物置小屋

黒蝶

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1人向け・other

祝福の子守唄(閲覧注意・闇深め)

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...ねえ、何をしているの?
そこから飛び降りる?じゃあ、僕も一緒にいい?
どうして、ね...その為にここに来たから。
それに、全然面識がないふたりが一緒に橋から転落したとしたら...自ら命を絶ったようには見えないでしょ?
それもまたいいんじゃないかって思ったんだ。
周りの人間に辛いなんて言えなかったんじゃない?
それなら、最期くらい僕に話してみてよ。
君が話さないなら僕から話すね。...そうしないと平等じゃないでしょ?
僕がここに来たのは、親からの暴力に限界を感じたから。
この痣もそうだし、こっちの頬が腫れてるのは今日殴られたところ。
好きなことなんてできなかったし、誰にも言えなかった。
だから、最期は自分が1番好きな場所で迎えたいって思ったんだ。
...どう?話す気になった?それじゃあ次は君の番。
どうしてそんなに追い詰められてるの?
嫌がらせ?先生とか解決してくれなかったの?
そっか、相談したら酷くなったのか...僕と同じだね。
実は僕、学校でも色々あったんだ。
親の暴力も相談したらバレて酷くなっちゃって。
...結局、誰にも助けられないんだよ。
君は優しいね。僕の話を、何ひとつ否定せずに聞いてくれたから。
君は?相談したことはあったんでしょ?
相手の親が権力者?...そんなパターンもあるんだね。
だから教師はまともに話を聞かずに、向こうの親の言いなりになったってことか。
たとえばどんなことをされたの?
一通り色んなことをされたんだね。
落書きに、机や椅子を廊下に出されたり...物がなくなったり水をかけられたり。
毎日毎日そんな理不尽に耐えていたら、限界がくるよね。
...よしよし、今日までよく頑張りました。
ごめん、これしかやり方が分からないんだ。
今まで人に慰めてもらったことなんてなかったから。
でも、近所で見かけた親子がこうやって頭を撫でてた。
...嫌だった?それならよかった。
これで涙をふいて。
君と僕では状況が少し違うけど、ここで語りあえて本当によかった。
僕たちは今からこの世界を去るんじゃない。
...この根本から腐った世界を捨てるんだ。
居場所もなく、頼れる人もなく...そんな社会的弱者はこうするしかない。
普通というレールにはじめから乗れなかったんだから、もうこうするしかないんだ。
生きていてもいいことなんかなかった。
いつかなんとかなるまで待てなかった。
こうする勇気はあっても、立ち向かう為の心は折れてる。
...だから僕はもういいんだ。
お願い?それは僕にできること?
抱きしめる...こう?すごくあったかいね。
こんなことをしたの、初めてだ。
君も、もういいの?僕のお願い、叶っちゃった。
最期くらい独りじゃなくて誰かと一緒がいい...この場所もそうだけど、そんなことも思っていたんだ。
変かな?悪くない、か...そうだね、悪くない。
そろそろいくけど、君は本当にいいの?
僕がいなくなっても世界はまわっていく。
君がいなくなって悲しむ人はいないの?
家族は成績のことだけ...それじゃあ、誰もいないのは僕と同じだね。
手を繋いでいようか。それならきっと怖くないよ。
もし別の世界に行けたなら、ふたりでもっと楽しく暮らしてみたいね。
さあ、あと1歩踏み出したら終わりだよ。
ふたりだけの世界に行けると信じて...また後でね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最近いじめやらの隠蔽が多いので、最悪こうなるというものを綴ってみました。
もしも独りでなかったなら...そんなものを創ってみたかったのです。
最期の瞬間にようやくふたりは今までなかったものを知ることになりました。
『死というものは、実は人間にとって最大の祝福かもしれない』──ソクラテスの言葉です。
...確かにそうかもしれないと私は思っています。
因みに彼女の方がやられていたことは実体験を元に綴りました。
少し綴っただけでメンタルが酸化鉄のように崩れたので、閲覧注意と警告を入れました。
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