと大変なことになる。だから、陽向には本物と話をしてみてほしい」
「なんとかやってみます。押さえられる自信、全然ないですけど…」
「なんとなくだけど、上手くいく気がするんだ。けど、見の危険を感じたらすぐ逃げろ。…人って案外あっさり死ぬから」
そう話す先輩の表情は悲しげで、ただ頷くことしかできない。
死なない体だとばれないようにするためには、普通の人間がしそうな反応をしておくしかないだろう。
「それじゃあ早速、行ってみるとしよう」
「はい!」
目撃情報が増えてきた昇降口付近に向かうと、早速小さいのが現れる。
どうするのか先輩を見ていると、ふっと笑って札を投げつけた。
そしてそのまま淡々と告げる。
「──燃えろ」
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