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泣けないver.
誰にも知られたくない物語
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拝啓
誰かがこれを読む頃、私はもうここにはいないと思います。
私には家族と呼べる存在がいなかった。
すごく寂しかったはずなのに、いつからかそれも分からなくなってしまっています。
別れは突然訪れるもので...だから、最期くらいは自分で選びたいと思いました。
みんなに迷惑をかけてまで生きる価値なんてない。
少なくとも、私は無価値です。
だから辛かった。
価値があれば、生きられたのかもしれない。
もっと強ければ、別の選択をできたのかもしれません。
でも、私は──
書いていると、手の震えが止まらなくなる。
怖い。どうしてかは分からないけれど、涙が止まらなくなった。
「...っ」
止めようとしても止まらないそれは、頬を伝ってぽたぽたとノートを濡らしていく。
「優翔...」
助けてなんて言えなかった。
また迷惑をかけるのが嫌で、怖くなって話すのをやめている。
「私、どうすればいいの...?」
仏壇の前、必死に手を合わせる。
私は誰にも迷惑をかけたくないのに、どんなふうに動いても誰かに迷惑がかかってしまう。
何もしなくても、その場にいるだけで周りの人たちに嫌な思いをさせているはずだ。
「無理だよ...」
大切な友人も、大切な唯一の家族も今は空の上にいる。
そこに追いついてしまいたいとどうしても考えてしまう。
少し前の写真を見ながら早く会いたいと思ってしまうのは、間違いだろうか。
『詩音』
優しくそう呼ぶ声が、どこかから聞こえたような気がする。
「休みたい...」
以前、泣きながら優翔に止められたことを思い出す。
そんなふうに大切に想ってくれる人が現れるなんて思っていなかったから、すごく嬉しかった。
けれど、私がここにいてもいいとはどうしても思えないのだ。
(考えているだけで疲れちゃったな...)
ノートを閉じて、そのまま抱きしめる。
そうしているだけでなんだか少しだけ落ち着くような気がした。
...どのくらいそうしていただろう。
いつのまにか眠ってしまっていたらしい私はそっと体を起こす。
怠さと疲れを感じながら、そのまま足をもつれさせて自分の部屋に向かう。
ここにいれば絶対に安全だから、自分のことを守れるから...色々な理由がある。
「少しだけ休ませて」
ノートに向かってそんな言葉をかけて、今度はベッドで寝る。
ゆっくり眠れれば現実から逃れられるような気がして、夢の世界に逃げこんでしまいたかった。
...次に目を開けたとき、全部なかったことになっていればいいのに。
誰かがこれを読む頃、私はもうここにはいないと思います。
私には家族と呼べる存在がいなかった。
すごく寂しかったはずなのに、いつからかそれも分からなくなってしまっています。
別れは突然訪れるもので...だから、最期くらいは自分で選びたいと思いました。
みんなに迷惑をかけてまで生きる価値なんてない。
少なくとも、私は無価値です。
だから辛かった。
価値があれば、生きられたのかもしれない。
もっと強ければ、別の選択をできたのかもしれません。
でも、私は──
書いていると、手の震えが止まらなくなる。
怖い。どうしてかは分からないけれど、涙が止まらなくなった。
「...っ」
止めようとしても止まらないそれは、頬を伝ってぽたぽたとノートを濡らしていく。
「優翔...」
助けてなんて言えなかった。
また迷惑をかけるのが嫌で、怖くなって話すのをやめている。
「私、どうすればいいの...?」
仏壇の前、必死に手を合わせる。
私は誰にも迷惑をかけたくないのに、どんなふうに動いても誰かに迷惑がかかってしまう。
何もしなくても、その場にいるだけで周りの人たちに嫌な思いをさせているはずだ。
「無理だよ...」
大切な友人も、大切な唯一の家族も今は空の上にいる。
そこに追いついてしまいたいとどうしても考えてしまう。
少し前の写真を見ながら早く会いたいと思ってしまうのは、間違いだろうか。
『詩音』
優しくそう呼ぶ声が、どこかから聞こえたような気がする。
「休みたい...」
以前、泣きながら優翔に止められたことを思い出す。
そんなふうに大切に想ってくれる人が現れるなんて思っていなかったから、すごく嬉しかった。
けれど、私がここにいてもいいとはどうしても思えないのだ。
(考えているだけで疲れちゃったな...)
ノートを閉じて、そのまま抱きしめる。
そうしているだけでなんだか少しだけ落ち着くような気がした。
...どのくらいそうしていただろう。
いつのまにか眠ってしまっていたらしい私はそっと体を起こす。
怠さと疲れを感じながら、そのまま足をもつれさせて自分の部屋に向かう。
ここにいれば絶対に安全だから、自分のことを守れるから...色々な理由がある。
「少しだけ休ませて」
ノートに向かってそんな言葉をかけて、今度はベッドで寝る。
ゆっくり眠れれば現実から逃れられるような気がして、夢の世界に逃げこんでしまいたかった。
...次に目を開けたとき、全部なかったことになっていればいいのに。
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