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1人向け・看病系
届かぬ叫びに気づいたとき(失声症の恋人へ)
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おはよう。なんだか今日も天気がよくないね...。
俺はこういう日も嫌いじゃないけど、君は?
ごめん、ゆっくりでいいから伝えたい言葉を教えてね。
その間に珈琲でも淹れておくよ。
そんなに不安そうな顔をしなくても、君のはちゃんと紅茶にするから心配しないで。
ん?ああ、書くの早かったね...急かすみたいになっちゃってごめん。
『こういう日も好きだなって思う。だけど今日は...』続き、書く?
なんでもないって、それは嘘でしょ。
本当になんでもないなら、そんなふうに焦ったような素振りは見せない。
...取り敢えず、紅茶飲む?
それじゃあそこに座ってて。
今、『でも』って言ったでしょ?...駄目。
口の動き、もう少し読めるようになりたいな...。
今だって、『でも』の後に何か言おうとしてたでしょ?
だけど、そこまでは分からなかったから...。
もっと分かれば、君の負担を減らせるのになって思ったんだ。
『優しい』、か...君の方が優しいよ。
いつも人のことをしっかり見ていて、すごいなって思うよ。
...もしよかったら、これから少し出掛けない?
たまには外の空気を吸うのもいいんじゃないかなって思うんだけど...嫌?
そうじゃないならよかった。
だけど...元気ない?もしかして、何か嫌なことがあったとか...。
本当に違うの?分かった、何かあったらすぐ教えてね。
それじゃあ、支度したら出掛けようか。
近くの広場に、綺麗な花が咲いてたんだ。
君がいいならそこに行こうと思うんだけど...あれ?さっきまで後ろをついてきてたのに...探さなきゃ。
...っ、はあ、よかった...どこに、行ったのかと思った。
どうしたの?...頭痛い?
『どうして』って、見れば分かる。
しゃがみこむくらい痛みが酷いってことだよね...腕、動かせる?
いいからほら、掴まって。...走るよ。
大丈夫だよ。俺、これでも体力ある方だから。
...そんなに申し訳なさそうな顔をしなくてもいいから、今日は横になって大人しくしてて。
どうしたの、そんなに強く袖を掴んで...。
...ごめん、また分からないや。
元気になったら教えてくれる?
今は書くのもしんどそうだし...そういえば、薬は飲んだ?
それならよかった。もう少ししたら落ち着いてくるかな...。
頷くのも辛いでしょ?だから、君が眠るまでこうして頭を撫でてるよ。
何も心配しなくていいから、ゆっくり休んでね。
...寝た、みたいだな。
君がいなくなったことにさえ気づけなかった。
本当にごめん。
今日に限って手を繋いでなかったし、君より先を歩いていたから全然分かってなくて...。
...いつか、君が伝えたいこと全部をちゃんと感じ取れるようになりたいな。
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久しぶりの看病系です。
優しい人に側にいてもらえれば、それだけで充分です。
俺はこういう日も嫌いじゃないけど、君は?
ごめん、ゆっくりでいいから伝えたい言葉を教えてね。
その間に珈琲でも淹れておくよ。
そんなに不安そうな顔をしなくても、君のはちゃんと紅茶にするから心配しないで。
ん?ああ、書くの早かったね...急かすみたいになっちゃってごめん。
『こういう日も好きだなって思う。だけど今日は...』続き、書く?
なんでもないって、それは嘘でしょ。
本当になんでもないなら、そんなふうに焦ったような素振りは見せない。
...取り敢えず、紅茶飲む?
それじゃあそこに座ってて。
今、『でも』って言ったでしょ?...駄目。
口の動き、もう少し読めるようになりたいな...。
今だって、『でも』の後に何か言おうとしてたでしょ?
だけど、そこまでは分からなかったから...。
もっと分かれば、君の負担を減らせるのになって思ったんだ。
『優しい』、か...君の方が優しいよ。
いつも人のことをしっかり見ていて、すごいなって思うよ。
...もしよかったら、これから少し出掛けない?
たまには外の空気を吸うのもいいんじゃないかなって思うんだけど...嫌?
そうじゃないならよかった。
だけど...元気ない?もしかして、何か嫌なことがあったとか...。
本当に違うの?分かった、何かあったらすぐ教えてね。
それじゃあ、支度したら出掛けようか。
近くの広場に、綺麗な花が咲いてたんだ。
君がいいならそこに行こうと思うんだけど...あれ?さっきまで後ろをついてきてたのに...探さなきゃ。
...っ、はあ、よかった...どこに、行ったのかと思った。
どうしたの?...頭痛い?
『どうして』って、見れば分かる。
しゃがみこむくらい痛みが酷いってことだよね...腕、動かせる?
いいからほら、掴まって。...走るよ。
大丈夫だよ。俺、これでも体力ある方だから。
...そんなに申し訳なさそうな顔をしなくてもいいから、今日は横になって大人しくしてて。
どうしたの、そんなに強く袖を掴んで...。
...ごめん、また分からないや。
元気になったら教えてくれる?
今は書くのもしんどそうだし...そういえば、薬は飲んだ?
それならよかった。もう少ししたら落ち着いてくるかな...。
頷くのも辛いでしょ?だから、君が眠るまでこうして頭を撫でてるよ。
何も心配しなくていいから、ゆっくり休んでね。
...寝た、みたいだな。
君がいなくなったことにさえ気づけなかった。
本当にごめん。
今日に限って手を繋いでなかったし、君より先を歩いていたから全然分かってなくて...。
...いつか、君が伝えたいこと全部をちゃんと感じ取れるようになりたいな。
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久しぶりの看病系です。
優しい人に側にいてもらえれば、それだけで充分です。
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