物置小屋

黒蝶

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物語の欠片

タイトル未定・第4話『新しい可能性』

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しばらく花代の部屋で何やらごそごそして、刑事は声をあげた。
「これは...」
「あの、何か?」
「呼び方で困ってるなら、真幸でいいよ。少なくとも、『あの』、とは呼ばれたくないかな」
「ごめんなさい」
真幸は何かを見つけたらしく、推理小説のような出来事が目の前で起こっていく。
滴下痕てきかこん...」
「滴下痕って何ですか?」
「分かりやすく説明できる自信はないんだけど...」
真幸の話によると、怪我等で出血している人間が歩いていった方へポツポツと落ちているものらしい。
(どういうこと...)
「真幸刑事、それっておかしくないですか?」
「そうだよね。自殺なら、こんなふうに何かから逃げる必要はないはずだ」
真幸という人はとても不思議な人物で、目の前の物事を真剣に考えているようだった。
「...まずはこの血液が人間のものかどうかを調べないとな」
今まで、こんなに真剣になってくれる大人なんていなかった。
はじめは、『花代が自殺したから』やっと真摯に向き合っているのだと思っていた。
けれどこの人はどこかが違う。
「鈴奈さん。もう一度聞くけど本当に彼女が自殺する要因はなかったんだね?」
「...」
この人なら信じてみてもいいのだろうか。
...否、まだだ。
「私が知る限りでは、」
「彼女の体には複数の痣があったんだ。...君だけが頼りなんだ。話してもらえないだろうか」
必死に頭を下げてくる真幸を見て、私の心は大きく揺らいだ。
「...それなら、一つ約束してください。絶対に真実を追い求めるって。隠したりしないって。それが無理なら、」
「約束する!その代わり...僕がこっそり捜査していることは、話さないでほしいんだ」
こっそりとは、一体どういうことなのだろうか。
「実は、上からは『学校が原因で自殺したに決まってる』って言われてて...ここにこられる人間は限られてる」
「...!」
やっぱり大人はろくに捜査もしないつもりなのだ。
...全てを学校に押しつけて。
「分かりました。私は真幸刑事を信じます。ただし、まだ完璧には信用していませんから」
「それで構わないよ」
私は遺書のことは話さずに、虐待のことを包み隠さず話した。
(これでもう、後戻りはできない...)
私が必ず真実に辿り着いてみせるから...花代、見てて。
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遺書があります。けれど何かから逃げた痕跡があります。
さて、雛川花代が死んだ理由は何でしょう?...という謎です。
伏線回収するの難しそうだなと思いつつ、楽しくなってきました。
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