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泣けないver.
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「おはよう」
翌日、いつもどおり先生としての1日がはじまる。
保健室に向かうと、そこにはもうすでに詩音がいた。
「おはよう」
「おはようございます...」
なんだか元気がないような気がする。
けれど今日は職員会に出席しなければならないので、あまり一緒にいられない。
「...鍵持って出るから、内鍵閉めておいて大丈夫だよ」
耳許でそう囁くと、詩音は体をびくっとさせた。
その反応があまりにも可愛くて、少しだけ笑ってしまう。
「か、からかわないで...」
「具合悪いなら寝てていいからね」
それだけ告げると、一旦職員室に足を進めた。
どの先生ともできるだけつるまないようにして、どういう考えの人間が多いのか観察することにしている。
今だって、保健室の先生以外とはほとんど話していない。
「如月さん、こられてた?」
「はい。内鍵をかけるようにとだけ言っておきました」
「それがいいかもしれない」
初瀬瞳先生...不登校にも理解があり、カウンセラー資格も持っている保健室の主だ。
だからこうして側で勉強させてもらえるのは、すごく為になる。
「あの...先生方、ちょっといいですか?」
詩音の担任教師が近づいてくる。
何を言うつもりかは分かっているが、残念なことに止められそうにない。
「何でしょう?」
「あのですね、如月を教室に、」
「...いじめを放置しておいてそれですか?」
僕は反論した。
どう思われてもいいから、彼女を護りたい。
「いや、それは調査中で、」
「彼女に関する証拠ならきちんと渡したはずです。
調査をしている間に被害生徒を守る...それも教師の務めなのではないでしょうか」
「実習生ごときに何が分かる」
苛ついている目の前の自称教師に、初瀬先生は失笑しながら言い放った。
「あなたみたいなものがいるから、教師の質が落ちるんです。
...まともに調査せずにうやむやにしているうちは保健室登校させます。
行きましょう、小野先生」
「はい」
職員室を出ると、初瀬先生は笑っていた。
「よく言ってくれました。あなたはきっといい先生になる」
「ありがとうございます...!」
「それじゃあ、私は午後まで別の生徒さんのところに行ってくるから...申し訳ないけど、如月さんのことと保健室のことをお願い」
「はい」
詩音のところへ行ってみると、ぐったりと眠りについていた。
何が彼女を疲れさせたのかは分からない。
分からないが、今の僕には見守ることしかできないのがもどかしかった。
「...はい、今日はここまで」
「ありがとうございました」
「そろそろ帰ろうか」
「...うん」
そうして家まで送り届けて...詩音に話しかける。
「あのね、もしよかったらなんだけど...一緒に出掛けない?」
翌日、いつもどおり先生としての1日がはじまる。
保健室に向かうと、そこにはもうすでに詩音がいた。
「おはよう」
「おはようございます...」
なんだか元気がないような気がする。
けれど今日は職員会に出席しなければならないので、あまり一緒にいられない。
「...鍵持って出るから、内鍵閉めておいて大丈夫だよ」
耳許でそう囁くと、詩音は体をびくっとさせた。
その反応があまりにも可愛くて、少しだけ笑ってしまう。
「か、からかわないで...」
「具合悪いなら寝てていいからね」
それだけ告げると、一旦職員室に足を進めた。
どの先生ともできるだけつるまないようにして、どういう考えの人間が多いのか観察することにしている。
今だって、保健室の先生以外とはほとんど話していない。
「如月さん、こられてた?」
「はい。内鍵をかけるようにとだけ言っておきました」
「それがいいかもしれない」
初瀬瞳先生...不登校にも理解があり、カウンセラー資格も持っている保健室の主だ。
だからこうして側で勉強させてもらえるのは、すごく為になる。
「あの...先生方、ちょっといいですか?」
詩音の担任教師が近づいてくる。
何を言うつもりかは分かっているが、残念なことに止められそうにない。
「何でしょう?」
「あのですね、如月を教室に、」
「...いじめを放置しておいてそれですか?」
僕は反論した。
どう思われてもいいから、彼女を護りたい。
「いや、それは調査中で、」
「彼女に関する証拠ならきちんと渡したはずです。
調査をしている間に被害生徒を守る...それも教師の務めなのではないでしょうか」
「実習生ごときに何が分かる」
苛ついている目の前の自称教師に、初瀬先生は失笑しながら言い放った。
「あなたみたいなものがいるから、教師の質が落ちるんです。
...まともに調査せずにうやむやにしているうちは保健室登校させます。
行きましょう、小野先生」
「はい」
職員室を出ると、初瀬先生は笑っていた。
「よく言ってくれました。あなたはきっといい先生になる」
「ありがとうございます...!」
「それじゃあ、私は午後まで別の生徒さんのところに行ってくるから...申し訳ないけど、如月さんのことと保健室のことをお願い」
「はい」
詩音のところへ行ってみると、ぐったりと眠りについていた。
何が彼女を疲れさせたのかは分からない。
分からないが、今の僕には見守ることしかできないのがもどかしかった。
「...はい、今日はここまで」
「ありがとうございました」
「そろそろ帰ろうか」
「...うん」
そうして家まで送り届けて...詩音に話しかける。
「あのね、もしよかったらなんだけど...一緒に出掛けない?」
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