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1人向け・イベント系
言葉はもう届かないけれど(お墓掃除)
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おはよう。今日は休みなのに、随分早起きだね。
...そういえば、お墓掃除に行こうっていう話になったんだっけ!?
もう、あんまり笑わないで...。ご飯どうしよっか?
急いで書こうとしているみたいだけど、ゆっくりでいいからね。
『お弁当を作ったからそれを一緒に食べよう』って...本当にありがとう。
そうやって嬉しそうに笑ってるところ、すごく可愛い。
そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに...。すぐ着替えるから待っててね。
ここが、君の家のお墓がある場所?
結構急な坂だし、とげとげの草が沢山生えてるね...山の上だからかな?
台風がこなくてよかった...。
ひとまず草むしりからはじめようか。
ん?どうしてそんな顔をしてるの?
『私が1人でくればよかったのに、一緒にきてもらってごめんなさい』って...俺が一緒にきたかっただけだから。
それに、君を1人で行かせたくなかったんだ。
だって...もし何かあっても、声が出ないと助けを呼ぶのは難しいでしょ?
さあ、頑張って草むしりしよう。除草剤は最後に使うね。
どうかした?ああ、軍手をしないと危ないのか。ありがとう。
実は俺、こういう作業なれてなくて...。庭掃除くらいしかやってこなかったから、こつとかあれば教えてもらえると嬉しいな。
『少しだけ掘ってから抜くと、根っこごと抜きやすくなる』...分かった、やってみる。
他は何をしたらいい?
『大きめの草を鎌で切ってほしい』...了解、他にも必要なことがあったら言ってね。
ふう、終わった...。意外と時間がかかるものなんだね。
タオルありがとう。君は毎年これをしてるんだよね?来年も俺一緒にくるから。
大切なことはふたりでやっていこう?
...よし、あとはお菓子とお線香と、お米とお酒もいるんだっけ?
これで手を合わせるの?...危ないから荷物は全部俺が持つよ。
君はゆっくり歩いておいで。
下に降りたら、君が作ってくれたお弁当食べようね。
よし、もうすぐ着くよ...って、いない?
もしかして、何かあったのかな。
...様子を見に行こう。
ねえ、大丈夫?もしかして、転んだ?
ごめん、全然気づかなくて...歩ける?嘘は駄目だよ、痛いって顔してる。
荷物はレジャーシートを敷いて、邪魔にならない場所に置いてきたから大丈夫。
掴まって。もう絶対に怪我をさせたりしないから。
君をおぶって坂道を歩くくらい余裕だから。
話は後で、ゆっくり聞かせてもらうね。
...はい、到着。
鋏とかその他もろもろも全部持ってこられてよかった。
取り敢えず足を診せてくれる?...もう血は止まってるみたいだけど、やっぱり痛いよね。
救急箱を持ってきて正解だった。
...今のは、日本手話の『ごめんなさい』でしょ?
謝らないといけないのは俺の方だから...。道具を持っていたとはいえ、気づかなくて本当にごめん。
...はい、手当て終わり。そういえば、おじいさんたちに何を報告していたの?
今のは読唇できた。...『秘密』って、どうして?
それから、どうしてそんなに落ちこんでるの?
転んだことなら迷惑とか全然思って...大丈夫、急かさないからゆっくり書いて?
『ずっと一緒にいたい人が見つかったって報告したけど、ちゃんと届いたかな?』、か...大丈夫、きっとちゃんと届いてるよ。
目の前にいるわけじゃないから絶対とは言えないけど...こうやって必死に掃除をしたり、毎年顔を見せてるってことは、君の想いはちゃんと伝わってるはずだよ。
『ありがとう』って、俺は別に何もしてないよ?
それより、その...ずっと一緒にいたい人って、俺のことってことでいいの?
もう、またそんなに照れて...可愛い。
ごめんごめん、からかったわけじゃなくて本当にそう思ったから...。
そろそろお弁当食べたいな。飲み物は俺が用意しておいたし、それに...このいい眺めのなかで食べてみたいんだ。
『今日のお弁当はちゃんと美味しいと思う』って、いつも美味しいよ?
お世辞じゃなくて、本当の話。
それじゃあ、いただきます。
...そうやって君が笑顔で過ごせていることも、大切に想っている人たちにちゃんと伝わっているといいね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前回は海で遊ぶ話を綴った失声症のペアですが、今回はお墓掃除の話にしてみました。
因みに転ぶという部分は経験を元にしました。
声が出ないということは、転んでも気づいてもらえないことが多いということで...。
もし自分がそういう状態の人に気づいたらどんなことができるのか、自分が転んだときにしてもらえると助かったことは...なんて考えていたら結構進みが早かったように思います。
今年も行く予定ですが、毎年暑くてくたくたになります。
...ただ、大好きだった祖父母が眠る場所に足を運べるというのはすごく嬉しいです。
...そういえば、お墓掃除に行こうっていう話になったんだっけ!?
もう、あんまり笑わないで...。ご飯どうしよっか?
急いで書こうとしているみたいだけど、ゆっくりでいいからね。
『お弁当を作ったからそれを一緒に食べよう』って...本当にありがとう。
そうやって嬉しそうに笑ってるところ、すごく可愛い。
そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに...。すぐ着替えるから待っててね。
ここが、君の家のお墓がある場所?
結構急な坂だし、とげとげの草が沢山生えてるね...山の上だからかな?
台風がこなくてよかった...。
ひとまず草むしりからはじめようか。
ん?どうしてそんな顔をしてるの?
『私が1人でくればよかったのに、一緒にきてもらってごめんなさい』って...俺が一緒にきたかっただけだから。
それに、君を1人で行かせたくなかったんだ。
だって...もし何かあっても、声が出ないと助けを呼ぶのは難しいでしょ?
さあ、頑張って草むしりしよう。除草剤は最後に使うね。
どうかした?ああ、軍手をしないと危ないのか。ありがとう。
実は俺、こういう作業なれてなくて...。庭掃除くらいしかやってこなかったから、こつとかあれば教えてもらえると嬉しいな。
『少しだけ掘ってから抜くと、根っこごと抜きやすくなる』...分かった、やってみる。
他は何をしたらいい?
『大きめの草を鎌で切ってほしい』...了解、他にも必要なことがあったら言ってね。
ふう、終わった...。意外と時間がかかるものなんだね。
タオルありがとう。君は毎年これをしてるんだよね?来年も俺一緒にくるから。
大切なことはふたりでやっていこう?
...よし、あとはお菓子とお線香と、お米とお酒もいるんだっけ?
これで手を合わせるの?...危ないから荷物は全部俺が持つよ。
君はゆっくり歩いておいで。
下に降りたら、君が作ってくれたお弁当食べようね。
よし、もうすぐ着くよ...って、いない?
もしかして、何かあったのかな。
...様子を見に行こう。
ねえ、大丈夫?もしかして、転んだ?
ごめん、全然気づかなくて...歩ける?嘘は駄目だよ、痛いって顔してる。
荷物はレジャーシートを敷いて、邪魔にならない場所に置いてきたから大丈夫。
掴まって。もう絶対に怪我をさせたりしないから。
君をおぶって坂道を歩くくらい余裕だから。
話は後で、ゆっくり聞かせてもらうね。
...はい、到着。
鋏とかその他もろもろも全部持ってこられてよかった。
取り敢えず足を診せてくれる?...もう血は止まってるみたいだけど、やっぱり痛いよね。
救急箱を持ってきて正解だった。
...今のは、日本手話の『ごめんなさい』でしょ?
謝らないといけないのは俺の方だから...。道具を持っていたとはいえ、気づかなくて本当にごめん。
...はい、手当て終わり。そういえば、おじいさんたちに何を報告していたの?
今のは読唇できた。...『秘密』って、どうして?
それから、どうしてそんなに落ちこんでるの?
転んだことなら迷惑とか全然思って...大丈夫、急かさないからゆっくり書いて?
『ずっと一緒にいたい人が見つかったって報告したけど、ちゃんと届いたかな?』、か...大丈夫、きっとちゃんと届いてるよ。
目の前にいるわけじゃないから絶対とは言えないけど...こうやって必死に掃除をしたり、毎年顔を見せてるってことは、君の想いはちゃんと伝わってるはずだよ。
『ありがとう』って、俺は別に何もしてないよ?
それより、その...ずっと一緒にいたい人って、俺のことってことでいいの?
もう、またそんなに照れて...可愛い。
ごめんごめん、からかったわけじゃなくて本当にそう思ったから...。
そろそろお弁当食べたいな。飲み物は俺が用意しておいたし、それに...このいい眺めのなかで食べてみたいんだ。
『今日のお弁当はちゃんと美味しいと思う』って、いつも美味しいよ?
お世辞じゃなくて、本当の話。
それじゃあ、いただきます。
...そうやって君が笑顔で過ごせていることも、大切に想っている人たちにちゃんと伝わっているといいね。
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前回は海で遊ぶ話を綴った失声症のペアですが、今回はお墓掃除の話にしてみました。
因みに転ぶという部分は経験を元にしました。
声が出ないということは、転んでも気づいてもらえないことが多いということで...。
もし自分がそういう状態の人に気づいたらどんなことができるのか、自分が転んだときにしてもらえると助かったことは...なんて考えていたら結構進みが早かったように思います。
今年も行く予定ですが、毎年暑くてくたくたになります。
...ただ、大好きだった祖父母が眠る場所に足を運べるというのはすごく嬉しいです。
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