泣けない、泣かない。

黒蝶

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泣けないver.

憂鬱な日

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日曜日...正直今日が1番憂鬱だ。
気が重くて、とてつもなく疲れる。
指先を動かすだけで、1歩踏み出すだけで、起きあがるだけで...本当なら動きたくないくらい具合が悪い。
「...はあ」
思わず溜め息を吐いてしまうけれど、それではいけないからと食事を作る。
自分の分だけだとどうにも味気ない。
「...いただきます」
1日中布団の中にいたい思いを必死に抑えて、なんとか料理を完成させる。
食べた後は仏間の掃除をして、それからまた頭痛と吐き気が酷くなってゆっくり休む。
こういうときに人が側にいるというのは、どういう感覚だっただろう。
優翔の前で倒れてしまったときは彼がずっと隣についていてくれた。
母が生きていた頃も、多分優しく笑ってくれたのだろう。
けれど今は...独りでなんとかするしかないのだ。
ベッドに横になって無理矢理目を閉じる。
夢見はいい方ではないけれど、これ以外に治す方法なんて分からないから。
『詩音、大丈夫だからね』
苦しい。息ができなくなりそうだ。
『おかあさん、悲しいの...?』
けれど、目の前のお母さんの方が苦しそうだから。
『詩音が苦しいのは嫌だなって思うの』
頭を撫でられて、それが心地よくて眠ってしまいそう。
『詩音、元気になったら──』
「...!」
目を開けたときにうつったのは、見覚えのある天井だった。
「夢...?」
勉強机の引き出しを開けて、そのなかから小箱を取り出す。
いつも母が身につけていたネックレスや時計、ブレスレット...。
時々磨いているけれど、最近は磨きすぎることもあった。
(だからあんなに懐かしい夢を見たのかな)
「桜はまだ咲かないよ...お母さん」
独りそんなことを呟いて、想い出を元の場所に仕舞う。
少しだけ具合がよくなったところで鞄に手を伸ばした。
少しでも迷惑にならないように、今のうちに予習しておこうと思ったのだ。
そのとき、1冊のノートの酷い状態に気づく。
「...なんでみんなと少し違うだけで、こういうことをされるのかな」
その言葉は誰に届くわけでもなく、そのまま暗闇に消えていった。
そうこうしているうちに外は闇一色に染まる。
全く眠る気にもなれず、どうしようか迷い続けて...気づいたときには午前2時。
流石に今電話を掛けたら迷惑だろう。
けれど、どうしても誰かに話を聞いてほしかった。
...このままだと不安に押し潰されてしまいそうだ。
《今起きてる?》
《起きてるよ》
その連絡を読んだ直後、思いきって電話を掛けてみる。
出てくれなくてもいい。...いや、本当は出てほしいと心から祈っていた。
2回、3回とコール音が響いて諦めようとしたとき、画面がぱっと明るくなる。
『もしもし?珍しいね、こんな時間に電話だなんて』
その声を聞いただけで泣きそうになる。
ただ、ビデオ通話設定のままになっていたのは予想外だ。
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