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泣かないver.
スーツ姿の彼 久遠side
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「おはよう」
「悪い、遅くなった」
その日はいつもより迎えにきてくれるのが遅くて、もしかしたら今日は来ないかもしれないと不安になっていた。
「ううん、来てくれたからよかった」
こんなことを言ったら、変な子だと思われてしまうだろうか。
「本当に不安にさせたな。...それじゃあ行こう」
「うん。お願いします」
いつもどおりの道を、ふたり揃って手を繋いで歩く。
少し早い時間の電車に揺られながら、しばらく休みに入ってしまうことを少しだけ寂しく感じていた。
(まさか寂しいなんて思える日がくるとは思わなかったな...)
「どうかしたか?」
「ごめんね。なんだか今日はいつもより大人びて見えるから緊張しちゃって...」
背広には腕を通していなくても、午後の為だということは分かっている。
「練習、つきあってくれてありがとな」
「あれくらいしかできなくてごめんね」
「俺にとってはすごいことだよ」
そんな話をしているうちに、早くも目的の駅まで辿り着いてしまった。
「それじゃあ、行くか」
「うん!」
今日はいよいよ修了式、そして午後からは卒業式だ。
(会場設営が間に合っていないようなら、それくらいは何とか手伝えないかな...)
そんなことを考えながら、いつもとは違う場所に集合する。
修了式に参加できる人も少ないのか、そんなに大勢が集まっているわけではない。
「それではこれより、修了式を行います。まずは校長先生のお話から...」
マイクを持っている人物をよく見てみると、それは間違いなく大翔だった。
(司会進行を生徒会長がやるんだ...)
少し不思議に思いながらも、その姿をじっと見つめてしまう。
そうこうしているうちに式が終わり、解散になりかけた瞬間に表彰式が始まった。
「それでは、後期優秀者に贈られる表彰を行いたいと思います」
私には無理だと思っていた。
ダメダメな私には、もらえる要素なんて何もない。
...そう思っていたのに。
「水無月久遠」
「は、はい」
まさかもらえるとは思っていなかった。
周りからの拍手も温かくて、なんだかほんわかした気持ちになる。
誰からも褒められることはない、そう思っていただけにすごく嬉しい。
「通知表ももらったし、あとは帰るだけだな」
「うん...」
「一緒に帰れなくてごめん」
「違うの、そういうことじゃなくて...見惚れちゃったんだ」
「え?」
さっきまで着ていなかったスーツをばっちり着こなしている大翔は、いつもより大人びて見える。
かっこよすぎて見ているだけで倒れそう、なんていう表現がここまでぴったり当てはまる人を私は他に知らない。
「...大翔ならきっと大丈夫だよ。あんなに練習したんだから」
新品のハンカチを手渡して、震える手を握りしめる。
「...ありがとう。行ってくる」
大翔はハンカチを受け取って、満面の笑みを浮かべて卒業式の会場へ向かっていった。
その背中が頼もしくていつまでも見つめていたのを、私はずっと忘れない。
「悪い、遅くなった」
その日はいつもより迎えにきてくれるのが遅くて、もしかしたら今日は来ないかもしれないと不安になっていた。
「ううん、来てくれたからよかった」
こんなことを言ったら、変な子だと思われてしまうだろうか。
「本当に不安にさせたな。...それじゃあ行こう」
「うん。お願いします」
いつもどおりの道を、ふたり揃って手を繋いで歩く。
少し早い時間の電車に揺られながら、しばらく休みに入ってしまうことを少しだけ寂しく感じていた。
(まさか寂しいなんて思える日がくるとは思わなかったな...)
「どうかしたか?」
「ごめんね。なんだか今日はいつもより大人びて見えるから緊張しちゃって...」
背広には腕を通していなくても、午後の為だということは分かっている。
「練習、つきあってくれてありがとな」
「あれくらいしかできなくてごめんね」
「俺にとってはすごいことだよ」
そんな話をしているうちに、早くも目的の駅まで辿り着いてしまった。
「それじゃあ、行くか」
「うん!」
今日はいよいよ修了式、そして午後からは卒業式だ。
(会場設営が間に合っていないようなら、それくらいは何とか手伝えないかな...)
そんなことを考えながら、いつもとは違う場所に集合する。
修了式に参加できる人も少ないのか、そんなに大勢が集まっているわけではない。
「それではこれより、修了式を行います。まずは校長先生のお話から...」
マイクを持っている人物をよく見てみると、それは間違いなく大翔だった。
(司会進行を生徒会長がやるんだ...)
少し不思議に思いながらも、その姿をじっと見つめてしまう。
そうこうしているうちに式が終わり、解散になりかけた瞬間に表彰式が始まった。
「それでは、後期優秀者に贈られる表彰を行いたいと思います」
私には無理だと思っていた。
ダメダメな私には、もらえる要素なんて何もない。
...そう思っていたのに。
「水無月久遠」
「は、はい」
まさかもらえるとは思っていなかった。
周りからの拍手も温かくて、なんだかほんわかした気持ちになる。
誰からも褒められることはない、そう思っていただけにすごく嬉しい。
「通知表ももらったし、あとは帰るだけだな」
「うん...」
「一緒に帰れなくてごめん」
「違うの、そういうことじゃなくて...見惚れちゃったんだ」
「え?」
さっきまで着ていなかったスーツをばっちり着こなしている大翔は、いつもより大人びて見える。
かっこよすぎて見ているだけで倒れそう、なんていう表現がここまでぴったり当てはまる人を私は他に知らない。
「...大翔ならきっと大丈夫だよ。あんなに練習したんだから」
新品のハンカチを手渡して、震える手を握りしめる。
「...ありがとう。行ってくる」
大翔はハンカチを受け取って、満面の笑みを浮かべて卒業式の会場へ向かっていった。
その背中が頼もしくていつまでも見つめていたのを、私はずっと忘れない。
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