泣けない、泣かない。

黒蝶

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泣かないver.

彼女の悩み事 大翔side

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バイトに向かい、ぎりぎりまで自力でやってみたもののよく分からずに埋められなかったレポートをようやく終わらせる。
そんな明日から学校という夜、久遠から電話がかかってきた。
「久遠、どうした?」
『えっと...今何してるのかなって思って』
半分は本当だろうが、半分は嘘だ。
声だけでは分からないので、ビデオ通話に切り替えてほしいと頼んでみる。
嫌がられるかと思ったが、案外すんなり承諾してくれた。
「悪い、この方が話しやすいかと思ったんだけど...」
『私は大丈夫だけど、大翔は何か用事があったんじゃ、』
「いや。俺はこれから抹茶ラテを飲むところだっただけだ。久遠も何か淹れてきたらどうだ?
体を冷やして風邪でもひいたら大変だし...」
『...そうしようかな』
久遠はやはり人への気配りができる奴だ。
だが、自分にたいしての気遣いが人より足りていないような気がする。
きっと自分の心の声をはっきりと聞くタイプではないのだろう。
「...何かあっただろ」
カフェラテを飲もうとしていた久遠に、単刀直入に訊いてみる。
もしかするとこれは間違いなのかもしれないが、そうでもしないと大丈夫だからと言われて押しきられてしまいそうな気がした。
それに、なんとなく今聞いておかなければならないような予感がするのだ。
話そうとしては口を閉じ...そういった動作を何度か繰り返しながら、久遠ははっきりと告げた。
『変だって思われちゃうと思うけど...明日が不安なんだ。
考えただけで頭が痛くなってきて、少し辛い』
「別に変だなんて思わない。...俺もそうだったから」
俺もはじめはそうだった。
兄貴以外誰も信じられなくて、ただ漠然とした不安が心に広がって...休んでしまうこともあったのだ。
だからこそ、俺だけは味方でいたい。
もっと学校を楽しくするにはどうすればいいのか...そうして今でこそ生徒会長になったが、やはり苦戦したことの方が多かった。
『大翔が同じだったなんて、想像できない...』
「今でこそこんな感じだけど、昔は人と関わるのが苦手ですぐ兄貴の背中に隠れてた。
明日がくるのが怖くて泣いてたこともあった」
不安を否定するようなことは絶対にしたくない。
それに、できれば明日はもっと楽しいものだと思えるようになった方が楽しくいられるはずだ。。
「だから俺は、『できる限りの楽しい明日』を想像することにしてる」
『できる限りの、楽しい明日...?』
よくわからないといった様子で首を傾げている久遠に、できるだけ柔らかい声音で問い掛けた。
「久遠は明日、何かやりたいことはあるか?...思いつきでいいから何でも言ってくれ」
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