物置小屋

黒蝶

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1人向け・慰め系

星屑の舞い(マスクの恋人と星見)

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いらっしゃい。今は丁度くつろいでいたところだから、入って。
取り敢えず紅茶をどうぞ。あ、あとそこのビスケット食べていいからね。
ところで、何かあった?
マスクを外すまで分からなかったけど、なんだか疲れたって顔してる。...俺でよければ話を聞くよ。
もう疲れたって...何に?
全部が嫌になったって...それじゃあ、少しだけ気分転換に行かない?
星が綺麗に見える場所を知ってるんだ。
勿論嫌なら無理強いするつもりはないし、疲れているのならこのまま休んだ方がいいのかもしれないけど...ますます落ちこんで、塞ぎこんじゃうんじゃないかなって思ったんだ。
行きたい?そう言ってもらえてよかった。
それじゃあ、一緒に行こうか。


上手くいかないことがあったとき、俺もよくここにくるんだ。
君と出会ってからはあんまりこなくなったけど、どうしても1人になりたいときはたまにきてる。
いい場所でしょ?...ねえ、ここでならマスクを外してみない?
今なら俺以外の人はいないし、どうかな?
嫌?分かった、それならもし君が取りたいと思ったときに外してくれればいいから。
...少しだけ踊らない?唐突でごめん。だけど、こういう場所で踊るのってすごく楽しいんだよ。
音楽はワイヤレスイヤホンで聞ければ周りには迷惑にならないから...はい、片方ずつね。それじゃあ、スタート。

...どうだった?意外と楽しかったでしょ?よかった、やっと笑ってくれた。
分かるよ。口元が見えなくても、目が優しくなったから。
ん?どうかしたの?
上手くいかなかったのはマスクのせいもあるかもしれないって...どういうこと?
マスクをしていると安心できるけど、周りの人たちはおかしい人だと思っているのかもしれないって...そんなことない。
君は絶対におかしくなんかないよ。
もしかして、誰かに言われた?...そっか、だから余計に落ちこんでいたのか。
それは辛かったね。
君にとって、マスクは自分で自分を護る為のものなんでしょ?
俺はそれを否定したりなんかしない。
それから、他の人と比べなくていいんだと思う。
たとえどんなに結果が納得いかないものだったとしても、君が頑張っていることは俺がちゃんと知ってるから。
上手く言えないけど、俺が君の居場所でいるよ。
だから、今日みたいに不安になったらいつでもおいで。
...約束だよ。
え、もう少しだけここにいたい?いいよ、君がいいならそうしよう。
もう1回やってって、何を?舞いって...さっきのやつのこと?
あんまり上手くないからちょっと恥ずかしいけど、いいよ。
それじゃあ、スタート。

...ふたりとも汗だくになっちゃったね。
今はタオルしか持ってないけど、帰ったらシャワーくらいは浴びた方がいいかもしれないね。
今日はもう遅いし、このまま泊まりにおいで。
手、繋ごう。大丈夫?暑くない?...よし、大丈夫そうならそろそろ行こうか。
さっきの約束、忘れないでね。
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マスクは彼女にとっては盾なんです。
それを受け止めてくれる人がいたら...ということで綴りました。
羨ましいな...なんて思ってしまいます。
因みに私はマスクをつけないと出掛けられませんが、毎回変な目で見られます。
居場所が欲しいなって、そう思います。
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