物置小屋

黒蝶

文字の大きさ
88 / 1,897
1人向け・慰め系

愛の力で乗り越えて(二面性がある恋人)

しおりを挟む
いつもなら昼ご飯どこで食べるかとか連絡してくるはずなのに...何かあったのか?
取り敢えずいそうな場所に行ってみるか。


...おい、ここで何してる?
景色を見るだけなら、わざわざ屋上の金網を越えて、あと一歩踏みこめば死ぬような場所に立つ必要ないだろ。
俺には話せないことなのか?...そうじゃないならここで聞いてやる。
誰にも言わないから早くこい。
なんでここが分かったのかって?...勘。おまえが行きそうな場所を探してたらここに辿り着いた。
昼、まだ食べてないんだろ?だったら今日はここで食べればいい。
この場所、俺とおまえしか知らないだろ?...建物自体古いし、きっと誰もこない。
...で、何があったんだ?
どうして弁当を持ってないのって...今日は俺の方が早起きして家を出たから持ってるはずないだろ...?
俺の女友だち?誰のことだ?
そんな名前の知り合いはいないはずだが...ああ、多分そいつは最近入ってきたばかりの後輩。
俺とは釣り合わないから近づくなって言われた?何の権限があってそんなことを...。
他にも二人いたんじゃないのか?...やっぱりそうか。おまえを不安にさせて悪かった。
ただ、俺が誰と付き合おうが俺の自由だし、おまえのことをそんな簡単に嫌いになったりしない。
俺の恋人はおまえ一人だけだ。これから先も、きっと。
おまえが俺を必要としてくれるように、俺もおまえなしじゃもう生きていけない。
そいつは俺たちがもう既に恋人同士だと知らなかったらしいな。
...泣きたいなら泣いていい。昼休憩が終わるまでは側にいるから。
おまえはいつも我慢しすぎだ。もっと俺によりかかっていい。
加減が分からなくなりそう?...おまえを独りで泣かせてしまうくらいなら、寧ろ困るくらい甘えられた方がいい。
だから...さっきみたいな真似、二度とするな。本当に落ちたら危ないだろ。
いいな?頷くまで、手、離してやらないから。

落ち着いた?それじゃあ、一旦戻るから。帰りは遅くなりそうだから、先に食べてろ。
...ん、いい子。それじゃあまた後で。


...さて、忠告しておくか。あの、少しいいですか?
あなたに聞きたいことがあるんです。...人の恋人に嘘をふきこんだのはあなたですね。
惚けても無駄です。受付の方にも確認しました。
俺に届くはずだった荷物を、あなたが渡しておくと言って持ち去ったと。
俺の昼食、返していただけませんか?ああ、それともう一つ。
俺はあなた方の教育係を外れることになりました。
部長直々に教育してくださるそうなので、是非頑張ってください。
...謝罪の言葉なら、彼女に。
俺は何もされていませんから。それでは、失礼致します。


ただいま...どうしたのって、何が?ああ、悪い。これ探してたんだ。
...そう、おまえが届けてくれてた弁当。探してたら帰るの遅くなった。
どうしてそこまでって...当たり前だろ、折角おまえが作ってくれたのに無駄にできるかよ。
また泣きそうになってるのか?...大丈夫、色々けりをつけてきたから。
夕飯食べる前に着替えてくる。ご飯、食べずに待ってたのか。...優しいな、おまえは。
...っ、いきなり大好きとか言うな、照れるから...。
けど、俺は大好きなんて言葉じゃ足りない。...愛してる。
っ、とにかく、着替えてくる。

...危なかった、もう少しで会社で素を出してしまうところだった。
それにしても、腹がたちすぎて隠し場所聞き忘れるとか...何やってるんだ、俺は。
本当にかっこ悪い。
けど、好きになった方が負けか。
...俺が愛してるなんて言う相手は、おまえ以外いないから。
なんて、本人には絶対言えないけどな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少し無理があるかもと思いつつ、『女性の恐ろしい一面』のようなものを入れた...つもりです。
実際、一対多数では一人の方が不利です。
けれどもし、その本質を見抜いている人間が一人の方の味方にいたとしたら?
そんな理想があってもいいのではないか...そう思いながら書いたつもりです。
人間って本当に難しい...。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

処理中です...