物置小屋

黒蝶

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1人向け・慰め系

何度消えてもなくならないもの(理想の欠片です、ごめんなさい)

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おかえり。...って、そんなに泣きそうな顔をしてどうかしたの?
側にいてって...当たり前でしょ、君が嫌がらないならずっと一緒にいるよ。
それから、一緒に乗り越えようって約束したでしょ?
俺は、約束を破ったりしない。
...そんなことは絶対にしないから。だから、何があったか話せる範囲でいいから教えてくれないかな?
え、記憶のことを正直に話したらそんな重い人とはもう二度と会わないって言われたって...そんなことがあったんだね。
酷いことを言う...え、怒ってないの?
その子を責めることはできないからって...君は相変わらず優しいね。
他の人がどう感じるかまでは分からないけど、俺は君が自分の記憶がなくなるってことを教えてくれたとき、すごく嬉しかったんだ。
信頼してもらえてるんだって、そう思った。
たとえ何度君が忘れても、俺がちゃんと覚えてる。
それに...君からなくなってしまったとしても、その出来事がなかったことになんてならない。
君が楽しかったことも嬉しかったことも、なかったことになんて絶対にならないから。
一生懸命つけてる日記も、こうして俺と話している時間も、なかったことにはならないから。
大変だったね...一人で頑張ってきたんだもんね。
よしよし、大丈夫だから。俺の前では強がらなくていいんだよ。
君だって、忘れたくて忘れてる訳じゃないでしょ?
人に親切で、いつも一生懸命で...俺には、そんな君を責めることはできない。
君のなかから一緒に過ごした時間が消えてしまったとしても、俺のなかにはしっかり残ってるから。
ちゃんと君に伝えるから、心配しなくても大丈夫。
...私なんかいない方がいいんじゃないかって思っちゃった?
傷ついたとき、いつだって自分を責めてる。
...君は悪くない。きっと誰も悪くないんだよ。
君は今日も悲しいのをふんばって必死で生きてる。
必死に涙を堪えて、今も大丈夫だって笑って一人で我慢しようとしてた。
...君はすごいんだよ。俺だったら、きっとそんなふうに耐えられない。
人と関わることだって、君は諦めてないでしょ?
だから...お願い、自分を責めないで。
あと、泣くのを我慢しないで。
俺には、もっと甘えてほしいな。
...ねえ、抱きしめてもいい?わっ、まさか抱きしめる前に抱きついてこられるとは思ってなかった。
吃驚したけど、すごく嬉しいな。
ありがとうって、お礼を言われるようなことは何もしてないよ?
いつも側にいてくれるからって...言ったでしょ、俺は約束を破ったりしないって。
それに、俺が側にいたいんだ。
...さて、もう夜も遅いし寝ちゃおうか。
眠れそうにない?だったら、何か飲む?
アルコールは避けた方がいいよね...はい、林檎ジュース。
君が大好きなやつだから、飲んだら少しは気分転換になるかもしれないよ?
俺と話していたらだいぶ元気になったって...本当に可愛い。
クッキーならあるけど、一緒に食べちゃおうか。
よし、それじゃあ用意するね。

...今なら眠れそう?ああ、日記を書いてから寝るのか。
一緒に寝てほしいって...いいよ、部屋で待ってるからゆっくり書いておいで。
枕といつも持ってるぬいぐるみは、先に俺の部屋に連れていっておくね。

今日のことも、きっと哀しい想いをしたこと以外は忘れちゃうんだろうな。
...辛いことが極端に消えちゃうんだったらよかっただろうに。
また泣いてるのかもしれない。
俺には、何ができるんだろう。
何をすれば、彼女の力になれるのかな...。
駄目だな、彼女がくる前に泣いておかないと。
そうじゃないと、彼女を傷つけてしまうから。

日記、書いてきた?手が疲れてない?それならよかった。
泣かないでって...あれ、俺泣いてた?ごめん、大丈夫だから...。
涙、拭ってくれるの?やっぱり君は優しいね...。
違うよ、君のせいじゃないから...頭ぽんぽんしないで、今すぐ抱きしめたくなっちゃうから。
抱きしめてもいいって...それじゃあ遠慮なく。
俺のことが好きなことは絶対に忘れないからって、君は本当に...ありがとう。
君が大好きだって、何度だって伝えるから。
それじゃあ、電気消すよ。
...おやすみ。明日はいい日になりますように。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
理想の欠片を散りばめると、いつもこうなってしまいます...ごめんなさい。
実際、正直に話すと『近寄らないで』とか『関わらないで』とか、それで終わりになります。
他の病諸々を合わせても、存在そのものが否定されても不思議ではない...なので、私には恐らく『非常に仲のいい人』がいません。
いたとしても、日記帳を検索しなければ分からないのです。
ある程度年を重ねてからは、そういった人を作らないように気をつけています。
いつか相手を傷つけてしまうくらいなら、私が孤独に耐えればいい...いつまで耐えられるかは分かりませんが。
原因不明で手の施しようがない、という状態が十年以上続いています。
普通の生活ではならないであろうことをひととおり経験してきたので、どれが原因なのかはっきりしないのでしょう...多分。
理解されないというのは哀しいですが、普通の人に分かれと言う方が無理だということは分かっているつもりです。

...それでもいいと言ってくれる場所や人がいないだろうかと思ってしまうのは、間違いでしょうか。
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