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18日目
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階段から落ちたあの日からも、僕はそのまま空気として過ごしている。
怪我をさせた相手を探すより、今は歌詞の補填をしたい。
「穂村、」
「すみません、急いでいるので」
空き部屋で今日も腕にカッターを押し当てひたすら切る。
そんな場面を誰にも見られないようにしながら過ごしていたが、今日はその教室に人がいたのを知らずに扉を開けてしまった。
すぐに頭を下げて出たものの、切らずに午後の授業を過ごしたことにより感情が爆発寸前だ。
それに、放課後はどうしてもやりたいことがある。
「…おまたせ」
屋上まで駆けあがったものの、森川は僕が来たことに気づいていないらしかった。
「──♪…こっちよりこっちでしょうか?…〰〰♪」
彼女の声にはぬくもりがある。
本人が気づいているかは分からないが、僕の歌よりずっと人の心を包みこむ天使のように柔らかい。
「──♪♪」
後ろからハーモニーを奏でようと声を出すと、少し吃驚したように森川は振り向いた。
ただ、歌うのが楽しかったのかメロディが止まることはない。
しばらく続けてきりがいいところまで語り合った。
「奏多さん、来ているなら声をかけてくれればよかったのに…」
「一応声はかけたんだけど、全然気づいてなかったみたいだからそのまま聴くことにしたんだ。
君は本当に綺麗な声で歌うよね」
「そうでしょうか?」
「少なくとも僕はそう思ってる」
「ありがとうございます!」
森川は本当に嬉しそうに笑った。
その天使の微笑みにただ癒やされている。
「この調子でいけば、2番もすぐ完成しそうだね」
「本当ですか!?楽しみです」
そう話す彼女はやはり疲れているように見える。
余計なことかもしれないが、尋ねずにはいられなかった。
「具合が悪いなら無理しない方がいい。病室に顔を出すよ」
「そう見えますか?私はいつもどおりですよ」
「いつもより疲れてるでしょ?なんだか眠そうに見えるし、相当無茶をしているんじゃ…」
「大丈夫です。こう見えて、私結構頑丈なんですよ?」
にこりと笑うその表情から読み取れたのは、できれば知られたくないと思っていることだけだ。
どんなことを知られたくないと思っているのかまでは分からなかったが仕方ない。
僕だって、言いたくないことを無理矢理話させられたら嫌だから。
「…ごめん。今は訊かない」
「私の方こそすみません。気を遣わせるつもりはなかったんです」
「…今日も創っていこうか」
「はい!」
いつものように歌ってほしいと言われて、風に身を任せたまま思いきり声を出す。
そうこうしているうち、空が茜色に染まっていた。
「それでは奏多さん、また明日」
「…また明日」
この言葉が嫌いじゃないと思うのは、きっと毎日森川からそう言葉をかけられているからだ。
本当はもう少し一緒に練習したかったが、体調が悪い彼女に無理をさせたくない。
流石に医者から話を聞くことはできないだろうから、話したいと思ってもらえるのを待つしかない…そう途方に暮れた。
【今日も奏多さんと曲作りに励みました。ふたりで一緒にいられるのは楽しいです。
また明日、どんな話をしようか迷います。早く曲を完成させたいです】
怪我をさせた相手を探すより、今は歌詞の補填をしたい。
「穂村、」
「すみません、急いでいるので」
空き部屋で今日も腕にカッターを押し当てひたすら切る。
そんな場面を誰にも見られないようにしながら過ごしていたが、今日はその教室に人がいたのを知らずに扉を開けてしまった。
すぐに頭を下げて出たものの、切らずに午後の授業を過ごしたことにより感情が爆発寸前だ。
それに、放課後はどうしてもやりたいことがある。
「…おまたせ」
屋上まで駆けあがったものの、森川は僕が来たことに気づいていないらしかった。
「──♪…こっちよりこっちでしょうか?…〰〰♪」
彼女の声にはぬくもりがある。
本人が気づいているかは分からないが、僕の歌よりずっと人の心を包みこむ天使のように柔らかい。
「──♪♪」
後ろからハーモニーを奏でようと声を出すと、少し吃驚したように森川は振り向いた。
ただ、歌うのが楽しかったのかメロディが止まることはない。
しばらく続けてきりがいいところまで語り合った。
「奏多さん、来ているなら声をかけてくれればよかったのに…」
「一応声はかけたんだけど、全然気づいてなかったみたいだからそのまま聴くことにしたんだ。
君は本当に綺麗な声で歌うよね」
「そうでしょうか?」
「少なくとも僕はそう思ってる」
「ありがとうございます!」
森川は本当に嬉しそうに笑った。
その天使の微笑みにただ癒やされている。
「この調子でいけば、2番もすぐ完成しそうだね」
「本当ですか!?楽しみです」
そう話す彼女はやはり疲れているように見える。
余計なことかもしれないが、尋ねずにはいられなかった。
「具合が悪いなら無理しない方がいい。病室に顔を出すよ」
「そう見えますか?私はいつもどおりですよ」
「いつもより疲れてるでしょ?なんだか眠そうに見えるし、相当無茶をしているんじゃ…」
「大丈夫です。こう見えて、私結構頑丈なんですよ?」
にこりと笑うその表情から読み取れたのは、できれば知られたくないと思っていることだけだ。
どんなことを知られたくないと思っているのかまでは分からなかったが仕方ない。
僕だって、言いたくないことを無理矢理話させられたら嫌だから。
「…ごめん。今は訊かない」
「私の方こそすみません。気を遣わせるつもりはなかったんです」
「…今日も創っていこうか」
「はい!」
いつものように歌ってほしいと言われて、風に身を任せたまま思いきり声を出す。
そうこうしているうち、空が茜色に染まっていた。
「それでは奏多さん、また明日」
「…また明日」
この言葉が嫌いじゃないと思うのは、きっと毎日森川からそう言葉をかけられているからだ。
本当はもう少し一緒に練習したかったが、体調が悪い彼女に無理をさせたくない。
流石に医者から話を聞くことはできないだろうから、話したいと思ってもらえるのを待つしかない…そう途方に暮れた。
【今日も奏多さんと曲作りに励みました。ふたりで一緒にいられるのは楽しいです。
また明日、どんな話をしようか迷います。早く曲を完成させたいです】
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