泣けない、泣かない。

黒蝶

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泣かないver.

当日・バス

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そして迎えた当日。
体調は...とてもいい訳ではないけれど、何とか行けそうだ。
「おはよう」
迎えに来てくれた大翔は、なんだか嬉しそうに笑う。
「もう準備できてたのか、いつもより早いかも」
「そ、そんなことない...と思う」
「どうしてそんなに曖昧なんだ?」
大翔はくすりと笑って、そのまま私の手を引いてくれる。
「このまま行ったらちょっと早いと思うけど、行こう。
席、いいところ座りたいし」
「うん」
駅にも来てくれるらしいバスをふたりで話しながら待ち続ける。
そうこうしていると、見覚えのある姿が見えた。
「おはよう、ふたりとも」
「「おはようございます」」
「仲がいいね」
その先生はにっこり笑っていて、なんだかほっこりする雰囲気を持っていた。
(先生がいるってことは、そろそろバスが来るのかな?)
「ここから乗るのは私たちだけですか?」
「そんなことはないと思うよ。えっと...全部で4人だからあと2人来るはず」
「へえ、以外と少ないんですね。まあ、学校から乗る生徒が多いからだろうけど」
「そういえば...生徒会からのお礼の挨拶、考えてくれた?」
「あ、忘れてた!今から作ります」
いつもどおりの大翔を見ていると、少しだけ笑ってしまった。
なんだか緊張でがちがちになっていた肩の力が抜けたような気がする。
「...よし、できた」
「お疲れ様」
「本番、噛んでしまわないように気をつけるように」
「はい」
他の人たちも揃い、ちょうどバスが来る。
中にはまだ誰も乗っていないそれは、なんだか寂しそうに見えた。
「はい、おはよう」
「おはようございます」「先生、いた!」「乗るの早いね」
学校に着いた途端、急激に人が増えはじめて頭がくらくらしはじめる。
「はい、それでは出発しますよ」
がやがやとなりはじめる車内に、少しだけ気分が悪くなってしまう。
「...大丈夫?」
「うん、平気」
私たちは1番後ろの席の為、人からはなかなか見えない。
すると突然、頭を大翔の肩に乗せる...というよりはもたれかかるような体勢になるように動かされる。
「な、何、どうし、」
「いいから。こうしてれば楽だろ?」
「私重いよ...?」
「そんなことない。ほら、そのまま寝た方がいい。
人がいっぱいで、ちょっと体調崩しかけでしょ?」
私の恋人はいつだって人のことをよく見ている。
周りに気を配ることも絶対に忘れない、すごい人だ。
「ありがとう...」
「休憩に停まったら起こすから、心配しないで休んでて」
その言葉を最後に、私は少しだけ深い眠りについたのだった。
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